会長 年頭ご挨拶  ~科学に立脚したバイオ産業発展を目指して~

冨田写真(名前入り)
会員の皆様におかれましては、2008年の始まりをすがすがしい気持ちで迎えられたことと存じます。今年も健康で、活力ある年になるように願っております。

今年の干支は、「子(ね)」です。十二支の第1番目ということで、特に新たなる出発の年という気が致します。また、北の方角を指す言葉でもありますし、一日の始まりである深夜の0時も「子の刻」です。今年は、われら北海道の年の始まりであり、今年こそ北海道そしてHOBIAが躍進できる年と思っております。また、「漢書」によると「子」は、「ふえる」の意味で、新しい生命が種子の中に萌(きざ)し始める状態を表しているとされております。この点を、私の都合の良いように解釈すると、会員が増えて、活力が上がる年になってくるものと期待しております。
 
さて、EUもいよいよ特定保健用食品(特保)を2007年7月に制度化しました。私も招聘されて日本の状況を報告しました。ここでは、EUの多くの国々が知恵を出し合っています。しかもフィンランドがイニシアティブを取っていることに注目したい。北海道と人口、地理的条件がほぼ同じでありながら、ノキアを伸ばし、関連企業を含めて世界を席巻しています。次は、食品の機能性に集中しています。真に良く考えた国策の見本と言えましょう。日本が言い出した概念でありますが、さっぱりその後の進展がないどころか、医学サイドからの横槍とも言えることが行なわれていることは、残念でなりません。食品と医薬との区別を付けられなければ、また、ヒト介入試験が行なわれやすくならなくては、簡単にEUに追い越されます。北海道だけでも何とか策を練らなくてはならないと思っております。

これらに関連して、HOBIAは、北海道経済産業局の支援を受けてフーズ&アグリ・バイオ・ネットワーク活性化事業を進めています。この根幹は、エビデンスに基づく製品開発販売に向けての一貫したシステムの構築であるEBF(Evidence-Based Foods)の推進であります。つまり食による健康寿命のアップです。

このような中で「偽」というのが2007年の言葉として選ばれ、中には北海道の会社が含まれていたことは残念なことであります。私は、以前よりEBFの重要性とイメージ先行の製品開発や事業推進の危うさに警鐘をならしてきたつもりです。確かに現在は飽食の時代とも言われるように、十分豊かな食品がある。イメージで差別化することにばかり心を奪われていると、食糧自給率が 30%台になったことやダイズ自給率に至っては3%台になっていることを認識していない消費者にばかり対応することになってしまいます。北海道は、食糧自給率が約190%であること、しかも質の良い食糧を作れることを考えると、フィンランドの施策と北海道の施策を対比せざるを得ません。

HOBIA の2008年の第一のミッションは、このようなところにあるように思います。是非ともフーズ&アグリ・バイオ・ネットワーク活性化事業で築き上げた成果を実際に動かして、少しでも北海道の食と健康科学のレベルアップとEBFを出すことに貢献することにあると思っています。

今年は、7月7日~9日(3日間)に日本が議長国を務め、「地球温暖化」を主要テーマとして、G8サミットが洞爺湖畔で開催されます。ここでは「環境重視の日本を世界にアピール」することを狙いとしており、アメリカ合衆国、イギリス、フランス、イタリア、ドイツ、カナダ、ロシア連邦およびEU委員長の参加で開催されることは極めて喜ばしいことであります。私が改めて言うまでもなく、地球温暖化現象は、人類に起因するところが大きい。つまり、化石燃料に依存した今の我々の社会を如何にしてリサイクル可能な社会に向けられるかにかかっていると思います。「リサイクル可能な」とは、太陽エネルギー依存(生物生産依存)の社会に変えるということとも言えます。北海道はバイオアイランドと言われています。ここでこそ新たなる社会構築に向けてのさまざまの試みをたとえ少しでも努力することが大切だと言えます。

HOBIAは、G8サミットに先駆けて、6月30日にバイオサミットを開催するように準備しています。ここでは当然ながらバイオの促進であり、「バイオマスエネルギー」、「組換え作物を含む負荷の少ない生物生産」が主題となります。

ここで、会員の皆様には真に申し訳ないことに、研究部会の活動は活発でなく、皆様への貢献ができていないことをお詫び申し上げます。

今年は、「環境とバイオ」、特に「食と健康」は、我々の主要課題であり、まさに良いタイミングでサミットがあることになります。地球環境問題は、極めて複雑で科学だけでは解決のできない問題であることは、承知していますが、人間個々人のエゴと対峙することも大切と思っています。これまででも人間がはびこる(人間の活動)が地球に負荷をかけていることは間違いのないところです。

今年は、「このかけがえのない地球、我が愛する北海道の持続的発展」を目標に、未来には、「希望と生きがい」があることを次世代に示せるHOBIA活動を実行したいと思っております。会員皆様の2008年のご健勝、ご発展を祈念申し上げるとともにHOBIAの活動への参加、ご支援をよろしくお願いいたします。また、周りの方々へのお誘いもよろしくお願い申し上げ、年頭のご挨拶といたします

「第105回例会」および「新年交礼会」開催ご案内

前号でもご案内しておりましたが、当協会主催の第105回例会を下記により開催します。演題・時間帯等が確定しましたので、再度ご案内します。
なお、開始時刻が変更になっておりますので、ご注意願います。また、講演会終了後、新年交礼会を行いますので、多数の皆様のご参加をお願いします。
日 時:平成20年1月24日(木)14:30~17:10
場 所:ホテル札幌ガーデンパレス
テーマ: 「北海道発のバイオものづくりを国際レベルにするために」
14:40~15:40
講演1.「経済産業省のバイオインダストリー政策について」

経済産業省製造産業局 生物化学産業課
課長 倉田 健児 氏

16:00~17:00
講演2.「食品(健康食品を含む)の機能表示および安全性確保に関する国際的動き」

NNFAジャパン(日本栄養・食品協会)
専務理事 末木 一夫 氏

「地域バイオ育成推進講座in旭川」開催ご案内

前号でもご案内しておりました標記講演会の時間帯等が確定しましたので、再度ご案内します。
なお、第1部 1)の講師が変更になりました。多数のご参加をお願いします。交流会は行いません。

日 時 平成20年月日(火) 13:30~17:00
場 所 花月会館(旭川市3条通丁目)

<プログラム>
第1部 大豆ビジネスセミナー
13:35~14::30
講演1.「大豆の品種特性と加工適性」

北海道立十勝農業試験場 作物研究部
大豆科 科長 三好 智明 氏

14:35~15:30
講演2.「品種による加工適性と製品開発の展望」

北海道立十勝圏食品加工技術センター
研究員 川原 美香氏

15:40~
第2部 大豆プロジェクト成果披露会

旭川食品加工協議会・大豆プロジェクト

「日本食品科学工学会北海道支部会」開催について

下記により標記支部会が開催されますので、ご案内します。参加費は無料、参加のみの方の登録は不要ですので、多数お集まり下さい。

開催日時:2008年3月日(土)9:30~17:00
会  場:放送大学北海道学習センター 6F大講義室

(札幌市北区北17条西丁目、北大構内です。)

 同支部会終了後、ハルニレ食堂(学習センター向かい側)にて懇親会(会費:一般2,000円、学生1,000円)も行います。
 現在、当日の発表演題を募集中です。事務局宛メールにて、お申し込み願います。
・演題および発表者登録〆切: 1月31日
・要旨〆切: 2月20日
・要旨形式:本文800字(Wordファイル)
 一般発表は、発表12分、討論3分の予定です(演題数によっては変更もあります)。発表は、パワーポイントおよびOHPで行います。申し込み時にご選択下さい。

申込先:日本食品科学工学会北海道支部事務局
    shoku2008@agr.hokudai.ac.jpまで
事務局:阿部、淺野(Tel:011-706-2493)