「平成19年度 全国バイオ団体交流会議」 参加報告

本年1月15日(火)、JBAの事業である標記会議が主婦会館(東京都千代田区)において開催されました。JBA、経産省、ジェトロ、各地のバイオ団体が出席し、冨田会長が議長を務めました。HOBIAからは、会長と企画運営委員長(筆者)が出席しました。以下に各参加団体(者)からの発言等を紹介します。


1)JBA専務理事 塚本芳昭氏
日本のバイオは、元気がない。萎みつつあるようで気にかかる。停滞感を感じる1つとして、アジアでは売り上げが3.3倍になっているにもかかわらず、日本での伸びは1.4倍と半分以下にとどまっている。なんとか活路を見いだしていきたい。

2)経産省生物産業課 八山氏
経産省のバイオ関連施策として、予算額220億円で昨年より1%アップ。創薬の発展を狙っている。健康維持とバイオマス燃料など環境バイオを中心としている。新成長戦略は、連携によって新しい経済価値を生み出していく、というのが新しいコンセプト。医療分野でのバイオイノベーションを促進すべく3省(厚労、文科、経産)で提案した「革新的医薬品・医療機器創出のためヵ年戦略」では、研究資金の集中投資、ベンチャー企業育成、臨床研究・治験環境の整備、審査の迅速化・質の向上などを促進する。BT推進大綱は、検討会議がしばらく開かれていなかったが、推進していきたい。総合技術会議で、IPS細胞について、迅速なサポートが打ち出され異例であるが、今後もこの迅速さを望みたい。

3)JBA-BioJapan事務局から 江口氏、植村氏
今年もパシフィコ横浜で開催(2008年10月15日~17日)。出展のテーマを決めた。『健康と環境バイオ(バイオ燃料、バイオプラスチック)』とした。ただし、これらに限っているわけではない。BioJapanは、海外との交流の場として積極的に使いたい。昨年は、BioJapanをきっかけに来日したスイスのグループが、いくつかの県を訪問して、交流が始まった。事前に登録した情報がWebサイトで公開された効果でもあった。マッチングを促進するためアライアンス担当者の参加を促進し、具体的な交渉の進展を図る予定。特に製薬業へは、製薬協を通じてパートナーリンクを促進する。その前哨として3月日に国内大手製薬会社とのアライアンスプロモーションも開く。

4)ジェトロから
ジェトロでは、欧州最大のバイオイベント「BioSquare 2008」への積極的な展開を進めている。これはパートナーリンクに特化したイベントで、予めWeb上で情報収集して、会場ではいきなりマッチングにはいるという効率的な会である。詳細は、ジェトロへ問いあわせ願いたい。

5)JBAから知財など
知的財産は、技術分野によって違いがあるのが現状。4分野でプロジェクトチームを作った。報告書が出され、知財フロンティア→国際戦略への検討を行った。すべて知財本部のホームページに集録されているのでご参照されたい。機能性食品の特許性について特許庁とやりとりしている。既存の食品に新たなる機能を見つけても、現行特許法では、特許にならない。

6)九州のバイオ団体から
福岡県は、テーラーメイド医療開発を狙う久留米リサーチパークを開業する。都市エリア事業でありC型肝炎治療用ペプチド、進行癌抑制など20件の可能性試験が進行中。バイオインキュベーターをH16に開業し、さらに貸し工場である福岡バイオファクトリーを建設中。福岡の位置を生かしてアジアとの連携を図る福岡バイオバレープロジェクトを進行中。

7)中部地方のバイオ団体から
NPOものづくり中部。大学発ベンチャーの企業サポート件(藤田保健衛生大、名古屋大)。
個別企業の支援として、ビジネスプランの練り直しを含めた20回以上の研修を実施し、テラベース(株)では資金調達1億円に成功。ほかヒト委託試験のアレンジ、人材紹介など。販路開拓支援では、通販用化粧品素材の紹介と製品化し億円売り上げ。プロジェクト形成サポートで6件の公的助成事業を獲得した。

8)東北地方のバイオ団体から
東北地域バイオインダストリー振興会議(TOBIN)。醸造関係が多いが、遺伝子解析や医療のバイオも集積してきている。講演会、セミナー、交流会(バイオサロン)、見学会、そして技術相談会などの活動を行った。相談会は、今年からの新企画で、西野徳三先生、阿部敬悦先生が相談員として対応された。なかなか活動を大きくは出来ないで苦労している。事務局を西野先生の大学において、合理化を行った。

9)近畿地方のバイオ団体から
近畿バイオは、全国バイオ団体の中では、圧倒的にもっとも大きな組織として活発な活動を展開している。H19年度に力を入れたのは、技術シーズ公開会を経てフォローアップ勉強会開催への連携促進。公開会でシーズとニーズのマッチングを図り、その中から具体的テーマに絞ってのフォローアップを行い、具体化へと進めてゆく。3つの研究会を進めている。『食と運動の機能性に関する研究会』会長・吉川敏一教授(京都府立医大)、『近畿バイオ・バイオマス研究会』会長・新名惇彦教授(奈良先端大)、『関西バイオビジネス研究会』世話人・佐伯剛(あずさ監査法人)。

各地域で熱心な取り組みが行われていることが報告され、情報交換が行われた。

(文責:淺野行藏)