HOBIA NEWS No.272

目次
     
● 「北海道『食』のプレミアムブランドフェア」関連事業が実施されました。
● お知らせ    
  ■『産学官連携による環境保全フォーラム』が開催されます。
●    編集後記
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『組換え作物の世界現況とこれから』

クライヴ・ジュエムズ博士(Dr. Clive James)
国際アグリバイオ事業団(ISAAA)理事長
これは、網羅的に概観した2008年度の遺伝子組換え作物の商業栽培に関する世界のハイライトを要約したものである。これまでの一貫した本当に豊かな経済的、環境的そして健康福祉的に利益をもたらし結果としての記録的な数字である1,330万人もの大・中・小さらに手持ち資産の極めて少ない農家がこれまでの傾向を引き継いで2008年にはっきりと組換え作物栽培面積を増やし続けている。2008年には、世界的にみて組換え作物の栽培国がとりわけ増加したことを含め、上記以外の多様な分野での進歩が見られた。その例としてはアフリカで重要な進歩があったことが挙げられる。ここでは、「スタック」と呼ばれる品種の利用が大きく伸び、新しい組換え作物の導入が最大であった。これらは、世界中が直面している重要課題である食糧・飼料・繊維の確保、低価格食糧、貧困と飢餓の緩和、気候変動に起因する課題の緩和などに組換え作物が貢献していることは、極めて重要な進歩である。
組換え作物栽培国数が25に飛躍したことは、歴史的一里塚である。組換え作物の導入に関する新しい波が広い基盤をもって世界的な伸長をもたらしたものである。アフリカでの進展がおおきい。特に2007年には南アフリカ一つだったが、2008年にはブルキナファソ(ワタ)、エジプト(トウモロコシ)が加わって初めて3カ国が組換え作物栽培国となった。南米ではボリビア(RRRダイズ)がラテンアメリカで9番目の組換え作物導入国となった。
世界的な組換え作物栽培面積は、13年連続で大きな伸びをしめして、2008年には9.4%または1,070万へクタールの増加で、全体で12,500万ヘクタールに達した。または、より正確には、16,600万「形質ヘクタール」になる。これは15%の増加或は、2,200万「形質ヘクタール」の増加になる。1996年以来74倍の栽培面積増になり、これは組換え作物が最も速く導入が進んだ作物ということになる。2008年は、初めて1996年から2008年間の組換え作物栽培蓄積面積が初めて2億エーカ(8億ヘクタール)を超えたことになり、最初の1億エーカーを越えるのに2005年から10年かかったが、次の1億エーカーを達成するのに2008年までのたった3年であった。注目すべきことは、組換え作物栽培国25のうち15が発展途上国であり、10カ国が先進国であるということである。
2008年には、新しい組換え作物であるRRR甜菜が初めて米国とカナダで商業化された。エジプト、ブルキナフソ、ボリビア、ブラジル、オーストラリアの5カ国が初めて他の国で既に商業化されている組換え作物を導入した。
「スタック」品種は、ますます組換え作物のなかで重要性を増している。10カ国が約2,700万ヘクタールの「スタック」品種を栽培した。これは、23%の増加になり、「単一形質組換え品種」よりも速い伸びである。
組換え作物栽培農家は、世界25カ国で2008年には130万人増加して、1,330万人に達した。目立っていることは90%または1,230万人は、小規模で資産のない発展途上国の農家である。組換え作物が収入増加、小規模で資産のない農家やその家族の生活の質を向上、そして、その貧困を緩和するように改善している。これらのケーススタディーがインド、中国、南アメリカ、フィリピンについて行なわれたものが要報39号(Brief 39)に収載されている。
5つの主要な発展途上国でその全人口が2億6,000万人になる中国、インド、アルゼンチン、ブラジル、南アフリカは、組換え作物でのリーダーシップを発揮しており、世界的なそれらの導入を牽引している。組換え作物からの利益が、驚くほど強い政治的意思やこれらの幾つかの指導的国々では組換え作物に多大の投資をすることに拍車がかかっている。
目立ったこととしてBtトウモロコシを栽培しているEU7カ国全てにおいて2008年はその面積が増加して、全体の増加は21%であり、これで全面積は、107,000ヘクタールを超えた。組換え作物の持続性への際立った貢献を以下のようにまとめられる。1)より入手しやすい(安価な)食料を含む食料、飼料、繊維の確保、2)生物多様性の保全、3)貧困と飢餓の緩和、4)農業の環境への足跡の減少、5)気候変動の緩和を支援し、温室ガスを減少、6)バイオ燃料のより効率的な生産への貢献、7)1996年から2007年にわたる44億米ドル相当の持続的経済効果への貢献。まとめるとこれらの7つの推進力を総合するとその持続性への貢献は極めて大きく、また将来への可能性は計り知れないほど大きい。
1996年から2007年にわたる44億米ドル相当の経済効果のうち44%は、穀物収量の増加によるもので、56%は、生産コストの減少によるものである(359,000トンの除虫剤の節約を含む)。141,00トンの穀物生産増には組換え作物を使わなければ4、300万ヘクタールの土地が必要なはずで、これを土地節約技術とも言える。
農業に基盤を置いて途上国を変換して行くには、組換え作物が地域経済成長のエンジンであり、翻ってこれが国の経済成長に大きな貢献をなすことになる。全人口の半分以上(55%)がこれらの25カ国に住んでいて、2008年には12.500万ヘクタールの組換え作物が栽培されている。これは全世界の栽培面積である1億5,000万ヘクタールの8%に当たる。2007年には組換え作物は、14億2,00万kgの炭酸ガスを削減し、これは車630万台削減に相当するものである。
組換え作物の適切なコスト・時間的に効率のよい管理システムが早急に求められているが、それらは責任の取れるものでなければならないが、煩わしいものではなく、かつ途上国でも使えるものでなければならない。25カ国が組換え作物の栽培を承認している。またさらに30カ国が組換え作物の食品及び飼料への利用を承認しているので、全体で55カ国が承認していることになる。2008年の世界の組換え作物市場は7億5,000万米ドルであり、1996年から2008年までの全体としての歴史的一里塚といえる50億米ドルとなる。
将来像: 組換え作物の第二期目の10年(2006年から2015年まで)の次の7年の見通しは、明るい。ISAAAの2005年の予測は組換え栽培国、面積、利益を受ける農家の数は、2006年から2015年で倍増するというもので、これがその予測線上にある。作物としてのイネ、そして旱魃耐性の形質付与が将来の伸びの中枢課題である。Brief 39は、特別記事で2012年またはそれより早期に米国で、また、アフリカのサブサハラでは2012年に旱魃耐性のトウモロコシが商業化されることを入れてある。
Detailed information is provided in Brief 39 Global Status of Commercialized Biotech/GM Crops: 2008 by Clive James. For further information, please visit http://www.isaaa.org or contact ISAAA SEAsiaCenter at +63-49-536-7216, or email to info@isaaa.org.
詳細はクライブ・ジェームズ著Brief 39 遺伝子組換え作物の商業栽培に関する世界の状況2008にあります。どうか更なる情報をhttp://www.isaaa.org からか、ISAAA SEAsiaCenter、 +63-49-536-7216に電話するか、info@isaaa.org.に電子メールで問い合わせてください。

第108回 例会が開催されました。

テーマ「世界の農業生産動向と私たちの食生活」
4月23日(木)に札幌アスペンホテルにて開催されました。今回の講演は、神戸、海外からもお越しいただいてのご講演となりました。要旨は、別紙「第108回例会要旨」をご覧ください。
· 『食品の安全は脅かされている?』
~問題の所在はどこに?GMOにフォーカスして~
伊藤潤子氏     生活協同組合コープこうべ 参与・元理事
兵庫県・食の安全安心と食育審議会委員
· 『組換え作物の世界現況とこれから』
クライヴ・ジュエムズ博士(Dr. Clive James) 国際アグリバイオ事業団(ISAAA)理事長

NPO法人北海道バイオ産業振興協会平成21年通常総会

開催日:平成21年4月23日   開催場所:札幌アスペンホテル
 平成20年度の事業実績並びに収支決算の報告、これに伴う監査報告がなされ、つづいて、平成21年度の事業計画並びに収支予算が報告され承認されました。
 また、現行の副会長2人を執行体制の強化を図る観点から4名とする定款の変更議案が審議され承認されました。4人体制は、審査期間等の手続きから10月となります。
 審議終了後、HOBAニュースの配信方法を、経費節減と迅速性からEメールとFaxに絞りたい。また、総会の日程は来年から5月下旬開催になる旨の事務連絡がありました。

北海道立食品加工研究センター 平成21年研究成果発表会を終えて

過日、4月16日にホテル札幌ガーデンパレスにて当北海道立食品加工研究センターの「平成21年研究成果発表会」を開催し、盛会の内に終了することができました。会員の皆様にも多数ご参加いただき、厚く御礼申し上げます。最終的な参加者の数は昨年を大きく超える371名を数え、一時立ち見でご不自由をおかけした方には、心からお詫び申し上げます。
口頭発表6題、ポスター発表14題の他、技術支援課の実績の報告や新たな事業展開のお知らせ、保有特許とその利用事例のポスター掲示などをさせていただきました。共同研究や技術支援の成果を利用して開発された食品の試食コーナーには、10社から19品目のご提供があり、五感を全て使うことができる発表が何時にも増して達成できたのではないかと存じます。来年も、同時期に同じ会場での発表会ができるものと思いますので、またのご参加をお待ち申し上げます。