組換えパパイヤのゲノム解析第一報

米国と中国の研究所間の共同によるパパイヤ遺伝子の最初の報告が出された。パパイヤは、また遺伝子修飾のなされた最初の作物でもある。研究者は、パパイヤのリングスポットウイルスに抵抗性のある組換え体である‘Sun-up’ を作出した。パパイヤは今遺伝子解析のされたサアビドプシス、稲、ポプラ、ブドウに続く番目の作物となった。Nature誌にその詳細が報告されている。

その遺伝子解析は、花をつける植物の進化に光を当てるものと期待されている。この発見は、パパイヤが7200万年前にアラビドプシスから分化して異なる進化を遂げたことを示している。パパイヤの遺伝子はアラビドプシスの3倍の大きさであるが、病気抵抗性の遺伝子は少ない数しかない。パパイヤはポプラと共通するところが多く細胞の大きさ、デンプンやリグニンの生産の遺伝子が増加しており、木本と良く似た進化を遂げていると言える。

植物体の遺伝子修飾の正確な位置付けがあることは日本のようにウイルス抵抗性のパパイヤの輸入を禁止している国の規制を下げる一助になると期待できる。

その要旨は、以下のサイトに ある。http://www.nature.com/nature/journal/v452/n7190/abs/nature06856.html.また詳しい内容は以下のサイトにある。 http://www.news.uiuc.edu/news/08/0423papaya.html

地球気象変化とバイオテク

人の食糧確保に関する優れた専門家がバイオテクノロジーが地球気象変動に関する問題に関与していることをのべた。「バイオテクノロジーは、長期間にわたる持続的な問題と気象変動に大いに役に立つと述べた。このことは、先進国よりも途上国にとってより一層重要であるとした。これは、気象変動の結果が現れていることと食糧の質と量の問題に関わる現在の問題に現れている。」ということが米国の首都ワシントンにあるIFPRI の長であるJoachim von Braunによって述べられている。

インドにおける「緑の革命の父」として知られている農業研究者のDr. M.S. Swaminathanは、「バイオテクノロジーが気象変動に新たな道を開く。つまり干害に抵抗性のあるイネを遺伝子導入で可能である」と述べている。また、伝統的な技術と遺伝子修飾やマーカー選抜のような新しい技術を融合することで新たな切り口ができることも提唱されている。
この両者の完全なレポートは以下のサイトにある。
http://www.globalchange-discussion.org/interview/joachim_von_braun/full_interview and http://www.globalchange-discussion.org/interview/ms_swaminathan/full_interview.

またネット上での地球気象変動とバイオテクノロジーに関する討論の場が開かれている。これに参加するには以下のサイトに加入して下さい。 http://www.globalchange-discussion.org

途上国におけるアグリバイオテク新技術とイノべーション

世界中の政策決定者、研究者、農業団体の代表者、私的団体がエチオピアのアジスアベバに集まり、農業の変革と人々の生活向上に役に立つ技術、研究機関あるいは団体がとりうるイノベーションについて議論した。これは、国際食糧政策研究所International Food Policy Researach Institute(IFPRI)が主催したもので「知識とイノベーションを通じての途上国の農業の発展」と題する国際会議がおこなわれ、インドにおける高付加価値作物への農業者の移行を助ける市場原理に基づくシステムの構築やインドと中国における害虫抵抗性のワタの小規模農業者への定着などの成功事例が発表された。

IFPRIの国別の農業研究のための国際サービス部門の長であるKwadwo Asenso-Okyereは、多くの途上国は農業及び地域発展の大きな壁にぶつかっているが、小さな貧農、不安定な食糧生産者、及び他の弱者に有益な農業イノベーションの成功例が出てきていると述べた。IFPRIの所長であるJoachim von Braunは、は典途上国の農業イノベーションを高め、農業者が新しい技術を取り込むことを加速するための新しい企画をてて途上国の発展と貧困の減少を図ることが必須と述べた。このプレスリリースは以下のサイトにある。http://www.ifpri.org/pressrel/2008/20080407.asp

アグリバイオテクに関する倫理観についての新聞情報

リスク評価に加えて、アグリバイオについては倫理的・社会的関心を払うべきである。Immaculada de Melo-Martin と Zahra Meghaniは、この点について「リスクを超えるもの:アグリバイオテクについてより一層現実的なリスクと利益に関する分析」と題してヨーロッパ分子生物学研究機構(EMBO)のEMBO報告で論じた。

リスク評価に関する疑問に対するアグリバイオについて限定的な倫理観について議論することは、問題を難しくしている。第一に、アグリバイオのリスクとベネフィットの議論が間違った前提の元に単に規範的な関心にのみ議論していること。第二に、技術的課題のディベートにおける枠組が討論に理にかなった参加者選びを制限している。「このような規範的やり方は民主的社会の科学的なエキスパートに当てはめるべきではなく、まともな公開審議とすべきであり、報道メディアや圧力団体の影響のないものでなくてはならない。」とMartin とMeghaniは、主張している。(本文は下記のサイトを参照)(http://www.nature.com/embor/journal/v9/n4/full/embor200839.html.

GMスイッチグラスからの生分解性のプラスチックポリマーについて

アメリカのMetabolix Inc.の科学者は、高濃度のポリハイドロキシブチレート(PHB)を蓄積できる組換えスイッチグラスを開発した。PHBは、通常ストレス条件下で微生物が生産するもので熱可塑性のプラスチックスのポリプロピレンに特性が似ていることで注目をあつめているものである。ポリプロピレンと異なりPHBは生分解性である。
生分解性プラスチックスは、石油化学品の消費を大きく減少し、環境にやさしいことが示されている。しかし、PHBの生産コストが石油化学品から作るよりも高いためその商業利用は限られている。
400種以上の組換えスイッチグラスを実験室及び温室で試験して、PHBの生産を調べた。そのGMスイッチグラスには乾物量ベースで葉の3.75%そして全植物体乾燥重の1.23%までもPHBを蓄積するものがあることが分かった。この研究は、スイッチクラスにおける多重生合成系遺伝子発現の最初の成功例である。
要旨及びPlant Biotechnology Journal にある本文は、以下のサイトにある。http://www.blackwell-synergy.com/doi/abs/10.1111/j.1467-7652.2008.00350.x