第108回例会 開催案内

テーマ「世界の農業生産動向と私たちの食生活」
 
日時:平成21年4月23日(木)14:00~16:30
場所:札幌アスペンホテル
札幌市北区北8条西4丁目5番地(札幌駅北口西通り) Tel011-700-2111
 
講演1 14:10~15:20
『食品の安全は脅かされている?』
~問題の所在はどこに?GMOにフォーカスして~
伊藤潤子氏
生活協同組合コープこうべ 参与・元理事、兵庫県・食の安全安心と食育審議会委員

 

コープこうべは、『生協』の発祥地。生協に30年関わり、組合員のための食品開発・販売を行ってきた。消費者から見た食の安全の視点から、現在の食の現状を解析するとともに、兵庫県の食に関する姿勢も紹介する。
 

講演2 15:20~16:30
『組換え作物の世界現況とこれから』
クライヴ・ジュエムズ博士(Dr. Clive James)
国際アグリバイオ事業団(ISAAA)理事長
 
組換え作物の栽培は1億ヘクタール、1千万農家に達した(2006)。育種技術も進歩を続け、オメガ-3、高リジン、旱魃耐性など高機能性食材が、生産可能となった。日本の自給率の向上や世界の飢えを減らす価値ある技術となってきた。(同時通訳付き)


 

コーヒータイム(交流会) 16:40~17:20
 
参加費 会員 無料、非会員 1,500円、非会員学生500円
コーヒータイム会費 16:40~17:10 1,000円

 
参加申し込み メールお問い合わせフォーム (件名参加申し込み、お名前、ご所属、ご連絡先を記載ください)

日本モンサントセミナーのご案内

 4月7日に、モンサント・カンパニー本社から副社長を招き、乾燥耐性作物や第二世代除草剤耐性大豆など新しい遺伝子組み換え作物の話を含め、環境負荷の少ない持続可能な農業に遺伝子組み換え作物がどのように貢献できるか、というテーマで添付のセミナーを開催いたします。
皆様の積極的なご参加よろしくお願いいたします。

 

テーマ:モンサント・カンパニーが世界に提唱する「持続可能な収量増加構想」

     ~乾燥耐性、第二世代除草剤耐性等は今なぜもとめられているのか~

日時:2009年4月7日(火)13:30~16:00

会場:ベルサール八重洲 Room DE

    (〒103-0028 東京都中央区八重洲1-3-7 八重洲ファーストフィナンシャルビル2F)

ご案内:Ivitation.pdf

URL: http://www.monsanto.co.jp/

平成20年度全国バイオ団体交流会議参加報告

 「平成20年度全国バイオ団体交流会議」(平成21年1月14日(水)開催)に参加しましたので、会議の様子などを報告いたします。
開催日当日は、千歳空港の降雪が激しく、飛行機が3時間ほど遅れて到着したために、冒頭にあった経済産業省のバイオ関連施策に関しての生物化学産業課 竹廣課長補佐のお話しは聞き逃してしまいましたが、21年度のバイオに関わる予算と生物多様性条約に関連する動向と我が国の対応方針ついての解説があったとのことです。
 各地のバイオ関連団体の近況報告では、財団法人バイオインダストリー協会が口火を切って、東北地域バイオインダストリー振興会議、NPO法人バイオものづくり中部、NPO法人近畿バイオインダストリー振興会議、財団法人ちゅうごく産業創造センター(この報告の途中で会場に到着)、財団法人四国産業・技術振興センター、株式会社久留米リサーチパーク、株式会社沖縄TLO、そして遅れて到着の当NPO法人北海道バイオ産業振興協会が報告しました。
各団体とも、委託調査の実施状況報告、各地域のベンチャーなど地元企業支援(産学官連携)活動、各地域のバイオ関連情報などに加えて、海外との協力などのその他特徴的事項が紹介されました。お話が聞けた団体に関して言えば、自会の活動報告以外の地域での産学官連携に関する事例紹介に時間を割いていることが多かったように感じました。なかでも、興味を引かれたのは、久留米リサーチパークの報告で、「福岡バイオバレープロジェクト」の事務局として様々な公的支援策を組み合わせて地域の産業クラスター構築に役立てている事例は面白く、また東南アジアとの距離の近さを利用して海外連携を強めている活動は参考になるものでした。
最後に、ネットワーク形成に関する意見交換がおこなわれました。まず、JBAの塚本専務よりBio Japan 2008の実績の報告と、Bio Japan 2009において各地のクラスター間の連携と、海外の企業・機関との連携を構築する取り組みを強化したいとの提案がありました。これに関連して、JETROから活動の紹介があり、海外との連携構築と関連情報の提供などで協力ができるとのこと。塚本氏からの発言では、Bio Japan以外にも各地で行われているビジネスマッチングの事業でも連携構築の機会があるので、そうした場に適切な講師の派遣などの協力が可能かも知れないとも。これに対して、議長役の冨田HOBIA会長から、各地の様々な事業について有機的な連携をしていくためには、そうした事業のデータベース化が必要ではないかとの提案がありました。近畿バイオインダストリー振興会議から、大阪府と経産局とが協力して「大阪バイオ・ヘッドクオーター」を運営しており、参考になるかも知れないとのことでした。全国的なシステムを構築するには様々な問題点が想定されますが、特にバイオ産業に関連する中央省庁の情報の一元化には旗振り役が必要になるだろうと言うことで、経産省に期待する空気が一同から感じられたのが印象的でした。
(企画運営委員会副委員長 富永一哉)

地域バイオ育成推進講座in北見が開催されました

開催日:2009年1月16日
開催会場:北見市 オホーツク木のプラザ
参加者:若い農家、栄養士、加工企業、一般の方、等の多彩な50余名。
*活発な議論が交わされました。
 
統一テーマ:
『いまジャガイモがおもしろい、新品種の開発と新しい育て方、そして食べ方』
 講演の概容は次の通りです。
 

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遺伝子組換え作物の商業栽培に関する世界のハイライト2008

遺伝子組換え作物の商業栽培に関する世界のハイライト2008
著者 クライブ ジェームズ
国際アグリ事業団(International Service For The Acquisition of
Agri-Biotech Applications ,ISAAA) 創設者・理事会 会長

これは、ISAAA 要報39号(Brief 39)(http://www.isaaa.org)にある網羅的に概観した2008年度の遺伝子組換え作物の商業栽培に関する世界のハイライトを要約したものである。これまでの一貫した本当に豊かな経済的、環境的そして健康福祉的に利益をもたらし結果としての記録的な数字である1,330万人もの大・中・小さらに手持ち資産の極めて少ない農家がこれまでの傾向を引き継いで2008年にはっきりと組換え作物栽培面積を増やし続けている。2008年には、世界的にみて組換え作物の栽培国がとりわけ増加したことを含め、上記以外の多様な分野での進歩が見られた。その例としては最も課題の多かった地域であるアフリカでの重要な進歩、複数の形質を併せ持つ「スタック」と呼ばれる品種の利用の大きな伸び、新規の組換え作物の導入があげられる。これらは、世界中が直面している重要課題である食糧・飼料・繊維の確保、より低価格の食糧、持続性(sustainability)、貧困と飢餓の緩和、気候変動に起因する課題の緩和などに組換え作物が貢献していることは、極めて重要な進歩である。
組換え作物栽培国数が25に飛躍したことは、歴史的一里塚である。組換え作物の導入に関する新しい波が広い分野で世界的な伸長をもたらしたものである。アフリカでの進展が大きい。特に2007年には南アフリカ一つだったが、2008年にはブルキナファソ(ワタ)、エジプト(トウモロコシ)が加わって初めて3カ国が組換え作物栽培国となった。南米ではボリビア(RR®ダイズ)がラテンアメリカで9番目の組換え作物導入国となった。
世界的な組換え作物差倍面積は、13年連続で大きな伸びをしめして、2008年には9.4%または1,070万へクタールの増加で、全体で1億2,500万ヘクタールに達した。または、より正確には、16,600万「(スタックとして導入された性質の数を反映した)形質ヘクタール」になる。これは15%の増加或は、2,200万「形質ヘクタール」の増加になる。1996年以来74倍の栽培面積増になり、これは組換え作物が最も速く導入が進んだ作物ということになる。2008年は、初めて1996年から2008年間の組換え作物栽培蓄積面積が初めて20億エーカー(8億ヘクタール)を超えたことになり、最初の10億エーカーを越えるのに2005年から10年かかったが、次の10億エーカーを達成する
のに2008年までのたった3年であった。注目すべきことは、組換え作物栽培国25のうち15が発展途上国であり、10カ国が先進国であるということである。

2008年には、新しい組換え作物であるRR®甜菜が初めて米国とカナダで商業化された。エジプト、ブルキナファソ、ボリビア、ブラジル、オーストラリアの5カ国が初めて他の国で既に商業化されている組換え作物を導入した。
「スタック」品種は、ますます組換え作物のなかで重要性を増している。10カ国が約2,700万ヘクタールの「スタック」品種を栽培した。これは、23%の増加になり、「単一形質組換え品種」よりも速い伸びである。
組換え作物栽培農家は、世界25カ国で2008年には1,300万人増加して、1億3,300万人に達した。特にその90%にあたる1億2,300万人は、小規模で資産のない発展途上国の農家であることは注目すべきことである。組換え作物が収入増加、小規模で資産のない農家やその家族の生活の質を向上、改善をもたらし、その貧困の緩和に貢献している。これらのケーススタディーについては、インド、中国、南アメリカ、フィリピンについて行なわれたものが要報39号(Brief 39)に収載されている。
中国、インド、アルゼンチン、ブラジル、南アフリカの5つの主要な発展途上国を合わせると、全人口2億6,000万人になるが、これらの国々が組換え作物でのリーダーシップを発揮しており、世界的な組換え作物の導入を牽引している。組換え作物から恩恵や利益がもたらされることから、これらのリーダー的国々では、強い政治的な推進策がとられ、多大の投資が組換え作物に行われている。

EU7カ国全てにおいて2008年はBtトウモロコシを栽培している面積が増加して、全体の増加は21%、これで全面積が107,000ヘクタールを超えたことは注目すべきである。組換え作物の持続性への際立った貢献を以下のようにまとめられる。1)食料をより入手しやすく(安価に)提供することを含む食料、飼料、繊維の確保、2)生物多様性の保全、3)貧困と飢餓の緩和、4)農業の環境への負担(footprint)の減少、5)気候変動の緩和を支援し、温室ガスを減少、6)バイオ燃料のより効率的な生産への貢献、7)1996年から2007年にわたる440億米ドル相当の持続的経済効果への貢献。これらの7つの推進力を総合するとその持続性への貢献は極めて大きく、また将来への可能性は計り知れないほど大きい。
1996年から2007年にわたる440億米ドル相当の経済効果のうち44%は、穀物収量の増加によるもので、56%は、生産コストの減少によるものである(359,000トンの殺虫剤有効成分の節減を含む)。1億4, 100万トンの穀物生産増は組換え作物を使わなければ4,300万ヘクタールの土地が必要なはずで、これを土地節約技術とも言える。
農業に基盤を置く発展しつつある途上国にとって、組換え作物は農村地域経済の成長のエンジンであり、翻ってこれが国の経済成長に大きな貢献をなすことになる。全世界人口の半分以上(55%)がこれらの25カ国に住んでいて、2008年には1億2.500万ヘクタールの組換え作物が栽培されている。これは全世界の栽培面積である15億ヘクタールの8%に当たる。2007年には組換え作物は、142億kgの炭酸ガスを削減し、これは車630万台削減に相当するものである。

組換え作物の適切なコスト・時間的に効率のよい規制のシステムが早急に求められている。それらは信頼性のあるものでなければならないが、煩雑なものではなく、かつ途上国でも実施可能なものでなければならない。25カ国が組換え作物の栽培を承認している。またさらに30カ国が組換え作物の食品及び飼料への利用を承認しているので、全体で55カ国が承認していることになる。2008年の世界の組換え作物市場は75億米ドルであり、1996年から2008年までの全体としての歴史的一里塚といえる500億米ドルとなる。

将来像: 組換え作物の第二期目の10年(2006年から2015年まで)の今後7年の見通しは、明るい。ISAAAの2005年の予測は組換え栽培国、面積、利益を受ける農家の数それぞれが、2006年から2015年で倍増するというもので、これがその予測線上にある。作物としてのイネ、そして旱魃耐性の形質付与が将来の伸びの中心になると期待される。Brief 39は、特別記事として2012年またはそれより早期に米国で、また、アフリカのサブサハラ地域では2017年に旱魃耐性のトウモロコシが商業化されることを入れてある。
詳細はクライブ・ジェームズ著Brief 39 遺伝子組換え作物の商業栽培に関する世界の状況2008にあります。どうか更なる情報をhttp://www.isaaa.org からか、ISAAA SEAsiaCenter、 +63-49-536-7216に電話するか、info@isaaa.org.に電子メールで問い合わせて下さい。