Category Archives: ISAAA(国際アグリバイオ事業団)

最新作物バイオテク 2010年4月

世界
ISAAAから組換え作物の世界情勢に関するビデオとポッド放映が出た
Syngenta社とCIMMYTがコムギ研究促進のために産業とリーディングパートナーシップを設立
査読付報告のまとめ:GM作物の良い影響
組換え作物取引の障害物
バイテク作物が多大な利益をもたらすことを示す研究

アフリカ
ガーナの旱魃耐性・ストライガ抵抗性トウモロコシ
2種のトウモロコシは、アフリカの気候変動に打ち勝つ
バイオセーフティー政策の地域間の整合性をCOMESAが探っている

南北アメリカ
えんどう豆アブラムシ遺伝子分析
多様なコムギについて真菌抵抗性遺伝子を探る
花を長持ちさせる研究ツール
モモDNAの解析が完了
農家のためのGE作物管理
βカロチン含有量を増加した熱帯トウモロコシの栽培
有機栽培と従来型栽培に関するスタンフォードの研究
USDAが害虫抵抗性GMコーンの規制を緩和
GMパパイヤの生産が日本で承認

ヨーロッパ
ヨーロッパ人が農家のバイオテクノロジー使用を支持
Btタバコが池由来の肝臓毒を中和
UKのDEFRAがGMジャガイモの試験を許可

研究
干からびた植物に「命をふきこむ」
2つの利用目的をもつトウモロコシ-食糧・燃料生産に関わる特徴の遺伝子解析-

世界

ISAAAから組換え作物の世界情勢に関するビデオとポッド放映が出た
 国際アグリバイオ事業団(ISAAA)はCourter film and Associatesと共同で遺伝子組換え作物の世界情勢ハイライトに関する6つの短編ビデオを作製した。ISAAAは、これらのビデオを先のノーベル平和賞受賞者であり、飢餓と貧困との戦いに生涯を捧げることで農業分野に足跡を残したNorman Borlaug氏に捧げて作成した。ISAAA創始者兼理事長であり、組換え作物の世界情勢の年度ごとの見直しを記しているClive James博士が集中的、包括的に解析を行い、ビデオシリーズのテーマを6つに分けた。6作すべてのビデオはISAAAのウェブサイト(http://www.isaaa.org)上のビデオストリーミングまたはダウンロード可能なフォーマット、もしくはYouTubeで視聴が可能である。
 ビデオのトピックス
・    Norman Borlaugの遺したもの
・    組換え作物の全世界的導入状況
・    途上国における組換え作物:中国の組換えイネと高フィターゼトウモロコシの重要性
・    組換え作物の世界的インパクト
・    組換え作物の将来見通し
・    ISAAAの役割:知識の共有
ウェブ視聴者はhttp://www.isaaa.org/rss/podcast/default.asp.にアクセスすることで上記の新しいビデオやオーディオファイル、PDFに代わってポッドキャストを利用することもできる。

Syngenta社とCIMMYTがコムギ研究促進のために産業とリーディングパートナーシップを設立
 国際トウモロコシ・コムギ改良センター(CIMMYT)とSyngenta社がGM、非GMハイブリッド、種子と作物保護の組み合わせを含むコムギの品種改良技術の発展のために官民パートナーシップを結んだ。両者は遺伝子マーカー技術革新、Syngenta社とCIMMYTによるコムギ遺伝子多様性へのアクセス基盤の発展、さらに世界的協力による全世界的コムギ増産を目指している。
 CIMMYT世界コムギプログラムのディレクターであるHans-Joachim Braun氏は、全世界のコムギ生産量は、世界的需要が年1.5%以上の増加に見合うように極めて大きな伸びが必要であると述べた。したがって今回の官民協力は農業の世界規模での挑戦を成功させるためにきわめて重要なものとなるであろう。「気候変動の影響と関連づけつつ、我々は更なる食料危機を避け、迫りくる世界人口の増加に備えて世界中の農家を守らなければならない。今回のようなパートナーシップは世界中の農家、豊かなものにも貧しいものにも多大なる利益をもたらすことができる。」とBraun氏は述べた。
詳細は以下のサイトにある。
http://www2.syngenta.com/en/media/mediareleases/en_100406.html.

査読付報告のまとめ:GM作物の良い影響
農家調査に関する49 報の査読付報告のまとめによると遺伝子組換え作物が特に収穫量の増加によって農家に利益をもたらしたことが示された。これは米国マサチューセッツ州BoylstonのJanet Carpenter氏が書いた商業化化GM作物の良い影響を示したNature Biotechnologyのトピックで発表された記事の中で明らかにされたものである。この再調査結果は組替え技術の広範囲に渡る普及を説明するものであると氏は述べている。
 現在商品化されているGM作物の採用・非採用による経済パフォーマンスの違いを収穫高などの項目によって比較した。その結果、途上国の農家は先進国の農家よりも収穫高の増加率が大きいという結果となった。商品化GM作物の第一波は害虫対策がなされていたために収穫高増加は必ずしも収穫能力に依存せず耕地管理の良さに依存したのである。
 Carpenter氏によれば、今後の関心としては積み重ねられた特性の影響と商品化にまで至るであろうキャッサバ、ササゲ、米などのGM作物技術に対する農家の経験値の評価方法が上げられるということである。詳細は以下。
http://www.nature.com/nbt/journal/v28/n4/index.html#cr
Email the author at janet.e.capenter@gmail.com

組換え作物取引の障害物
 全ての農業部門が世界規模で食糧事情を改善するのに惜しみない努力をしていることは疑いようがない。様々な遺伝子組換え作物に100万ドル以上が投資されている。しかし、ほんのわずかなGM作物しか市場には出回わることができないのが現実である。アメリカのJ.R. Simplot CompanyのCaius M. Rommens氏はその原因はGE作物の研究と発展の間の溝にあると説明している。彼はPlant Biotechnology Journalに掲載されたGM作物市場の壁と道筋という論文の中で、GM作物市場の壁となる障害として以下のものをあげた。
・    耕作地での特性の有効性
・    重大な製品コンセプト
・    取引の自由
・    産業支援
・    同一性保持
・    規制認可
・    消費者受諾
氏はまた上述の障害に打ち勝つための有望な解決策を提示した。例えば、積極的な小売と消費者による購入を増やすために、肯定的な消費者を増やして認知してもらう、組換え作物の優れている点のわかりやすく説明することなどをあげている。
詳細は以下のサイトにあります。
http://www3.interscience.wiley.com/cgi-bin/fulltext/123200391/HTMLSTART?CRETRY=1&SRETRY=0

バイテク作物が多大な利益をもたらすことを示す研究
 バイテク作物は世界的に経済面、環境面に多大なる利益をもたらし続けている。これはUKを中心に審査とコンサルティングを行う機関であるPG経済社によって2つの新たな研究としてまとめられた。
 「1996年以降、バイテク作物の受け入れによる殺虫剤利用機会の減少、農家の収入の増加、コーン、菜種、大豆などの低価格化などを通じて農業関連の温室効果ガスの放出量は減少し続けている。」PG経済社のディレクターであり、この報告書の共同著者であるGraham Brookes氏はこのように述べている。「その技術はまた、作物生産量の増加、生産リスクの軽減、生産効率の改善、主要穀物の世界的生産高の増加に大きく貢献している。したがって経済面と環境面の利益のコンビネーションはより効果の出やすい途上国において、世界的農業のサステナビリティと食糧の値ごろ感の改善に効果的な影響をもたらしている。」
 記載内容を一部抜粋
・    バイテク作物は農業由来の温室効果ガス排出量を大きく減少させる。
・    バイテク作物によって1996年-2008年で3.52万トンまで殺虫剤使用量が減少。
・    多くの地域、特に南アメリカにおいて除草剤耐性バイテク作物は除草剤を一切使わない、もしくは使用量を減らした耕作生産システムの普及を促進している。
・    2008年には94億ドルであった農家レベルでの利益が今後13年で520億ドルにまで成長すると概算している。
・    農家の利益をトータルで考えると、生産コストの削減によって50.5%(262.5億ドル)の生産高増加が見込まれている。
全文は以下を参照。http://www.pgeconomics.co.uk/

アフリカ

ガーナの旱魃耐性・ストライガ抵抗性トウモロコシ
 国際熱帯地域農業機構(IITA)とガーナ国立トウモロコシプログラムが開発した4種の旱魃耐性・ストライガ抵抗性トウモロコシが最近ガーナの農家に解禁された。サバンナ農業研究所とガーナ産業研究所との共同でガーナ穀物研究機構から3種の早生系統種であるEVDT-W 99 STR QPM Co、TZE-W Pop STR QPM C0、TZEE-W Pop STR QPM C0 と1つの中生種である旱魃耐性QPMハイブリッドが解禁された。
 「この解禁によってガーナの農家は熟の期、色、タイプだけでなく、上記2つのストレスへの耐性の有無からも品種を選べるようになった。この2つの主なるストレスへの抵抗種は、この地域でのトウモロコシの生産と生産効率の増加を妨げる主な原因に対抗するもである。」とIITAのトウモロコシ育種家Baffour Badu-Apraku博士は言った。さらに食糧農業省のガーナ穀物・豆類開発局のRobert Asuboah博士は状況を楽観視しており、これらの`保険的`作物は乾期でも農家が利益を得るほど生産が可能であろうと考えている。
詳細は下記のサイトにある。
http://www.afriquejet.com/news/africa-news/ghanaian-farmers-get-drought-tolerant-maize-to-boost-production-2010040347069.html
 

2種のトウモロコシは、アフリカの気候変動に打ち勝つ
 アフリカ大陸で約3億人分の食糧生産が期待されるサブサハラでトウモロコシの2つの新品種が栽培されている。どちらの品種も乾燥に強いが一つは従来手法で育種されたもので、もう一つの高生産性品種は遺伝子組換えによって作られたものである。この品種の組換え遺伝子はごく一般的な細菌で、塵から分離されたBacillus subtilisを用いたものである。B. subtilisとトウモロコシはストレス受容器官を補助するCspBタンパク質に対応する共通の遺伝子をもっている。組換え品種は7年後に市場出すことを目指して生物安全性試験が今行われている。
 アフリカでの水効率性の高いトウモロコシプロジェクトマネージャーSylvester Oikeh氏はアフリカでの気候変動の悪影響について警鐘を鳴らしている。気温上昇、旱魃、塩害の増加は農業に深刻な問題をもたらす気候変動の結果である。モンサント社が開発した遺伝子組換えトウモロコシは気候変動によるあらゆるストレスの中でも最大30%の生産高増が期待されている。
原報告は以下のサイトにある。http://www.climatewire.net

バイオセーフティー政策の地域間の整合性をCOMESAが探っている
 東部南部アフリカの商品貿易同盟(ACTESA)、東部中部アフリカの農業研究強化協会(ASRECA)と共同で東部南部アフリカの共同市場の特別部門、生物安全性プログラム(PBS)と国際アグリバイオ事業団のアフリカセンターは、ケニヤのナイロビにて4月19~20日、COMESA構成国のための生物安全性に関する地域ワークショップを開催した。
 議題として多く上がったのは、COMSA農業大臣の発案で持ち上がったCOMESA領域バイオセーフティー政策や指針の草案作りであった。その政策やガイドラインは、遺伝子組換え(GM)作物の商業生産、その貿易、その緊急食糧援助への取り入れを視野に入れたものである。またCOMESA領域内でのコミュニケーション方法とバイオセーフティーロードマップも提案された。
 ワークショップ終盤では後述する内容を含む声明がCOMESAの意見として発表された。
・    政策決定者の意見を取り入れ、遺伝子組換え(GM)作物の商業生産、その貿易、その緊急食糧援助への取り入れに関する整合性のある政策・指針草案を改善すること。
・    地域バイオ案税制と中央集約化GMOリスク評価機構を制度化する。
・    生物安全性ロードマップ草案を支持し、それをよく認識し、そのギャップを認識し、構成員での実施を支持推進する
・    コミュニケーション方法の草案を支持し、長短期に渡るプログラムの提携においてその運用を可能にすることを推進する。
・    専門化による調査委員やGMOリスク管理小委員会の運用支援のための資金援助を支持する。
・    同意した協議事項実行のための長期間のバイオテクノロジー/バイオセーフティープログラム協力を促進する
さらに詳しい情報を知りたい方はGetachew Belay博士(バイオテクノロジー政策アドバイザー長、ACTESA/COMESA)まで以下のサイトにメールして下さい。gbelay@comesa.int

アメリカ

えんどう豆アブラムシ遺伝子分析
 新規配列決定されたえんどう豆アブラムシ遺伝子の解析をマイアミ大学の研究チームが開始した。えんどう豆アブラムシは緑色の小さな虫で、マメ科植物や他の飼料作物の汁液を好むため植物に直接的ダメージを与えたり、ウィルスの媒介者となったりする。この研究成果は、遺伝子アンノテーションと呼ばれる遺伝子座や遺伝的機能の可能性の決定に役立つものであり、その結果植物や微生物の生態学的繋がりや遺伝子制御のベースとして活用されるものである。
 この研究はUSDA国立食糧農業機構が資金支援した。上記の成果はえんどう豆アブラムシの難解な生態を解明するために利用され、他のアメリカ農業に影響を及ぼすアブラムシを制御する手段を模索するのに役に立つものである。

この報道は、以下のサイトにある。http://www.nifa.usda.gov/newsroom/news/2010news/04011_pea_aphid.html

多様なコムギについて真菌抵抗性遺伝子を探る
カンザス州マンハッタンに拠点を置くUSDA農業研究機構の厳冬コムギ遺伝子調査チームが迫ろうとしているのは、Fusarium graminearum抵抗性要因の特定をしようとするはリスクもある育種戦略である。植物分子遺伝学者Guihua Bai氏が率いるこのチームは、中国、韓国、日本から集められた古い‘ランドレース系‘を含む外来コムギ系統に由来する新たな抵抗性因子の特定を始めた。温室で育成した87種のうち、26種が高いFHB抵抗性を示し、15種は真菌毒素デオキシニバレノール(発病中に真菌が合成する物質)のレベルが非常に低かった。
さらに6種はSumai3とも一致しない3つの異なるタイプのFHB抵抗性遺伝子を有していた。(Sumai3とは抵抗性遺伝要素の一種で、アメリカで栽培されているFHB抵抗性コムギに使用されている。)これらの系統種はアメリカコムギ種を栽培するために新たな抵抗性を得る源となるであろう。研究チームは遺伝子ツールを使用して他の遺伝子要因や商業利用の可能な種の選別の速度を上げている。
 詳細は以下のサイトにある。http://www.ars.usda.gov/is/pr/2010/100401.htm

花を長持ちさせる研究ツール
 フロリダ大学とレディング大学(UK)の共同研究機関であるUSDA農業研究機構、作物病理・遺伝学研究部門(カリフォルニア州デイビス)は根本的原因と老化メカニズムを制御する遺伝子を特定したと発表した。カリフォルニア大学(デイビス)で行われた。研究において、Cai-Zhong Jiang氏とMichael Reid氏によって低濃度のチジアズロン(TDZ)を吹きかけることで鉢植えした植物の葉と花の寿命が延びることが明らかにされた。その後‘ウィルス誘発性遺伝子サイレンシング‘またはVIGSと呼ばれる分子技術を用いた研究でTDZの働きのメカニズムやバラ以外の植物でより効果的であることが明らかとなった。
 この方法は目的遺伝子を導入したウィルスを植物に感染させ、感染、非感染植物を比較するもので、植物が元来持っているウィルス侵入に対する抵抗性を利用している。この方法の根拠となる実験はペチュニアをモデルとして行われた。このモデル実験では、色やエチレン生産に関わる配列をウィルスに挿入してサイレンシングさせると、紫色の花に白い斑点が生じ、老化促進物質であるエチレンの生成が抑制される結果が得られた。「ここでの基本的な考えはウィルスを迅速に遺伝子機能を失わせる道具として使うことで老化を操作しようというものである。」とCai-Zhong Jiang氏は述べている。
 より詳しいことは、以下のサイトにある。
http://www.ars.usda.gov/is/AR/archive/apr10/blooms0410.htm
モモDNAの解析が完了
 ラベル(Lovell)ピーチの遺伝子配列解析が完了したとClemoson大学の新報告が伝えている。Clemon大学でAlbert Abbott氏を代表として行われた大規模な研究プログラムの成果である。氏は分子遺伝学分野でのRobert and Lois Coker Trustees Chairであり、遺伝学と生化学分野の教授でもある。このラベルピーチは落葉樹の成長と分化に重要な遺伝子を特定・解析するためのモデル種として選択された。
ラベルピーチゲノムを解析すれば、リンゴやプラムのような近縁種との特徴付けや栄養素を強化させる遺伝子の特定も可能であろうと考えられている。Bryon Sosinski氏(N.C.州立大学園芸科学分野准教授、モモ解析プロジェクト米国コーディネーター)はその活動は世界中(イタリア、スペイン、チリ、ノースカロライナ.州共同ゲノム機構、Clemson・Washington州立大学)に及んでいる、と述べている。
 詳細と報告は以下のサイトにある。
http://www.clemson.edu/media-relations/article.php?article_id=2686

農家のためのGE作物管理
 「アメリカ合衆国における遺伝子組換え作物(GE作物)の持続的農業への影響」という研究はアメリカ国立研究会議から最近報告された。アメリカのGE作物を栽培している農家の多くは実質的な経済的、環境的利益(低い生産コスト、少ない害虫問題、殺虫剤使用量の軽減、在来種よりも生産高の増加)を得ている、と報告されている。今後もさらに農家が環境面での利益を得続けられる多くの可能性がある。
 その報告では他者間で、雑草耐性問題を挙げる政策決定者間の密な連携、雑草自体を操作してコストを削減する方法を模索、除草剤耐性GE作物の作成、さらに‘保護‘エリアでのEPA管理方法のように害虫が耐性を持たないようなやり方を是認するなどを推進している。次にあげる研究が推進され行われている;米国分水界でのGE作物の影響、GE作物の生産を行っていないものも含む全ての農家におけるGE作物効果の度合、畜産産業へのGE作物の影響
この報告のコピーは、以下のサイトから得られるhttp://www.nap.edu。 また報告やニュースリリースは以下のサイトにある。http://national-academies.org/ 
http://www8.nationalacademies.org/onpinews/newsitem.aspx?RecordID=12804

βカロチン含有量を増加した熱帯トウモロコシの栽培
穀物中のβカロチンレベルの制御に関わる自然発生的対立遺伝子が熱帯トウモロコシに導入され、そのβカロチン含有量が5倍以上増加した、とNature Geneticsオンラインで報告された。
 「トウモロコシはラテンアメリカやアフリカにおける主要穀物であり、炭水化物、タンパク質、他様々な栄養素の摂取源となっているが、プロビタミンAの含有量が一般的に少ない」とYan Jianbing 博士(CIMMYT、この研究の代表者である)は述べる。「我々が発見した有望な対立遺伝子はトウモロコシ中のβカロチン量を従来より5倍以上も増幅する働きがあった」と述べている。
 CIMMYTの特集記事によれば、11の研究機関から派遣された21人の国際専門家からなるこのチームはZea mays β-carotene hydroxylase 1(crtRB1)遺伝子の自然変異を調査した。この遺伝子はトウモロコシの果実中のβカロチンを変化させる働きをもつ。彼らが発見したプロビタミンA増強穀物は、crtRB1lycopene epsilon cyclase(lcye)の2つの遺伝子を対立遺伝子座に配置することで15µg/ g(grain)のβカロチンを持つ熱帯トウモロコシを栽培すること成功したのである。
この研究に関するCIMMYTの記事は以下のさいとにある。
http://www.cimmyt.org/english/wps/news/2010/apr/vitaminA.htm

有機栽培と従来型栽培に関するスタンフォードの研究
 有機栽培と従来型栽培方法との違いとはなんであろうか。Clystal Smith Spangler氏とスタンフォード大学の同僚による200以上の研究のまとめが発表された。
・    有機栽培は農薬残渣による汚染のリスクが非常に低い。しかし有機栽培された作物も従来法の作物もその残留農薬レベルは規定値よりも低い。
・    有機栽培は、細菌、重金属、マイコトキシン汚染を含み、安全性や栄養的な質の面で優れた面はない。
・    有機果物と野菜を食べる子供と有機穀物を食べる大人では、従来の食べ物を摂取するに比べてその農薬に対する暴露は少ないと言える。しかし農薬への暴露の度合いは両者とも安全性基準を満たすものである。
・    有機栽培と従来法での肉、卵、牛乳では細菌汚染度合は両者ともほぼ変わらないが、従来方法の肉、卵、牛乳では抗菌耐性細菌が有機栽培のものより多かった。
 報告は以下のサイトにある。http://healthpolicy.stanford.edu/events/is_there_a_difference_between_organically_and_conventionally_grown_food__a_systematic_review_of_the_health_benefits_and_harms/
 
USDAが害虫抵抗性GMコーンの規制を緩和
 慎重な調査と評価を行い、アメリカ農務省動植物健康調査機関(APHIS)はSyngenta Biotechnology, IncのGMコーンの市場導入の規制を緩和した。
 Syngenta社は2007年9月に害虫抵抗性Btコーンの市場参入規制緩和の申し立て書を提出した。2010年1月13日から5月15日までに市民から寄せられた意見である正確な環境アセスメントや植物の害虫リスク査定を通過し、この申立書は受理された。APHISは市民から寄せられた35の意見に対して説明し、そのコーンが米国環境規定に反するような有害な影響を環境にもたらすような要因を一切持たないことを公言した。
 より詳細な報告は以下のサイトにある。
http://www.aphis.usda.gov/newsroom/content/2010/04/ge_corn_resist_insects.shtml

GMパパイヤの生産が日本で承認
 日本はハワイからの遺伝子組換えパパイヤの輸入を承認した。GMパパイヤは今年から日本のスーパーの店頭に並ぶことができるようになった。これはDennis Gonsalves博士(アメリカ農務省太平洋沿岸農業研究センター長(ハワイ、Hilo)兼Cornell大学植物病理学名誉教授)が第63回雑草学西部支部で発表した。
 Gonsalves氏はGMパパイヤ研究のプロジェクトリーダーであり、GMパパイヤは4700万ドルのハワイのパパイヤ産業を支えた。パパイヤはハワイで2番目に多く栽培されている作物であり、そのほとんどがアメリカ本土と日本に輸出されている。ハワイ産パパイヤはその約25~30%が日本に輸出されている。
 原報告は、以下のサイトで見ることができる。
http://westernfarmpress.com/citrus/gm-papaya-wins-approval-0421/

アジア・太平洋地域

フィリピンの生化学者、アジア人初のロレアルUNESCO科学賞受賞
 フィリピン人生化学者にしてアジア人初のロレアルUNESCO科学賞を受賞したLourdes Jansuy Cruz博士(フィリピンDiliman大学海洋科学部)はフィリピン人初にしてアジア人初の女性科学者賞を受賞した。この賞は他4名が受賞している。世界中で千人近いノミネートがあったにも関わらず、Cruz博士はノーベル賞受賞者Gunter Blobel氏率いる審査員による厳正なる審査の結果、その先駆け的研究(海洋巻貝類由来の毒から非中毒性モルヒネを開発した、コノトキシン研究)が評価され、今回の受賞となった。
 30年前、彼女はBaldomero Olivera博士(Utah大学)とConus(フィリピンで発見された海洋巻貝の一種)毒から抽出されるペプチドの単離・特定について共同研究していた。 このペプチドの一つがアメリカのバイオテクノロジー会社であるCognetix Corporationによって開発され、Prialts Ziconotodine(モルヒネに代わる非中毒性物質)が生まれた。現在conotoxinは人の脳の働きを示す生化学的指針として研究に利用されている。Cruz博士は他の4人の受賞者と同様に賞金10万ドルを獲得、3月にパリのUNESCO本部で行われた授賞式に出席した。この名誉ある賞は毎年生命科学分野に貢献してきた大陸ごとの女性科学者に贈られる。
賞の詳細関連情報は、以下のサイトにある。
http://www.unesco.org/new/en/media-services/single-view/news/loreal_unesco_awards_and_fellowships_for_women_in_science_2010_to_be_presented_at_unesco/back/18256/
http://lifestyle.inquirer.net/sundaylifestyle/sundaylifestyle/view/20100314-258476/Filipina-is-first-Asean-winner-of-LOral-Unesco-Science-Award.
フィリピンのバイオテクノロジーについては、以下のサイトからいられる。
http://www.bic.searca.orgまたメールを以下のサイトに送って下さい。bic@agri.searca.org

CSIROが塩耐性デュラムコムギのフィールド試験に成功
 遺伝子組換え塩耐性デュラムコムギの最近の農場試験が高塩分土壌において既存種よりも生産力で勝った。このGMコムギはオーストラリア連邦科学・工業研究機構(CSIRO)の研究チームが開発した。CSIROのRichard James博士によれば、このコムギは親株Tamaroiより25%生産高が増加した。パンコムギと比べてデュラムコムギは塩耐性が低いが高級パスタに必須であるため、高い利益をだしてもいる。
 塩度はオーストラリアのコムギ農家にとって主要な環境問題の一つである。Rana Munns博士率いるCSIRO研究チームの説明では塩耐性遺伝子(Nax1およびNax2)は葉のナトリウムを阻害することによってコムギに有毒な作用を減らしているということだ。
詳細は、以下のサイトにある。
http://www.csiro.au/news/CSIRO-develops-highest-yielding-salt-tolerant-wheat.html

ヨーロッパ

ヨーロッパ人が農家のバイオテクノロジー使用を支持
Eurobarometer研究の中でAssociation Francaise des Biotechnologies Vegetales (AFBV) は、バイテクがヨーロッパで広く受け入れられていることを明らかにした。約77%の報告書がヨーロッパでは、農家がバイテクの先端的優位性を利用することを支持しているという内容であった。フランスでは、76%の国民が好意的に支持、同様にギリシャ、スロバキア、エストニア、チェコ、ハンガリー、スウェーデン、デンマーク、スロベニアでは86%が是認という結果となった。24歳以下の若い世代では81%が是認しており、55歳以上と比べて高い。さらに、バイテクを学んでいる学生、行政高官、サラリーマンは80%以上が好意的に支持しているのに対し、年金受給者、失業者、主婦、自営業者には多少支持の減少がみられた。
 このリポートはバイテクがヨーロッパ市民に広く受け入れられていると結論付けている。しかし、フランス農家の増収のために、技術に関する情報を提供するというさらなるバイテクへの一般市民の取り組みがなされるべきであると結論している。
フランス語の記事は以下のサイトにある。
http://www.presseafricaine.info/article-afbv-77-des-europeens-48585059.html

Btタバコが池由来の肝臓毒を中和
 タバコは非食用作物であり、健康に良くないものとして知られている。しかし、タバコが良い影響も持つことがわかった。Pascal M.W. Drake学術博士のチーム(St. George大学、ロンドン)は有毒な池の浮きカス、特にマイクロシスチンMRの抗体を生産する新たなタバコ品種をつくることに成功した。マイクロシスチンMRはシアノバクテリアから作られる肝臓毒で、飲用水、水泳用水、漁業用水の悪名高い毒素である。
 マイクロシスチン抗体の生産は組換えタバコの葉で作られ、養液培地中に根から分泌される。次の研究段階として、広い水域を浄化する水生植物ハイブリットを開発する。この新たなタバコは組換え植物の一つでしかなく、研究者達は様々な環境汚染物質を浄化する方法を模索している。
 詳細は、以下のサイトにある。
http://www.sgul.ac.uk/media/latest-news/genetically-engineered-tobacco-plant-cleans-up-environmental-toxin

UKのDEFRAがGMジャガイモの試験を許可
環境食糧地域担当省(DEFRA)は、イギリス国内でのGMジャガイモ試験を許可すると発表した。この試験はLeeds大学が行い、シスト線虫類または線状の害虫抵抗性GMジャガイモの開発を目的とする予定だ。これらの害虫はEUによって主要な殺虫剤が規制されてからジャガイモ農家を脅かしていたものである。今回の試験が成功すれば、殺虫剤を使用しないで害虫を除去できることになる。
 Leeds大学のPeter Urwin博士は試験が純粋に学術的なものであり、商業的要素のないことを強調した。計画では2年で試験を終了し、Yorkshireで以前の農場試験を破壊した組換え反対者達から守るために情報は公開しない予定である。
 詳細な情報は、以下のサイトにある。
http://www.defra.gov.uk/news/2010/100401b.htm

研究

干からびた植物に「命をふきこむ」
 蘇生可能シダ(Polypodium polypodioides)を使ってRonald Balsamo氏(Villanova大学生態学准教授)とBradley Layton氏(Drexel大学機械工学准准教授)の連携チームが極端な水分損失した植物の生き残り機構の謎に迫っている。この研究では時間ごとに異なるタンパク質レベルでの関連性を見出す試みを行い、植物組織の気泡中のタンパクの位置を特定したり、それぞれのタンパクの位置を強力な電子顕微鏡を使って決定したりした。
 研究チームはdehydrin(特別な水分を誘引、隔離、集積する働きを持つタンパク質)が細胞壁の近くに存在していることを発見した。実際に水分子で囲まれたdehydrinは細胞膜と細胞壁の間もしくは細胞壁層の間の潤滑油となっていると考えられている。これは細胞壁が乾燥してぼろぼろに崩れるのを防ぐのに大変重要な作用である。植物導管組織もまたこのタンパクの働きによって変形から守られている。その結果、水分が戻るまで完全にその形を維持している。dehydrin遺伝子の特定と他の種への導入が他の植物に旱魃耐性を付与するのに重要なものとなる。
記事の全文は30日間無料で以下のサイトから閲覧可能である。
http://www.amjbot.org/cgi/content/full/97/4/535 その後の問い合わせはいアのサイトのRochard Hund氏にコピーをお願いできる。ajb@botany.org また、この報告は以下のサイトで見ることができる。
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2010-03/ajob-bdp033110.php

2つの利用目的をもつトウモロコシ-食糧・燃料生産に関わる特徴の遺伝子解析-
トウモロコシ茎葉は穀物の代わりにバイオ燃料としてのエタノールを得るのには、その豊富な資源、セルラーゼ特性の優良さから重要である。そのため2030年までに従来の液体燃料の30%に置き換えるという目標を達成するため、燃料用トウモロコシ茎葉の生産性と品質の改善が求められている。ウィスコンシン大学のA.J.Lorenz氏の率いる研究チームはバイオ燃料生産に必要な遺伝子間相互作用を解析するため、トウモロコシ(Zea mays L.)でセルロース由来エタノール生産のための細胞壁形質の遺伝学的研究を行い、セルロースバイオ燃料生産のための特性を遺伝的関係を明らかにしようとしている。
 自家受粉種、他家受粉種の解析結果、栽培と選択を通じてトウモロコシ品質と燃料生産高を同時に改善するのに影響するような不都合な性質はないことがわかった。また構造炭水化物濃度と細胞壁消化性に相互関係のないことが明らかとなった。これは理論上炭水化物変換による質量あたりのエタノール生産量の増加が可能であることを示している。
 この研究の要旨は、以下のサイトにある。
http://crop.scijournals.org/cgi/content/abstract/50/3/842

作物バイオ最新情報 2009年12月号

ニュース
世界

• 中国は遺伝子組換えイネとトウモロコシに画期的な決定を下した
• 組換え作物の経済性を検討

• 国連報告によると食糧は再度高騰
• コペンハーゲンで農業林業グループが共同声明を出した
 
南北アメリカ

• 組換えアルファルファ反対派に農民団体が反論 
• ブラジルは新規除草剤耐性組換え大豆を承認
• ブラジル農家は従来品種よりも組換え品種を多く栽培
 
アジア太平洋

•  マレーシアのバイオ安全法が発効 
•中国で 遺伝子組換えイネがバイオ安全性の証明を得た
• フィリピンがSyngenta社の 遺伝子組換えGA21 トウモロコシを承認
• Btナスの安全性を確認: インドの科学と技術の大臣が承認
• 遺伝子組換え技術がソルガムのバイオマス特性を改善
• 台湾-韓国が種の遺伝子組換えトウモロコシの輸入承認

• ベトナムの政策決定者がバイオテクノロジーを支援
 
ヨーロッパ

• EU委員会は、Syngenta社の遺伝子組換えトウモロコシの食糧・飼料への利用を承認
• 精密育種によるアミロペクチンジャガイモの造成 
• トルコは遺伝子組換え品の輸入禁止を解いた
• ウクライナは、初めて組換え作物の登録申請を受け付けた
• ブルガリア国会は組換え作物栽培の法律を緩和

研究

• 遺伝子組換え作物の市場参入の障壁
• 遺伝子組換えによる耐病性及び害虫抵抗性キャッサババイオ燃料に関する補遺
• 温室効果ガス放出に関するバイオディーゼルのインパクトの評価報告
——–

ニュース
———
*世界 *
中国は遺伝子組換えイネとトウモロコシに画期的な決定を下した
中国は、重要な遺伝子組換え作物3種(トロイカ)即ち繊維(Btワタ)、飼料(フィ

ターゼトウモロコシ)、食品(Btイネ)の承認を完了する。とClive James博士(国際
アグリ事業団、ISAAA会長でISAAA 組換え作物年報の著者)が以下のように述べた。
ISAAA 2008 年報で、私は「遺伝子組換え作物のニューウェーブを予測した….導入の第一の波と切れ目のないつながりが連続的且つ広い基盤での面積増での強い成長を予測した。」この予測は2009年11月の後半に現実のものになり始めた。それは、1週ほどの短い間に中国の農業省(MOA)は2つのバイオ安全性に証明書を発行し、遺伝子組換えBtイネ(イネは、人類の半分を養っている世界で最も重要な食用作物)と遺伝子組換えフィターゼトウモロコシ(トウモロコシは、世界で最も重要な飼料穀物)を承認した。2つの承認には、中国、アジアと全世界での組換え作物への重大なポジティブな含みある。ここでMOAが行った非常に重要なことは、非常に慎重で十分な研究を実行し、およそ2~3年でこれら2種の極めて重要な遺伝子組換え作物をすっきりと完全な商業化を進めるために、新しい在来種および遺伝子組換え種にあてはまる標準的な登録実地試験の完成までまっていたことに注目すべきだ。今注目すべきことは中国が論理的年次計画で重要な遺伝子組換えトロイカ作物の承認を完了したことである – 最初は繊維(ワタ)で、2番目に飼料(トウモロコシ)で、3番目に食糧(イネ)でした。中国のためのこれらの3つの作物の潜在的利益は、巨大で、下記のようにまとめられる。
Btワタ 中国は1997年以降Btワタをうまく栽培して、現在、中国の700万人以上の小さな農家は、平均して、ヘクタール当たり生産高の10%増加、殺虫剤の60%減少したのでより持続的農業と小農家の繁栄に貢献し、ヘクタール当たり220米ドル(国全体で与えられるべきものであるヘクタール(全国的には10億米ドルに等しい)収入の増加を達成している。中国は、世界最大のワタ生産国でその560万ヘクタールの68%が2008年にBtワタが成功裏に栽培された。
Bt イネ Btイネは、年間40億米ドルの利益を生み出す可能性がある。これは収量が8%増加し、殺虫剤の使用が80%減少し、3,000万ヘクタールある中国の主要食用穀物がヘクタール当たり17kg生産されることになる(Jikun Huang et al, 2005)。中国の全てのイネの約75%がニカメイガに侵されていると推定され、これはBtイネで制御可能なものである。中国は、世界最大の米の生産国で1億7800万トンの米を水田で生産し、これには1億1000万の米農家(1農家4人家族として合計4億4000万人の人々)が従事している。この人々が直接農家としてこの技術の恩恵をうけるが、中国の13億人の米消費者も利益を受ける。Btイネは、中国がまさに自給自足を維持し、旱魃、塩害、虫害、

作物バイオ最新情報 11月号

ニュース


世界

• 国際チームがキャッサバのDNA塩基配列をはじめて解明した 
• FAOによると食品価格は貧しい国で高いままである

• トウモロコシのゲノム地図が完成 
• FAOは、 世界食糧サミットまとめたt

 

アフリカ
• ヨルダンが組換え作物の安全利用を歓迎 
• ブルキナファソの農家はBtワタで収益を上げた  

 
南北アメリカ

• ブラジルは組換えトウモロコシの新2品種を承認  
• カナダがGMトウモロコシと大豆を承認 
 
アジア太平洋 
• タイにおける油椰子遺伝的改良 
• オーストラリアは旱魃耐性小麦の開発を進めている  

• 中国の遺伝子組換え利用と組換え体バイオ安全管理
•マレーシア油椰子研究会が三つの油椰子ゲノムのDNA塩基配列を決定
•  オーストラリアで除草剤耐性サトウキビの制限付き解放栽培を実施
•パキスタンはBtワタ品種を承認
• 中国は、遺伝子組換え高フィターゼトウモロコシを承認 

• オーストラリアは組換えワタの栽培を承認
 
ヨーロッパ

• EU は、新たに3品種の遺伝子組換えトウモロコシを承認 
• 精米中の鉄含量を6倍にした

• EFSAはバイエル社の LLRice62 安全委員会に上程 
• 英国食品安全局はDNA組換え食品の対応に関する報告を出した

研究

• 中国科学者がキュウリの遺伝子のドラフト塩基配列を決定した

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ニュース
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*世界 *

国際チームがキャッサバのDNA塩基配列をはじめて解明した 
国際的研究コンソーシアムは、キャッサバゲノム塩基配列の最初の草案を完成したと発表した。これは、自給用作物の品種改良を飛躍させる重要な第一歩である。アリゾナ大学の研究者が率いるチームは、サンガーの末端対合法と454のシングル及び末端対合高速配列法を組み合わせて760Mbのキャッサバゲノムの塩基配列草案を完成させた。

キャッサバは、主に発展途上国の億5000万人以上の主食である。しかも旱魃等いろいろの環変化に耐えることができる各種耐性の高い作物である。しかし、キャッサバは、現在アフリカの若干の地域で食糧安全保障を脅しているキャッサバ褐条病(CBSD)を含む多くの病気にかかりやすい。
2003年にグローバルキャッサバ共同体(GCP-21)を開設してスタートしたキャッサバ塩基配列プロジェクト参加者が今年のはじめに集まり、454生命科学及び米国エネルギー省の合同ゲノム機構(DOE JGI)が454Genome Sequencer FLXプラットホームを使って必要とするDNA塩基配列データーを早急に生みだすように方向付けをした。
6100万以上の配列解読が完了し、キャッサバゲノムの95%(キャッサバゲノム760Mbのうちの416Mb)をカバーするドラフト配列に組みあげた。「キャッサバゲノムに含まれる情報はこの重要な作物を改善する大きな情報を提供するもので、品種改良の時間と費用を削減し、新品種を必要とする農民に改良品種を早く届けられるようになる。」とDonald Danforth Plant Science Center.のClaude Fauquet博士が述べた。
新しく利用できるキャッサバゲノム情報の構築にあたり、ビルとメリンダゲイツ財団は130万(米ドル)の基金をキャッサバの更なる遺伝資源を開発するためにアリゾナ大学も提供した。これらの遺伝的資源は、重要な形質の遺伝子マーカーの開発など育種のためのツールを提供して、農家にこの重要な作物の品種改良を支援するものである。
原報告は以下のサイトにあります。http://www.danforthcenter.org/newsmedia/NewsDetail.asp?nid=182 ゲノム配列データーは以下のサイトから入手できる。http://www.phytozome.net/cassava


FAOによると食品価格は貧しい国で高いままである
国連食糧農業機関(FAO)の最新の作物と食糧事情に関する予想によると、貧困国の食料品価格は、今年の穀物が豊作であったにもかかわらず「頑として高い」ままである。国連機関は、現在の食糧不安が31カ国に影響を及ぼし、特に東アフリカの2000万人は緊急食糧援助が必要になっていると述べた。
食糧価格が二年前のピークからかなり下がったが、「小麦とトウモロコシの国際的な価格は10月に高くなり、米輸出価格は危機の前のレベルをかなり越えている。」とFAOが述べている。
「食物に彼らのもち金の最高80パーセントを使う世界の最も貧しい人々には、食料品価格危機は、まだ終わっていません」と、Hafez Ghanem 、FAO副部長が言った。「貧困と飢えと戦うために発展途上国農業への投資を増やすことは、現在世界的な最優先課題である。」とも言っている。FAOは、来週ローマで開かれる世界食糧保障サミットでポートを公表することになっている。
詳細は以下のサイトにある。 http://www.fao.org/news/story/en/item/37127/icode/

トウモロコシのゲノム地図が完成 
米国の研究チームは、世界で最も重要な作物のより高い収量の品種の開発研究を促進するのに役立つトウモロコシゲノムの塩基配列決定した。150人以上の科学者から成る同チームは、Scienceの今週号に、その成果を報告した。彼らは、特にB73と呼ばれるあいのこ種ゲノムの塩基配列決定した。

チームは、トウモロコシの10の染色体全体に広がっている約32,000の遺伝子を特定しました。彼らはまたゲノムの85パーセント以上が動く(transposableな)遺伝因子から成り、その8,494の遺伝子群がシロイヌナズナ、モロコシと米と共通することがわかった。「細胞遺伝子や核遺伝子地図が前世紀にその研究と品種改善に革命をもたらしたことと丁度同じことが起こり、B73トウモロコシ遺伝子配列は基礎研究の推進するものであり、世界的な気候変動の時代に食物、飼料、エネルギーと産業用原料の世界的な伸びゆく需要を満たす研究開発を促進するものである。」と、チームは報告した。
トウモロコシの32億塩基対からなるゲノムは、Science、PLoS Genetics、PNASとPlant Physiology誌に既に多くの報告が出ているようにtransposableな遺伝子、トウモロコシの中心体の由来、microRNA遺伝子の特徴から雑種強勢や作物進化までについての多くのことを明らかにした。
B73トウモロコシゲノム配列を手にすることができたので、研究者は他のトウモロコシ品種の配列解析を開始した。例えば、Luis Herrera-Estrella 氏と共同研究者は、メキシコ高地由来のトウモロコシのPalomeroの配列を決めて、これと現在使われているB73の配列と比較した。.そして、そのゲノムがB73のものよりもおよそ22パーセント小さく、また、反復配列も20パーセント少なかった。更に、彼らは、主に重金属耐性に関与する遺伝子がB73とPalomeroの両方に存在するが、トウモロコシの祖先であるteosinte(ブタモロコシ)には存在しないことを示した。Luis Herrera-Estrella 氏と共同研究者は、当該地域の土壌中の金属の存在に関係する環境要因がトウモロコシの作物化に重要だったと発表した。
フランスのINRAのCatherine Feuillet氏とKellye Eversole氏からのScience誌に出版した将来展望にもあるように、「これらの研究」は、遺伝学、植物生物学の進展上のマイルストーンであり、変容する農業を展望できるトウモロコシの栽培者と関連する科学者達の冠的な研究的成果である。
B73トウモロコシのゲノムの報告は、以下のサイトにある。 http://dx.doi.org/10.1126/science.1178534 Herrera-Estrella氏と共同研究者の報告は、以下のサイトにある。 http://dx.doi.org/10.1126/science.1178437  Sciencerにある付帯する報告は、以下のサイトにある。 http://dx.doi.org/10.1126/science.1177837http://dx.doi.org/10.1126/science.1178294 公開雑誌 PLoS Genetics isに出版された付帯研究報告は、以下のサイトにある。http://collections.plos.org/plosgenetics/maize.php 将来展望の紙上報告は、以下のサイトにある。 http://dx.doi.org/10.1126/science.1183463


FAOは、 世界食糧サミットまとめた
国連食糧農業機関(FAO)の長であるJacques Diouf氏は、世界を飢えから解放することが可能である事を確認するところから、「単なることばから行動」へと進むべきと結論して、World Foodサミットを終えた。ローマで今週始め持たれたWorld Foodサミットには、182カ国とEUのコミュニティから60カ国の首脳と191人の大臣があつまった。Diouf氏は、サミットが4つの重要な決定をした。これらは以下を含む:

  • 2015年までに飢えを半分にするという第一ミレニアム開発目標を達成する努力を再開するという断固たる決意
  • 世界食糧保障(World Food Security、CFS)についてのFAO委員会の大改革を通して、国際協調と食糧安全保障を改善するという決意
  • 農業、食糧安全保障と発展途上国の地方の展開のための資金提供の下降傾向を覆すという約束
  • 第3の世界で農業生産と生産性への新しい投資を促進するという決定

しかし、数人の批評家は、サミットの結果に疑問を持っている。G8リーダーの一人であるイタリアのSilvio Berlusconi氏はサミットに出席できなかった。Diouf氏さえもサミットは望んでいたところに達していないとし、更に、「残念なことに月曜日の公式なサミットの宣言は、定まった目標もなく、さらにその実行にあたっての期限もない。」と述べている。国連機関は、豊かな国が1年につき440億米ドルを投入すればば、世界の飢えが根絶されることができると言っている。
詳しい情報は、以下のサイトにある。http://www.fao.org/news/story/en/item/37465/icode/ Diouf 氏の結語は以下のサイトにある。http://www.fao.org/fileadmin/user_upload/newsroom/docs/dgfinalspeech.pdf


*アフリカ *
 
ヨルダンが組換え作物の安全利用を歓迎 
ヨルダンは、バイオテクノロジーの利益を最大にするその努力の速度を上げる必要があると認めた。「我々は、食糧不安の最中にテクノロジーをためすのを恐れていてはならない。地域協力は、必要なものだ」と、ヨルダンの食糧及び医学顧問の長であるRawashda博士が2009年11月16~17日のヨルダンのアンマンで開かれた遺伝子組換え食品(GM)第4回国際会議の開会の辞で述べた。

会議は、この地域でGM食品を使おうとするアラブ諸国からの参加を得て協議する場となった。「ヨルダンは、遺伝子組換え作物のように人々の生活をよくするためのどんな技術でもその安全利用を受け入れる」と、ヨルダン農業省長官のRady Altarwana博士が付け加えた。
会議のより詳しい情報を得るにはエジプトバイオ情報センターの Dr. Ismail Abdel Hamid(ebicvision@yahoo.com or ismail@isaaa.org.)にメールして下さい。

ブルキナファソの農家はBtワタで収益を上げた 
Bt綿栽培第期後、ブルキナファソの農民は、1ヘクタールにつき平均1.3乃至1.5トン(従来の綿の平均産出高であったヘクタールにつき950kgと比較したかなりよい)の収穫を想定している。全国で150,000トンのBt綿の収穫が期待されている。この情報は、ケニヤ、マリとブルキナファソかのセクターのジャーナリスト、政策立案者、監査機関、農民と技術者のために国際アグリ事業団(ISAAA)のAfriCenterが設定した「百聞は一見にしかず旅行」期間に2009年11月~13日に農家の人々と情報を共有することにした。
農家も、平均して回のスプレーを必要とする従来の綿と比較して、Bt綿が多くても回のスプレーを必要とする点に注目した。これは、農家とその家族が農薬散布のために水をとりに長距離行かねばならないことと散布にも多大の労力を要し、しかも化学製品を運ぶ緊張からも解放されることになる。そのような農薬使用には、健康問題(風邪、水泡、中毒など)を農薬の使用減少と農薬への暴露を少なくすることでかなり縮小できる。
詳細なレポートはISAAA AfriCenter、b.bitta@cgiar.org 、のBridget Bitta 氏に尋ねて下さい。

*南北アメリカ *
 
ブラジルは組換えトウモロコシの新2品種を承認  
ブラジルバイオ安全委員会は、Syngenta社の遺伝子組換えコーンMIR162とBt11xGA21の商業栽培を承認したと、Syngenta社がプレスリリースを行った。MIR162は鱗翅目害虫(例えば、オオタバコガ, タマナヤガ、 フォール軍虫)で,ブラジルでの主なる虫害からトウモロコシを守るためにVip3Aa20殺虫性タンパク質を発現する。これらがSyngentaによるとブラジルのトウモロコシの主要な害虫の脅威となっている。一方、Bt11xGA21は、グリフォセートとグルフォシネート除草剤耐性のために組換えEPSPSとPAT酵素をもつとともに昆虫抵抗のためにcry1Abタンパク質に対する耐性を発現している。
より詳しい情報は以下のサイトにある。http://www.syngenta.com/en/media/mediareleases/en_091113.html

カナダがGMトウモロコシと大豆を承認
カナダの食糧検査局による安全評価の後、パイオニア社のHi-Bred遺伝子組換えトウモロコシ(98140)と大豆(356043)を環境放出と家畜飼料用として何の縛りもない解放利用を認可した。組換えトウモロコシと大豆は、gat遺伝子(トウモロコシにはgat4621, ダイズにはgat4601を発現させ、グリホサートとALS阻害農薬への抵抗性を示す。
CFIAはその評価の中で遺伝子組換え作物は「特に変わった環境リスクを提起するものではない。」また「カナダにある現在の商業生産大豆と家畜に飼料の安全性で問題を提示するものではない。」と結論した。承認された手法で育種されたどのダイズもトウモロコシも環境への放出や飼料としての利用が、もしも用途がこれまでのものと同様であり、新しい遺伝子が認可された品種と同じレベルであり、種間交雑が行われていないならばなんら問題ないとした。
承認に係る詳しい情報は、以下のサイトにある。 http://www.inspection.gc.ca/english/plaveg/bio/dd/dd0977e.shtml#a3http://www.inspection.gc.ca/english/plaveg/bio/dd/dd0978e.shtml#a3


* アジア太平洋 *

タイにおける油やし遺伝的改良 
タイの15年後の代替エネルギープランで政府はエタノール、バイオディーゼル、バイオマスとバイオガスから作り出されるバイオエネルギーの使用を促進するとした。これらの代替燃料は、タイに豊富にある原料、カッサバ、砂糖、米とパーム油から作ることができると国立遺伝子工学及びバイオ工学センターの政策研究及びバイオ安全部のKulwarang Suwanasri氏が述べた。

パーム油は、その低コストのため、バイオディーゼル製造の主な原料だ。増加する需要を満たすためにパーム油を増産するために、農業省はより高い収量を達成するプランを設定した。即ち、ヘクタール当たり20トンに遺伝子改善、栽培管理技術の改善で行う開発計画を出した。この他にバイオディーゼル製造のための潜在的なタイで利用できる他の原料として廃植物油、ココナッツ、大豆、挽いたナッツ、キャスター、ゴマ、ヒマワリとjatrophaから抽出される油がある。
全報告は以下のサイトにある。 http://home.biotec.or.th/NewsCenter/my_documents/my_files/12F49_THAILAND_BIOTECH_GUID.pdf またはhttp://www.safetybio.agri.kps.ku.ac.th/index.php?option=com_content&task=view&id=6738&Itemid=47


オーストラリアは旱魃耐性小麦の開発を進めている  
オーストラリア国立大学のGonzalo Estavillo 氏と Barry Pogson氏をリーダーとする国際研究チームは、旱魃でも生き残るシロイヌナズナの遺伝子を特定した。Estavilloと共同研究者は、シロイヌナズナのさまざまの変異体検討している過程で高い光に変わった応答をする変異体を見つけ、これを遺伝子(SAL1と呼ばれる)を特定した。SAL1は、植物がより長い間水なしで生きのびるのを可能にした。研究チームは、現在農業産業で最もと優れた小麦の品種にこの特性を導入しているところであると言った。
「プロジェクトの究極の目的は、旱魃耐性と水利用の改善された小麦品種の開発である。」そして「次のステップは、分子生物学手法でSAL1遺伝子を欠いている小麦変異種を特定することだ。この品種は、軽度から中度の水不足のもとで緑で、ふくれていて、光合成的に活発なままであり、より多くの葉が茂り、花と種を実らせる。」とEstavillo博士は説明した。更にこの突然変異は、遺伝子の欠失によって旱魃耐性を作るので、遺伝子組換えによるものではないとも述べた。
旱魃耐性の小麦品種はは、将来重要であることがわかっている。気候モデルによると、南オーストラリアの地域の巨大な小麦地帯が次の50年には、大幅により乾燥すると予測されている。
より詳しい報告は以下のサイトにある。 http://news.anu.edu.au/?p=1738


中国の遺伝子組換え利用と組換え体バイオ安全管理
遺伝子組換え技術は、中国の現代の業発展に不可欠なものになっていて、しかも持続的農業開発と食糧安全保障を確保に不可欠な役割を果たす。たとえば、遺伝子組換え害虫耐性ワタは、大きな経済的、社会的で、環境的利益を創製した。これは、2009年11月9日に北京で行われた「遺伝子組換え農業技術の利用と組換え生物の安全な管理経営」についてのセミナーの後での中華人民共和国の農業省、科学技術省、科学アカデミー(CAS)、農業科学アカデミー(CAAS)、バイオテクノロジー協会(CSBT)とモンサント社の専門家の意見だ。
専門家は、中国の遺伝子組換え農業技術の現状、遺伝子組換え作物の経済的インパクト、GMOの生物学的安全性研究とGMO管理関連の政策及び規制について報告した。更に、この20年で、遺伝子組換え作物の食品安全問題は全くなかったと付け加えた。環境安全とヒトの健康への安全性を確実にするために、中国政府は、農業GMO安全性評価と管理のために厳しい科学的システムを確立した。商業栽培のため、または、輸入のためには、全ての組換え作物品種及びその製品輸入には、食物と環境安全の評価を受けて、政府の承認を得る必要がある。
セミナーの詳しい情報についてはProf. Zhang Hongxiang( zhanghx@mail.las.ac.cn またはDr. Yue Tongqing ( yuetq@mail.las.ac.cn)に問い合わせてください。

マレーシア油やし研究会が三つの油やしゲノムのDNA塩基配列を決定
マレーシアのパーム油委員会(MPOB)とOrion Genomics社は、油やし3品種の遺伝子の青写真を解読したと発表した。油やしは重要な大量製品製造作物として重要である。特にマレーシアは世界最高のパーム油生産者であるからだ。昨年1770万トンの粗製パーム油を生産して、パーム油製品RM65.2 10億(176億米ドル)相当を輸出した。
MPOBの先端バイオテクノロジー及び育種センターは、油やしpisifera とdura palmを含むElaeis oleiferaE. guineensisの塩基配列を決定した。3種の油やしのゲノムの配列を決めるのは簡単ではない。この作物は、18億以上の塩基対から成り、イネのゲノムの4倍ある。今年のはじめ世界一のプランテーション会社であるSime Darby社の研究者は、油やしのゲノムの配列とアッセンブリーを決定したと報告した。
 MPOBの所長であるDatuk Dr Mohd Basri Wahid博士は、これらの油やし品種のゲノム配列に関する知見が高収量及び耐病性の品種開発を可能にするものであると強調した。MPOBはまた油やしのエピジェネティックスの構成についても研究する計画があるとも述べた。「油やしのエピジェネティックスを研究することで多くの油の生産、エーカー当たりの効率を急速に開発することを理論的に行える」とWahid博士がのべた。MPOBは一億マレーシアリンギット(3000万米ドル)を油やしゲノムプロジェクトに投資した。
原報告は、以下のサイトにある。 http://www.bernama.com/bernama/v5/newsbusiness.php?id=453779 および http://www.bernama.com/bernama/v5/newsbusiness.php?id=454406


オーストラリアで除草剤耐性サトウキビの制限付き解放栽培を実施
オーストラリアの遺伝子工学管理機構は、BSES社が提出した6,000品種の遺伝子組換えサトウキビの限定解放栽培の申請を承認した。管理機構の発表によるとBSES社は、「種の除草剤耐性遺伝子、2種のマーカー遺伝子(nptIIとbla)、レポーター遺伝子からなる3つのカテゴリーの遺伝子組換えサトウキビ品種を解放栽培する。」と述べた。除草剤耐性を与える遺伝子と制御配列の特定を含む遺伝子修飾の詳細は、国の遺伝子工学法のもとに商業上の情報の守秘条項(CCI)にあたるとした。
試験の目的は、2009-2015年にクイーンズランド州の6ヶ所で行われ、野外でのGM品種の農学特性を評価することにある。GMサトウキビ品種は、ヒトの食品や家畜飼料には使わない。管理機関によるリスク評価プランでは、計画案はヒト及び環境に全くリスクはとるにたらない。BSESは、環境へのGM作物の漏出を防ぐ処置をする必要がある。
より詳しい情報は、以下のサイトにある。http://www.ogtr.gov.au/internet/ogtr/publishing.nsf/Content/dir096



パキスタンはBtワタ品種を承認
パキスタンの政府は、遺伝子組換え作物の国内栽培を公式に承認した。パキスタンの環境大、環境保護局、バイオ安全委員会からなる会合は、種のBtワタの商業栽培を認可した。Btワタ、CEMB-1とCEMB-2、はパンジャブ大学の分子生物学先進センター(CEMB)の科学者によって開発された。この品種は年以上の試験後、パキスタン中央ワタ委員会(PCCC)によって推薦されていた。

デイリータイムズは、非公開ニュース源からの引用記事には承認されたつの品種を含む合計10品種のBtワタがパキスタンで商業されると報道している。この記事はさらに、現在、44以上の遺伝子組換え品種が政府承認なしで栽培されていると強調した。これらのパンジャブ種子委員会の承認を待っているBtワタ品種は、翌年の栽培シーズンに間に合うだろう(Kharif  2010)。
デイリータイムズの記事は以下のサイトにある。http://www.dailytimes.com.pk/default.asp?page=2009%5C11%5C26%5Cstory_26-11-2009_pg5_10 . 詳しいバイオテクノロジー開発についてはパキスタンバイオ情報センターの Dr. Iqbal Choudhary (iqbal.choudhary@iccs.edu )に問い合わせて下さい。

中国は、遺伝子組換え高フィターゼトウモロコシを承認 
Origin Agritech社(北京に拠点を置くバイオ企業)は、世界初の遺伝子組換え高フィターゼトウモロコシの商業承認の認可を中国農業省からバイオ安全性証明書を受取った。遺伝子組換えトウモロコシは、中国農学アカデミーで年研究の成果だ。
フィターゼは、フィチン酸(リンの貯蔵形)を分解するのに用いる飼料添加物として使われる。フィターゼは、60パーセントも動物へのリン吸収を増やすことができる。遺伝子組換え品種を用いることで、別にフィターゼとコーンを別々に購入する必要がなくなる。フィターゼトウモロコシの利用は、家畜排せつ物と過剰な肥料使用によるリン酸汚染を減少する。フィターゼは、環境保全目的のためにヨーロッパ、東南アジア、韓国、日本や他の地域では、飼料添加物として義務化されている。
「この画期的な種子承認で、我々は単に中国で最初の遺伝子組換え種子を自前の種子を持つのみならず中国への新規遺伝子組換え農産物導入のの活発なリーダーとなったものであり、このような活動を今後も続ける」とOrigin社の社長Gengchen Han氏が述べた。中国での遺伝子組換え作物は、段階の承認段階に分けられる:第一相は、実験室での承認から第段階のバイオ安全証明書の受領まである。現在、種子の承認プロセスは、の中の遺伝子が組み替えられた種製品は、段階にBiosafety証明書の最終的な受領に第一相研究所承認から始めている承認のつの別々のステージを経なければなりません。現在では、このGM種承認プロセスは、Origin Agritech社のような国内の種子生産者だけに適用される。
詳しい情報は、以下のサイトにある。 http://www.originagritech.com/news/news.php


オーストラリアは組換えワタの栽培を承認
オーストラリア遺伝子工学管理機関(OGTR)は、Dow社の遺伝子組換え品種、WideStrikeワタ、の商業解放栽培を承認した。ワタは、害虫抵抗性のためにCry1FとCry1Ac遺伝子発現している。OGTRによって出される許可は、遺伝子組換えワタを南オーストラリアの現在の全ての栽培地域での栽培を認可するものであり、北オーストラリアを含むオーストラリア全土でのワタ種子の飼料としての利用を認可するものである。北オーストラリアは、GMOの潜在的広がりと持続的生育を制限する処置がなされている地域である。
この承認決定には、リスク評価及びリスク管理計画(RARMP)について市民、州と地域政府、政府機関と地方議会との十分な協議の後、なされたとOGTRが述べた。RARMPは、WideStrike品種の商業栽培によって「遺伝子組換え技術は、ヒトの健康と安全性と環境への低い或いはとるに足らないリスクしかない。」と結論した。
詳しい情報は、以下のサイトにある。http://www.ogtr.gov.au/internet/ogtr/publishing.nsf/Content/dir091



* ヨーロッパ *

EU は、新たに3品種の遺伝子組換えトウモロコシを承認 
EU委員会は、その27の加盟国の全域で食物、飼料と加工に関する3種の遺伝子組換えトウモロコシを承認した。モンサントの害虫耐性YieldGard VTプロ(MON 89034)と害虫抵抗性と除草剤耐性YieldGard VT Rootworm/RR2(MON 88017)、デュポンの多重組換え品種Herculex RW/Roundup Ready Corn 2を欧州連合が輸入できることになった。初期の認可と同様で、大臣の会議がコンセンサスに達することができなかった後、EU委員会が承認を出しました。

承認は、ヨーロッパの食品安全委員会(EFSA)の科学的意見である「GMトウモロコシは、ヒト及び動物の健康に関して、または、環境に関してどんな悪影響を及ぼすことはあり得ない。」との結論を採択して行ったものである。
より詳しい情報は、以下のサイトにある。 http://www2.dupont.com/Media_Center/en_US/daily_news/november/article20091103.htmlhttp://monsanto.mediaroom.com/index.php?s=43&item=763

精米中の鉄含量を6倍にした
スイスのETHチューリッヒの科学者は、遺伝子組換え法で、つの遺伝子を既存のイネ品種に導入することで精米中の鉄の含有量を6倍に増やすことに成功した。これは、2009年9月22~25日にバンコクのSirikit女王国立コンベンションセンターで開催された「国際農業バイオテクノロジー会議:よりよい生活とクリーン環境」で、ETH Zurich の生物学部のWilhelm Gruissem 博士が発表したものだ。
たとえ大量に消費しても、精米は毎日の必要な鉄の量を満たすことはできない。研究チームはイネがつの遺伝子、酵素ニコチンアミンシンターゼ(鉄の移動を促す)と鉄を保持するferrtinタンパク質を発現することを発見した。その相乗作用によって、イネが土からより多くの鉄を吸収して、それを米の実に保存させると、Gruissem博士が言った。ニコチンアミンシンターゼの生産物nicotianaminは、一時的に鉄を結びつけて、植物への移送を容易にする。
詳しい情報は以下のサイトにある。
http://www.safetybio.agri.kps.ku.ac.th/index.php?option=com_content&task=view&id=6764&Itemid=47

EFSAはバイエル社の LLRice62 安全委員会に上程 
ヨーロッパの食品安全局(EFSA)(EUの最高の食物監視者)は、欧州連合で食物/飼料用途、輸入と加工のための遺伝子組換え除草剤耐性LLRice62の市場認可へのバイエルの申請に関して、2007年に声明を出しました。EFSA声明は「GMイネは、その少数が耕作地に入る可能性や既存の栽培品種や野生のイネと交雑する可能性はあるが、流出が港や精米地、通過ルートのまわりにある自然のままのイネに影響を与える可能性はありえない。」とするものである。EFSAは、除草剤グルフォシネートの存在以外にGMイネの適応性、自然界での挙動に何ら変化の兆候がないと主張した。
最近、欧州委員会はEFSAにLu & Yang氏によるBiotechnology Advance に出版した報告にLLRice62ついて先のEFSA環境安全性結論を変える新情報を含むかどうかを精査することを要請した。この報告は、栽培されたGMイネが交雑可能な野生の関連種との垂直遺伝子拡散を起こし、環境問題を惹起すると概説している。
関連した科学的な出版物を考慮して、EFSAはその最初の結論を堅持している。EFSAは、「環境リスクについて先のLLRice62の意図的利用に関するリスク評価を覆してこの栽培を排除する何ら新しい証拠はない。」としている。
EFSA の科学的意見を以下のサイトからダウンロードできる。http://www.efsa.europa.eu/cs/BlobServer/Statement/1365.pdf?ssbinary=true Lu とYangの報告は以下のサイトにある。 http://dx.doi.org/10.1016/j.biotechadv.2009.05.018


 英国食品安全局はDNA組換え食品の対応に関する報告を出した
食品安全局によるGM食品への動向調査の委任研究が最近発表された。研究は、国立社会研究センターが行ったもので、英国の社会の動向調査2008(BSA)におけるGM食品を含む食品技術に関する一連の質問を補完するものである。報告は、なぜGM食k品に特別の思いをもつのか、どのようにして人々のGM食品に対する対応が形成されるのか、どのようにして人々の見解が変わるのか等について調査した。研究の結果によるとGM食品の理解に階層があるということが示された。GM食品への対応は、複雑であり、GM食品のリスクと便益が見解を支える要因によってさまざまに評価されることが示された。
この記事は、以下のサイトにある。 http://www.food.gov.uk/multimedia/pdfs/gmreportnov09finalreport.pdf. 全レポートは以下のサイトからダウンロードできる。 http://www.food.gov.uk/news/newsarchive/2009/nov/gmreport.


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研究
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中国科学者がキュウリの遺伝子のドラフト塩基配列を決定した
キュウリは、性の決定研究と植物脈管系生物学のためのモデルシステムとして、また経済的に重要な作物だ。Cucumis sativus var. sativus L.草案ゲノム塩基配列は、中国農業科学アカデミー野菜花卉研究所の中国科学者が伝統的なサンガー法と次世代のIllumina GA配列技術の新しい組合せによって完了した。成果は、2009年11月1日にNature Geneticsでオンラインで発表された。
この研究において、科学者は72.2倍のゲノム範囲を収め、そして、結果はキュウリのつの染色体のうちのつがCucumis melo(メロン)からの分岐した後10代前の先祖の染色体の融合に起因すると確認した。キュウリゲノムの塩基配列は、これらの形質の理解する術を提供している。例えはその性の決定、耐病性、cucurbitacinと『新鮮な緑』匂いの由来、その上選り抜きの栽培品種の開発、植物脈管系の進化と機能研究が可能になる。
全報告は以下のサイトにある。
http://www.nature.com/ng/journal/vaop/ncurrent/abs/ng.475.html

作物バイオ最新情報 2009年10月

ニュース

世界

• FAOは農業への投資の増加が必須と述べた 
• 食糧保障への気候変動のインパクト 

• 2009年度世界飢餓指数
• Borlaug博士を讃える受賞者ホール 
 

南北アメリカ

• Genuity SmartStaxの試験でトウモロコシオタバコガに効果があることを示した 
• ARSは、病害耐性でアフラトキシン汚染のないトウモロコシ品種を提供
•メキシコはGMコーンの試験を承認
 
ヨーロッパ
• アジアはバイオテク及び知識運用に挑戦する必要がある
• 組換え作物のインパクトに関する国際会議
• GMワタと従来のワタとの収量の比較
• 日本は、2500万米ドルを国際イネ研究に投資
• タイの組換えパパイヤの事前分析
• GM青いバラが来月日本の市場に現れる
• オーストラリアの科学者がコムギふ枯病耐性小麦品種を特定したAsia Needs to
 
アジア太平洋

• Mon89034 x NK603輸入に対するEFSAの意見
• 遺伝子組換えトウモロコシ品種は在来種よりも影響は少ない
• 王立協会の報告は世界的な農業の持続的強化を提案

研究
• 小麦遺伝子をトウモロコシ胚乳で発現すると湿式粉砕の効率が上がる
• ササゲの遺伝子地図が解明された
• 組換えDNAとBtタンパク質の野生のイノシシとシカに摂取・散乱後の行方

バイオ燃料補遺
• バイオ燃料用のトウモロコシ生産の水質へのインパクト
• 植物のスベリン生合成のキー酵素がストレス耐性バイオエネルギー作物への道を開く
• バイオエネルギー作物の直接・間接土地利用の温室効果ガス放出へインパクト
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ニュース

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*世界 *

FAOは、農業への投資の増加が必須と述べた 
世界的な農業生産は、さらに増える23億人を食べさせるために、2050年までに70パーセント成長しなければならない。この課題に対処するために、研究開発へのより多くの公共投資、新技術の広範囲にわたる採用、農業技術と品種の多様性が、必要である。この視点は、食糧農業機関(FAO)によるローマで開催した2050年にはどのようにして世界中に食させるかについての高度専門家によるフォーラムの結果をTechnology Challenge紙上に発表した。FAOは、引き続き努力すべき分野を以下のように示した。

  • 農業投資の農家の利用性を向上
  • 改良品種の普及
  • 農業への研究開発投資の強化
  • 「収量格差」の解消


FAOフォーラムは2009年11月16-18日の食糧保証世界サミットの準備会である。


FAOからのプレスリリースは、以下のサイトにある。
http://www.fao.org/news/story/en/item/35686/icode/

食糧保障への気候変動のインパクト 
気候変動がもたらすと考えられる食糧安全保障の上の結果は、何だろうか?人間の幸福のために否定的な結末をなくするようなやるべきことは、何だろうか?「途上国における気候変動の農業への影響への対応策に関するレポート:そのためのコストは?」が国際食料政策研究機関(IFPRI)から出版された。それによると気候変動は、農業及び人類の暮らしにネガティブな影響が出るとしている。「子供たちの健康と良い暮らしに対するネガティブなインパクトが出ないように十分なカロリーを保証するには$7.1-7.3億USDにのぼる非常に大きな農業生産への投資が必要であるとこのレポートで述べている。
気候変動シミュレーションによる作物生産モデルによると以下のような指摘がなされている。
・   発展途上国で気候変動が主要穀物の収穫減少をもたらす。特に南アジアで大きな影響が予想される。

  • 気候変動は、この地域での潅漑作物への影響は様々と予想されるが、南アジアの潅漑作物の全ての収穫量が大きく減少すると予想される。
  • 気候変動は、最も重要な作物である。イネ、コムギ、トウモロコシ、ダイズに更なる価格上昇をもたらす。

2050年に得られると考えられるカロリーは気候変動がないとしたものよりも低下するのみならず、もう既に2000年のレベルよりも途上国全域で低下している。

全報告を以下のサイトから入手できる。 http://www.ifpri.org/publication/climate-change-impact-agriculture-and-costs-adaptation

2009年度世界飢餓指数
コンゴ民主共和国、ブルンジ、エリトレア、シエラレオネ、チャドとエチオピアを含む約29カ国は、飢えが切迫したかとても切迫に近いレベルがある。その上、13カ国は、1990年以来より高い飢えレベルにあった。飢えの高い率は、男女不平等に強くリンクしており、特に読み書きの能力と教育受けられることと強くリンクしている。国際食糧政策研究所(IFPRI)、Welthungerhilfe氏とConcern Worldwide氏による2009年度の世界飢餓指数は、これらのことを示している。
「低収入の国は、食物と財政危機によって損害を与えられている。」と、報告の筆頭著者で広報の責任者であるクラウスフォングレンマーが説明した。また、「この危機が極めてはっきりと貧しい人々の購買力と収入増強の機会を減少している。つまり、この人々はその収入の70%を食糧に使い、一方食糧か価格が数年前から上昇しているのである。」と述べている。

IFPRI のプレスリリースは以下のサイトにある。 http://www.ifpri.org/pressrelease/2009-global-hunger-index-calls-attention-gender-inequality-need-empower-and-educate-wom

Borlaug博士の名誉を讃える受賞者ホール
米国、アイオワ州の前デモイン公立図書館世界食糧賞財団に移転され、Borlaug博士の人道的遺産を讃えてthe Norman E. Borlaug 受賞記念ホールへと変わる。
「受賞者ホールは、ノーマンボーローグ博士の遺産と精神が22世紀にも飢えとの戦いにおいてボーローグ博士のような業績を上げ続けることになる。」と、Kenneth Quinn大使(世界食糧賞財団会長)が述べた。
世界食糧賞財団のウエブサイトによると2980万ドルをかけて受賞者ホールが復旧されると、この建物は、偉大な農業上の成果を讃える博物館:Borlaug対話として知られているNorman E. Borlaug国際シンポジウムの開催場所;若手の為の世界農業賞機構;飢えと食糧安全保障の上で双方向展示を特徴とする教育施設;そして、その他の会議やコミュニティホールとしての利用として使われることになる。

詳しい情報は以下のサイトにある。http://www.worldfoodprize.org/press_room/2009/october/building-dedication.htm

*南北アメリカ *

Genuity SmartStaxの試験でトウモロコシオタバコガに効果があることを示した 
遺伝子組換え(GM)コーンの進行中の実地試験によるとGenuity SmartStaxは、中西部米国のコーン農民がオオタバコガに対抗できる見込みを与えた。試験は、オタバコガの被害が大きい東部カンサスで作物にオオタバコガ耐性を組み込んだものと組み込まなかったものの比較という形で行われた。
遺伝子組換えGenuity SmartStaxは、オオタバコガ耐性と種の除草剤耐性の遺伝子を組み込んであり、雑草の制御がよく行われ、かつ二次的なcorn ear diseaseの感染も減少した。その上Chism Craig氏、モンサント社の技術開発代表、はこのコーンが遅めに植えられると南部から移動してくるオオタバコガの被害を受けやすいことを観察した。子の試験でこの組換えコーンが遅く植えたコーンに対する虫害によりよい耐性を示した。この組換えコーンは、2010年には3-4百万エーカー導入される予定である。

詳しいプレスリリースは以下のサイトにある。http://monsanto.mediaroom.com/index.php?s=43&item=755

ARSは、病害耐性でアフラトキシン汚染のないトウモロコシ品種を提供
米農務省の農業試験場(Agricultural Research Service、ARS)の研究者は、ナイジェリアに拠点を置く国際熱帯農業(IITA)研究所と協力して、アフラトキシン汚染に対する抵抗の6種の新品種を開発した。アフラトキシンは、ヒトに対する最も有力な発癌物質の一つである。アフラトキシンは、落花生類、カッサバ、ヤムイモとコーンでアスペルギルス属真菌(特にA. flavus)によって生産される。
「これらの6品種は、研究所室内と実地試験でアフラトキシン蓄積を抑制した。」と、Robert Brown(ARS植物病理学者)が述べた。「これらの品種は、南部コーン黒葉枯れ病と南部のコーンさび病に対する抵抗を含む商業的に望ましい形質をもっていることも示された。」
ハイブリッドコーン品種は、IITAのBrown氏とAbebe Menkir氏の協力による10年余の成果である。協力者は、まず最初に探索選抜実験を行い、次いで米国の一番アフラトキシン耐性のある品種と中西部アフリカで発見したアフラトキシン耐性とを併せた。
Brown氏はカーネルタンパク質(PR-10)も特定した。そして、アスペルギルス属耐性コーン品種のそのタンパク質はA. flavusのmRNAを分解することでこのカビの生育を疎がすることを発見した。これらの結果は、このタンパク質がA. flavus成長とアフラトキシン汚染に対してコーン抵抗で重要な役割を演ずるかもしれないことを示します。

詳細は以下のサイトにある。http://www.ars.usda.gov/is/AR/archive/oct09/corn1009.htm


メキシコはGMコーンの試験を承認
メキシコの政府は、国で最初の遺伝子組換えコーンの最初の圃場試験を承認した。農業省(SAGARPA)と環境(SEMARNAT)省の共同声明によると、圃場試験は「特定の地域(他の収穫から全く隔離される)に限られていて、政府による厳重にモニターされた条件」下で試験される。しかし、圃場試験を行う会社や機関及び実施する場所には言及していない。両省は、35の許可証申請がなされていると述べた。
メキシコは世界の4番目に大きなコーン生産国で、国連食糧農業機関(FAO)によると毎年約2250万トンを生産している。

声明(スペイン語)は以下のサイトにある。t http://www.presidencia.gob.mx/prensa/?contenido=49586


* アジア太平洋 * 

アジアはバイオテク及び知識運用に挑戦する必要がある
農業関連分野の挑戦、例えば食糧安全保障、環境持続性、気候変動やエネルギー保障は、アジア諸国にとって引き続き実施しなければならないものである。これらの挑戦は、考えられるオプションとして作物バイオテクノロジーに向けられるものである。アジア諸国は、バイオ関連知識を生産性の向上、プロセスの流れにおけるギャップ特定化など製品開発から利用までにおいて十分に活用する必要がある。このようなことに対して知識運用が重要であり、それがイノベーションを生み、生産性の向上に向けての実行が可能ならしめるところである。これらがタイ、バンコクで行われた農業バイオテクノロジーにおける知識運用:アジアにおける経験に関する国際会議の中身である。
Dr.Thira Sutabutra、タイ国研究会議議長の基調講演で知識運用が、各国での知識共有を促進する一連の流れ構築することに重要なことであると強調した。ワークショップのテーマは以下の通りだった:農業バイオテクノロジー、知識運用(KM)、農業バイオテクを運用するためのバイオセーフィティ政策、KMのための能力建築とKMとネットワークを構築するための基盤整備。
80人以上の参加者は、KMのための現在及び潜在的イニシアティブが議論されたワークショップに出席した。これらは、学習する素地の促進、知識資源を得るための方策の改善を通しての知識利用と知識の交換と創造を行う知識創造基盤作りを含むものである。オーガナイザーは、農学分野の大学院と研究を行う東南アジア地域センターと国際アグリ事業団(ISAAA)であった。

ワークショップの詳しい情報は、以下にメールを出して下さい。 jap@agri.searca.org.

組換え作物のインパクトに関する国際会議
来るべき希望と見込みを測る:組換え作物の社会経済学的及び環境へのインパクト評価と題する国際会議が2009年9月29,30日にバンコックで開催された。この会議は、参加者と組換え作物のインパクト評価の専門家がインパクト研究成果及びそれらのインパクト特性を評価するツールに関する議論を行える場を提供した。議論の重要な結果の、3は、以下のようになる。インパクト評価は、発展途上国で限られた組換え作物で行われた; 実行されたのは、中国を含む、3カ国である;直接的な影響だけに集中した。そのうえ、組換え作物が如何に持続可能な農業を促進するかという環境へのインパクト評価への努力は少なかった。適当な「標準的な手順」または方法論の必要性もハイライトされた。これまでのインパクト評価研究は、まだ狭い範囲に限られていて、管理効率改善、改善された産出高の保証、昆虫や病害による被害が少なくなるという平穏な心などの間接的な便益が取り上げられていない。
会議はアジアから90人の参加者があった、また会議の組織委員会は、東南アジア地域センター(SEARCA) 、国際アグリ事業団(ISAAA)、国際食糧政策研究機構(IFPRI)であった。

会議の要旨集についてはDr. Mercedita A. Sombilla (masombilla@agri.searca.org) または、 Ms. Roberta V. Gerpacio (rvg@agri.searca.org).と連絡を取って下さい。

GMワタと従来のワタとの収量の比較
農務省がKununurraの近くの農業および食糧省GMワタ試験をオーストラリアほかの商業的ワタと行ったと西オーストラリアの農業省がプレスリリースを行った。で言いました。Penny Goldsmith氏(研究部役員)は、試験した品種のワタの商業レベルでの収穫は1ヘクタールにつき9.7 balesで、2007-08のオーストラリアの平均(9.3 bales)よりわずかに高かったと述べた。「15の遺伝子組換えワタの品種は、4月に研究圃場に植えられた。すべてがRoundup除草剤抵抗性、オオタバコガとタバコガ抵抗性の組み合わせのものであった」と幼虫と芽を食う毛虫さらに抵抗性を与える遺伝子の組合せを運んだ」とGoldsmith氏が述べた。
Goldsmith氏によると、Ordでのワタの栽培は1974年に主要害虫場が制御不能になったため断念されていた。「その後開発される新しい遺伝子組換え品種が、全州で導入されている」とも述べた。
西オーストラリアの農業食糧省は、オーストラリアの95%のワタは、組換え品種であり、そのほとんどが輸出されていると述べた。

全報告が以下のサイトにある。t http://www.agric.wa.gov.au/PC_93631.html?s=1001


日本は、2500万米ドルを国際イネ研究に投資
旱魃耐性で高収量のイネを開発を促進するために2000万米ドルをそして更に500万米ドルをアフリカのイネ研究専門家のextensionトレーニングのために投資すると日本が決めたとIRRIの専門家がプレスリリースで述べた。資金提供は、IRRI、アフリカライスセンターと彼らの全国パートナーに提供される。
「国際イネ研究への大幅な支援増加を日本が決めたことは、地球規模での食糧保障に直面している時のものとして重要であり、特に気候変動のような大きな脅威に直面している時のものとして場である。」と、IRRIの理事会議長のElizabeth Woods博士が述べた。また、「基金を増加する日本の決定は歓迎するものであり、世界のコメを消費する人々に十分なコメを確保するために日本で我々の共同研究者ともに働くことを楽しみにしている」とも述べた。

プレス発表は、以下のサイトにある。 http://beta.irri.org/news/index.php/press-releases/japan-commits-$25-million-to-international-rice-research.html


タイの組換えパパイヤの事前分析
タイが遺伝子組換え(GM)テクノロジーの使用を認可することになるならば、6億5000万ドルから15億米ドルの経済的向上を遺伝子組換え作物導入の最初の10年以内に生み出せる。これらの利益は、小規模のパパイア農民に主に生じて、輸出市場の損失さえも回復できる。これらは、Kasetsart大学のOrachos NapasintuwongとAuburn大学(USA)のGreg TraxlerによるタイのGM パパイヤ導入の記事:事前インパクト評価のハイライトである。
輸出市場の損失と健康と環境へのリスクに対するタイの懸念は、著者によると、タイでのバイオテクノロジーの支援の不確実性と決断の欠如につながるものであった。

e-journal AgbioForum の全文と他の記事を以下のサイトから得られる。http://www.agbioforum.org/v12n2/v12n2a05-napasintuwong.htm

GM青いバラが来月日本の市場に現れる
日本のサントリー社は、世界初の青いバラを売りはじめると発表した。20年以上の研究の成果である青いバラは、1本2,000-3,000円(22-33米ドル)で発売中である。
栽培者は数千年の間も各種のバラを育成してきた。例えばさまざまの大きさの花や色彩のものを育成してきた。しかし、バラには青い色素が本来欠如しているので、青いバラは不可能と同義になった。園芸家は、青いバラを植物育種における神聖なgrailとしてきた。ビクトリア朝時代には青いバラは、不可能への挑戦を意味した。Rudyard Kipling氏でさえ、青いバラに対するどうしようもない不可能な願望の詩を作った。
オーストラリアのFlorigene社と共に、サントリーは、パンジーとツクバネアサガオからelphinidin(青い色素)の合成に重要な役割を果たす酵素を規定するフラボノイド3’5′-ヒドロキシラーゼとアントシアニン5-アシルトランスフェラーゼ遺伝子をバラで発現することによって、不可能を可能にした。
プレスリリースによるとサントリーは、新しい品種アプローズ(Applause)を「特別な行事(例えば結婚記念日と誕生日)での豪華なプレゼントとして推薦されるもの」として発表した。

詳細は以下のサイトにある。 http://www.suntory.com/news/2009/10592.html

オーストラリアの科学者がコムギふ枯病耐性小麦品種を特定した
真菌Fusarium pseudograminearumに起因する小麦と大麦のコムギふ枯病は、オーストラリアで毎年790万オーストラリアドル(7100万米ドル)の損失を与えている重病である。オーストラリア連邦科学研究機構(CSIRO)の研究者は、現在、この恐れられる病気に抵抗力がある小麦と大麦品種を特定したと述べた。
CSIROのChunji Liu博士と共同研究者は、世界中から集めた2400品種以上の小麦と1000品種の大麦を調べ、この真菌病に抵抗力があるものを探した。「クラウンRotに抵抗を示す小麦と大麦品種の抵抗性を在来種に導入する予備育種を行っており、育種会社に送り込むように進めている」とLiu博士が言った。病気と戦う上で小麦と大麦の品種を開発することは、重要な戦略である。輪作は、フザリウム感染症には限定的な効果しかない。その理由は、雑草類に残った菌が輪作されたときにまで残って再感染するからである。
Liu博士は、CSIROの科学者がフザリウム属の侵入機構、感染症への抵抗機構、遺伝子レベルでの防御機構や収量減少に関する研究を行っていると述べた。

原報告は以下のサイトにある。http://www.csiro.au/news/Rot-resistant-wheat-could-save-farmers-millions.html


*ヨーロッパ*

Mon89034 x NK603輸入に対するEFSAの意見
モンサント社の害虫耐性または/及び除草剤耐性GMトウモロコシMon89034 x NK603を食品および飼料として市場に出すこと及び輸入や加工についての科学的意見がEFSAから報道された。
そして、供給用途は重要です、そして、モンサントによる処理アプリケーションはヨーロッパのFood Safety局(EFSA)によって最近発表されました。EFSA GMO Panelは、GM植物とそれから派生する食物と飼料のリスク査定に関する科学パネルに出ている指針と多重形質を持つGM植物のリスク評価のための指針にに従って適正に応募された申請書を審査した。
概要によるとEFSA GMO パネルは加盟国で取り上げている科学的なコメントに対するトウモロコシMON89034 x NK603に関する現在得られている知見からみて、トウモロコシMON89034 x NK603がヒトと動物の健康と環境に対する潜在的影響に関するその非GM対応植物と同じ安全性があると考えるとしている。または、EFSA GMO パネルは、その意図的な利用によってヒトと動物の健康と環境に対する潜在的影響に関する前後関係の環境に関してどんな悪影響を及ぼしもしそうにないと結論した。


詳細は以下のサイトにあります。:http://www.efsa.europa.eu/EFSA/efsa_locale-1178620753812_1211902910348.htm


遺伝子組換えトウモロコシ品種は在来種よりも影響は少ない
従来のコーンと対比してGMコーンにより起こりうるインパクトについてEUの支援のもとに環境アセスメントをスペインのGirona(スペイン)で行った。12のコーン畑には2004年にGMコーンを植え、次のシーズンに従来の種で植えた。その結果によると自生したGMコーンはヘクタール当たりの30本以下であり、少ないことが示された。花粉飛散範囲が従来のコーンより非常に短いので、花粉分散も限定されている。従って交雑は極めて低い。
偶発的GM種子の混入は、0.016から0.16%の範囲にあり、これはヨーロッパの法律の0.9%の十分に下にある。レポートは偶発的なGMの存在が非常に低いと結論し、それゆえに、標識化は必要ないとした。そのうえ、交雑と偶発自生は、農業技術によって簡単に制御できるので、リスクはほとんどないと考えられるとした。

報告は以下のサイトにスペイン語である。at http://www.fundacion-antama.org/noticia/la-probabilidad-de-impacto-del-ma-z-mg-sobre-el-convencional-es-muy-baja

王立協会の報告は世界的な農業の持続的強化を提案
「環境に悪影響を与えず、しかも耕作地を増やさないで収量を上げる世界的農業における持続的な強化策」が必要である。「利益の飛躍:科学と世界的農業の持続的強化」と題する英国王立協会報告に取り上げられている最重要点である。
この研究では、農業、国際発展、保護生物学と植物科学専門家による専門調査委員会によって行われ、食用作物に対するに生物科学の貢献を調べた。生産を上げるには多様な技術が必要であるとの総合的な提言を結論とした。その主なるものは以下のようにまとめられる:

  • 英国学術会議(RCUK)は、世界的な食糧保障への学術分野横断的な挑戦を優先的に行うべきである。かなりの成果を上げるには少なくとも10年間に20億ポンドの予算確保が必要である。
  • RCUKは生態学に基盤をおいた研究と作物の改良や土壌管理に視点をおいた農学及び関連した科学への支援を増やすべきである。
  • 大学は資金提供機関と共同して食用作物の持続的増強に関連する;例えば農学、植物生理学、病理学と総合植物学、土壌科学、環境微生物学、雑草学、昆虫学などの課題の減少を逆行させることが必要である。

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報告は、以下のサイトからダウンロードできる。 http://royalsociety.org/document.asp?tip=0&id=8825

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研究
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小麦遺伝子をトウモロコシ胚乳で発現すると湿式粉砕の効率が上がる
トウモロコシの種子のテクスチャーは、(それは固い胚乳と柔らかい胚乳の割合に依存)さまざまの最終用途、例えばデンプンの収量、乾燥粉砕或いは湿式粉砕による粉化などに影響を与える重要な形質である。トウモロコシの実は、テクスチャーに基づいて一般的なクラスに分けが行われる:フリント、ポップコーン、粉、デントとスイートなど。より柔らかいテクスチャーのデントは湿式粉砕にこうてきであり、米国の飼料でないものの最大ものである。米国では、ほとんど大部分が湿式粉砕である。デンプンの抽出率が高い柔らかいハイブリッドトウモロコシ品種の開発はトウモロコシ加工業者にとって価値の高いものである。
モンタナ州立大学とワシントン州立大学の研究者は、胚乳で特異的に発現する小麦由来のpuroindoline遺伝子((Pina and Pinb)を入れてトウモロコシの種子のテクスチャーを変え且つ湿式粉砕効率が良くなった品種を開発した。PINタンパク質のトリプトファンの多い領域がPINが澱粉顆粒面脂質と結合するのを可能にしてこびりつきがないように働いている。
トウモロコシの種子のテクスチャー分析によるとPINの発現で澱粉とタンパク質の間の接着力を減少させて、トウモロコシ種子の硬さを著しく減少させた。研究者はまた澱粉澱粉純度に悪い影響を与えることなく平均4.86%デンプン収量が増加することを見出した。
Plant Biotechnology Journal isの全報告を以下のサイトから取れる。http://dx.doi.org/10.1111/j.1467-7652.2009.00438.x



ササゲの遺伝子地図が解明された
カリフォルニア大学リヴァーサイド(UCR)の科学者を指導者とする研究チームは、ササゲ(Vigna unguiculata)の高精度のコンセンサス連鎖地図を解明した。ササゲはタンパク質が豊富なマメ科作物で約1億人の食糧や経済を支える役割を果たしている。その丈夫な性質からササゲはアジア、ラテンアメリカ、特にサブサハラ地域のように旱魃の起こりやすいところで食糧保障するための鍵作物となっている。その重要性にもかかわらず、オーファン作物とみなされ限られた遺伝子解析が行われているにすぎない。
研究者は、何千ものマーカーを特定している183,000以上の発現配列のタグ(ESTs)に関する配列データーを統合した。これらのESTsについてSNP探索から約10,000の高い信頼性のあるSNPを得て、これをもとにIllumina GoldenGate遺伝子アレイを開発した。次に6種の地図作成用の集団からの741の組換え交配種にアレイを当てはめたところ、約90%のSNPsがササゲの役に立つ遺伝子マーカーであると判明した。約900のこれらのマーカーがコンセンサス遺伝子連関地図に落とし込めた。出来上がった地図は、11の連鎖グループからなる680cM(センチモルガン)あり、平均のマーカー距離は0.73cM であった。ササゲは、ゲノムレベルではダイズに「かなりの数の遺伝子が種の間で保存されている」とUCRのIllumina GoldenGate氏が述べた。「ササゲ染色体のマーカーを見ると、マーカーのDNA配列に基づいてダイスのゲノムと相互比較をすることができる。そして、これらの種の間で得られた情報の相互交換が可能になる。たとえばササゲの重要な情報をダイズに移すことやその逆も可能になる。」とも述べている。

原報告は以下のサイトにある。t http://www.universityofcalifornia.edu/news/index.php
公開されているPNASの報告は以下のサイトにある。http://dx.doi.org/10.1073/pnas.0905886106



組換えDNAとBtタンパク質の野生のイノシシとシカに摂取・散乱後の行方
自然保護のためのドイツ連邦アカデミーからの資金提供を受けて、ミュンヘン工科大学(TUM)の研究者は、ダマジカ(Dama dama)とイノシシ(Sus scrofa)がどのように遺伝子組換えトウモロコシを代謝するかを詳細に調べた。特に科学者は組換え作物の残渣がシカやイノシシの肉に蓄積するか、またこれらの動物が糞便を通して広げたかどうかを調べようとした。TUMの科学者によると、いずれのものも答えは、いいえだった。
Heinrich Mayer氏と共同研究者は、屋外の構内に住んでいるダマジカに餌をやり、野生イノシシを小屋に入れて続けて数週間遺伝子組換えトウモロコシ殻とトウモロコシ種子を与えた。摂取されたDNAの分解性を調べるために、GM-トウモロコシの特定の遺伝子の断片を見つけるために、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を用い、また、ELISA法でCry1Abタンパク質の検出も行った。
ダマジカの消化管、内臓、血と筋肉からのサンプルは、すべて組換え構成要素の存在が陰性だった。「結論として、GMトウモロコシ摂取後、cry1Abに固有の遺伝子断片もCry1Abタンパク質もダマジカの消化管で見つけられず、GMトウモロコシは完全な消化されたことが示された。」と、Mayer氏と共同研究者がEuropean Journal of Wildlife Researchに掲載された報告に書いた。研究者は、GMトウモロコシの遺伝子の小さな断片をGMで育てられたイノシシの消化管に発見た。しかし、消化管の外側に、科学者は全く痕跡を見つけられなかった。
Mayer氏と共同研究者は、また糞便から出芽できる無傷の実を集めた。彼らは、イノシシはGMトウモロコシの未消化の実を0.009%、在来種は、0.015%をそのまま排出したと報告した。ダマジカは、トウモロコシを十分に消化した。:1粒も無傷で発芽できるものはみつからなかった。

European Journal of Wildlife ResearchMammalian Biologyに掲載された報告はそれぞれ以下のサイトから得られる。http://dx.doi.org/10.1007/s10344-007-0104-4http://dx.doi.org/10.1016/j.mambio.2008.07.002



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バイオ燃料補遺
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バイオ燃料用のトウモロコシ生産の水質へのインパクト
http://ascelibrary.aip.org/vsearch/servlet/VerityServlet?KEY=JOEEDU&smode=strresults&sort=chron&maxdisp=25&pjournals=IJGNAI%
2CJAEEEZ%2CJAEIED%2CJBENF2%2CJCRGEI%2CJCCOF2%2CJCCEE5%2CJCEMD4%
2CJLEED9%2CJENMDT%2CJOEEDU%2CJGGEFK%2CJHEND8%2CJHYEFF%2CJITSE4%
2CJIDEDH%2CJMENEA%2CJMCEE7%2CJPCFEV%2CJPEPE3%2CJSENDH%
2CJSUED2%2CJTPEDI%2CJUPDDM%2CJWRMD5%2CJWPED5%2CLMEEAZ%
2CNHREFO%2CPPHMF8%2CPPSCFX&pyears=2009&possible1=Chaubey%
2C+I&possible1zone=author&OUTLOG=NO&viewabs=JOEEXX&key=DISPLAY&docID=1&
page=1&chapter=0
(全文入手には購読契約する必要があるかもしれない) http://www.thebioenergysite.com/news/4632/more-corn-for-biofuels-would-hurt-water

Purdue大学の農業・生物工学部(アメリカ合衆国)の研究者は、米国における輸送に使われるバイオ燃料に向けてのトウモロコシの増産に伴う土地の運用の変化が長期にわたる水質に与えるインパクトを定量的に評価するためのモデルアプローチを行った。
コーンの連作を行う土地は、コーンとダイズの輪作を行う土地と比較しsて水質レベルの低下がみられた。コーンの連作によって水中の窒素、殺菌剤とリン濃度は、より高かった。Indrajeet Chaubey氏、共同研究者で農業・生物学工学準教授、によるとコーン-大豆輪作からコーン連作へのシフトは、より高い沈殿物損失をもたらす。翻ってみるとこれは「より多くの殺菌剤とリンが沈殿物とともに動いて水に入るためであろう」ということになる。モデルの結果も「バイオ燃料に向けてのトウモロコシの増産に伴う土地の運用の変化が長期にわたる水質に与えるインパクトにさらなる研究がひつようである」ことを指摘している。研究の詳細は彼らのEnvironmental Engineering(上記のURL)ジャーナルで発表された報告から得られる。

植物のスベリン生合成のキー酵素がストレス耐性バイオエネルギー作物への道を開く
http://www.pnas.org/content/early/2009/10/21/0905555106.abstract?sid=64206e6b-4244-40fc-8697-4c5efcff3ab2
(全文入手には購読契約する必要があるかもしれない) http://www.thebioenergysite.com/news/4760/enzyme-to-help-biofuel-crops-in-harsh-environments

スベリン(suberin)は、陸生植物の種子の細胞壁と根系にあるポリエステルポリマーである。それは病原体または有害物質に対する保護バリアの働きする、その一方で、水と栄養分の摂取を容易にする。スベリンは、また植物が環境ストレス(例えば乾燥であるか高い塩性の土)対抗する重要な役割があることも報告されている。モデル植物のシロイヌナズナ使って、Brookhaven National Laboratory(アメリカ合衆国)の科学者は、hydroxyacid hydroxycinnamoyltransferase(HHT)という酵素がスベリン生合成のためのもので、スベリンが不足している植物は「野生型より非常に液中で塩をよく透過する」ことを観察した。「スベリンは、植物が陸生するのに適合するのに重要な役割を演じている」ことをあきらかにした。Brookhavenの生物学者Chang-Jun Liu氏によると、「重要な生合成酵素を特定して、スベリン生産を理解することは、特にバイオエネルギー作物のために提案された痩せた土地での植物の栽培に重要になる。」としている。バイオ燃料作物が痩せた土地で生長するのを可能にすることは、食糧生産のために肥沃な土地を確保する助けになる。研究のもう一つの面白い点はスベリンpolyphenolicsが同じ生合成前駆をリグニン(リグノセルロースバイオマスでセルロース繊維を囲んでいる堅い化学的ラッピング)と共有することが示されたことである。しかし、両者は、異なる酵素によって作られる。このことは、処理しやすく且つバイオ燃料にし易いオーダーメイドのバイオエネルギー作物を開発すると同時に「光合成の炭素の回路を変更してカーボン-吸収に向け直す」方向に向かうことになる。」完全な調査は、PNAS(上記のURL)に発表される。

バイオエネルギー作物の直接・間接土地利用の温室効果ガス放出へインパクト
http://www.sciencemag.org/cgi/content/abstract/1180251
(全文入手には購読契約する必要があるかもしれない) http://www.thebioenergysite.com/news/4801/carbon-impact-of-biofuel-displacing-food-crops

バイオ燃料に関連した問題のうちの1つは、バイオエネルギー生産に直接または間接に土地を利用することに起因するかもしれない温室(GHG)放出の大きさである。直接の土地利用に伴う放出は、「バイオエネルギー生産だけに起因する土地からの発生」、一方間接的な土地利用による放出は、「耕地または牧草地でバイオ燃料生産が他の土地での農業活動を置き換えるので、更なる土地利用の変化とカーボン損失の全体としての増加を引き起こスことに起因」する。アメリカ合衆国、ブラジル、中国からの科学者の国際的チームは、拡大される21世紀の世界的なセルロースバイオエネルギープログラムによる想定される土地利用変化シナリオによる直接的および間接的な影響に起因する温室効果ガス(GHG)放出物に関する検討を行った。経済と生物地球化学を組み合わせたモデルを使用して以下の結論をえた。(1)間接的な土地利用への変化による大きな温室効果ガス放出物は、「世界的なバイオ燃料プログラムの想定外の結果」による。そしてこれらの結果(もしも特に、これらが森林を取り除くこと)が「問題解決よりむしろ気候変動問題」を付け加えることが現実になりえる。()将来バイオ燃料作物を栽培するためにより多くの肥料を投下すると温室効果がより高い亜酸化窒素が二酸化炭素を凌ぐ排出をすることになりえる。(3)「森林を保護して、窒素肥料の利用を最善にすることを促す世界的な温室効果ガス排出方針は、バイオ燃料生産に伴う温室ガス放出を激減させることになる。
完全な研究報告は、Science(上記のURL))の10月号で発表される。

「世界の遺伝子組換え作物の商業栽培に関する状況:2009年」要旨

クライブ・ジェームズ博士(ISAAA創設者・理事会会長)

ノーベル平和賞受賞者の故ノーマン・ボーローグ博士に捧げる

ISAAA 概要書第41号は、遺伝子組換え作物の商業栽培が初めて行なわれた1996年以来、筆者が執筆する年次状況報告の14冊目に当たる。第41号は、ノーベル平和賞受賞者でありISAAA創設に寄与したノーマン・ボーローグ博士に献呈されている。この要旨は、2009年の主な変化を端的にまとめたものである。詳細はhttp://www.isaaa.orgを参照のこと。

遺伝子組換え作物のもたらしている穀物、経済、環境、福祉におけるたゆみない堅実な向上の結果、2009年の遺伝子組換え作物の栽培を手がけた大規模、小規模な農家は25カ国で1,400万人となり、栽培面積は1億3,400万ヘクタール(3億3300万エーカー)と過去最高に達した。これは2008年と比較して7%、900万ヘクタール(2200万エーカー)の増加になる。「形質ヘクタール」※で考えると、2008年の1億6,600万ヘクタールから8%、1400万ヘクタール増加して1億8,000万ヘクタールになった。これは1996年と比較すると実に80倍であり、遺伝子組換え作物は近代農業史において最も急速に普及した農作物技術と言える。この増加は、世界各地の生産者が遺伝子組換え作物に寄せる大きな信頼を反映している。1996年以来、生産者が継続的に遺伝子組換え作物の栽培面積を増やしてきたのは、遺伝子組換え作物が多大な恩恵をもたらすからである。

※複数の形質を併せ持つスタック品種について、栽培面積×形質数で算出したもの。例えば、2つのBt特性を併せ持つスタック品種では、形質ヘクタールはその作物の栽培面積の2倍とカウントする。

栽培面積は、遺伝子組換え主要作物4種類すべてにおいて過去最高に達した。大豆は、世界全体の栽培面積9,000万ヘクタールのうち4分の3以上が遺伝子組換えになり、ワタは同3,300万ヘクタールのほぼ半分を占めるようになった。トウモロコシは同1億5,800万ヘクタールの4分の1超、ナタネは同3,100万ヘクタールの5分の1以上を遺伝子組換えが占めている。遺伝子組換え作物の主要栽培国においては、2008年も主要作物における採用率が高かったが、2009年も引き続き栽培面積が増加した。たとえばインドでは、Bt(害虫抵抗性)ワタの採用率が2008年の80%から2009年には87%に上昇した。カナダでは遺伝子組換えナタネの採用率が2008年は87%だったが、2009年には93%にまで上がっている。遺伝子組換え大豆は全ての遺伝子組換え作物の栽培面積1億3,400万ヘクタールの52%を占め、最も普及率の高い作物である。形質別に見ると除草剤耐性が全体の62%を占め最も多い。スタックも遺伝子組換え作物の21%と重要性が増してきており、現在11カ国(うち8カ国は発展途上国)で採用されている。

遺伝子組換え作物を栽培している25カ国(ドイツは2008年に栽培を中止、2009年からコスタリカが栽培開始)の内訳は、発展途上国が16カ国、先進国が9カ国である。上位8カ国はいずれも栽培面積が100万ヘクタールを超え、アメリカ(6,400万ヘクタール)、ブラジル(2,140万ヘクタール)、アルゼンチン(2,130万ヘクタール)、インド(840万ヘクタール)、カナダ(820万ヘクタール)、中国(370万ヘクタール)、パラグアイ(220万ヘクタール)、南アフリカ(210万ヘクタール)、となっている。残る2,700万ヘクタールを栽培する国は、面積の多い順にウルグアイ、ボリビア、フィリピン、オーストラリア、ブルキナファソ、スペイン、メキシコ、チリ、コロンビア、ホンジュラス、チェコ共和国、ポルトガル、ルーマニア、ポーランド、コスタリカ、エジプト、スロバキアとなる。1996年から2009年までに栽培された遺伝子組換え作物の累計面積はおよそ10億ヘクタールとなっている(正確には9億4,990万ヘクタール、23億エーカー)。
注目すべきは、世界全体の栽培面積のほぼ半分(46%)を発展途上国が占めていることである。2015年までには先進国全体の栽培面積を超え、5割を超えると予測される。2015年はミレニアム開発目標達成の年であり、飢餓と貧困を半減させることが目標の一つとなっている。遺伝子組換え作物はすでにこの目標達成に大きな貢献をしているだけでなく、将来に向けて計り知れない可能性を持っている。

また遺伝子組換え作物の栽培に従事する1,400万人の農家のうち、90%に当たる1,300万人は小規模で資源に乏しい農家である。こうした生産者はBtワタなどの遺伝子組換え作物の栽培によってすでに恩恵を受けており、近い将来に商業化予定の遺伝子組換えイネなど新しい作物からも利益を得られる可能性がある。

2008年のISAAA概要書では、遺伝子組換え作物の新しい波が訪れると予想していたが、2009年にはこれが早くも現実のものとなりはじめた。それを決定づけたのが、2009年11月27日、中国政府が国内で開発し、権利を保有するBtイネおよび高フィターゼトウモロコシに関して、バイオセーフティ証明書を発行したことである。これによって作物登録の道が開かれ、2~3年後には商業化が可能になると思われる。イネは世界で最も重要な作物であり、中国国内だけで1億1,000万世帯(1世帯の構成人数を4人とすると4億4,000万人)の生産者が、直接的な利益を得ることができる。さらにアジア全体で2億5,000万世帯、10億人いるとされるイネ生産者も恩恵を受けることができるだろう。イネ生産者の平均栽培面積は3分の1ヘクタールで、世界でも最貧の生活を強いられている。しかしBtイネによって生産性が向上すれば、貧困は緩和されると同時に農薬使用量も減らすことが可能となる。気候変動が起きている現在において、持続可能な社会の構築にも貢献できるはずである。イネが食用作物として最も重要であるとしたら、飼料作物として重要なのはトウモロコシである。遺伝子組換えによる高フィターゼトウモロコシをブタに与えると、リンの吸収率が高くなって成長が促進され、さらに排泄物のリン含有量も減るため、汚染も減らすことができる。経済発展が著しい中国では食肉需要も増加している。現在、中国国内ではブタ5億頭(世界全体の半分を占める)、ニワトリやアヒルなどの家禽が130億羽飼育されており、高フィターゼトウモロコシの導入によって家畜飼料の質の向上が期待される。高フィターゼトウモロコシは、中国だけで1億世帯(4億人)もいるトウモロコシ生産者にも直接的な利益をもたらすはずである。イネとトウモロコシは世界全体にとっても重要な作物であり、また中国の影響力が強まっている現状を考えると、アジアのみならず世界の発展途上国にとって中国の経験が参考になるかもしれない。遺伝子組換え作物を積極的に取り入れる中国の姿勢は他の発展途上国のモデル的役割となり、食糧自給率の引き上げや農薬に頼らない持続可能な農業、さらには飢餓と貧困の軽減にも貢献できると考えられる。イネとトウモロコシは、それぞれ食用、飼料としてきわめて重要な作物であるため、中国政府主導で開発された2種類の遺伝子組換え作物は、中国はもちろんのこと、アジアや世界にも多大な影響を及ぼすものと思われる。

概要書第41号には、ジョン・ベネット博士による特別寄稿「遺伝子組換えイネ ― その現状と将来の展望」も収録されている。ベネット博士はオーストラリア、シドニー大学生物科学大学院名誉教授である。

2009年の注目すべき変化は、ブラジルがアルゼンチンを僅差で抜いて、世界で2番目の遺伝子組換え作物の栽培大国となったことである。2008年から2009年の同国の栽培面積は560万ヘクタール、率にして35%増加したが、これは世界のどの国よりも大きい伸びである。ブラジルが遺伝子組換え作物の世界的リーダーであり、将来に向けた成長の牽引役であることは間違いない。また世界最大のワタ生産国であるインドは、2002~2009年の年間にBtワタ栽培がめざましい成功を遂げ、採用率は2009年で87%に達した。Btワタはインドのワタ生産に革命を起こしたと言っても過言ではない。インドのBtワタ生産者が得られた経済的利益は2002年から2008年までで51億米ドル(4,590億円)にもなる。Btワタへの転換によって殺虫剤使用量も半減し、また収穫量も倍増した。かつてワタの輸入国だったインドは、いまや主要輸出国となっている。インド初の遺伝子組換え食用作物になると期待されるBtナスは、インドの監督機関によって商業化の勧告が行なわれ、現在は政府の承認を待っているところである。アフリカ3カ国でも引き続き前進が見られた ―2009年にという高い成長率を達成した南アフリカ、それにブルキナファソとエジプトである。ブルキナファソにおけるワタ栽培面積は、年には8,500ヘクタールだったが、年には11万5,000ヘクタールと14倍に急増した。前年比1,353%という伸び率は2009年の世界最高である。

2009年は、第1世代から高収量の第2世代への交代が行なわれた年でもあった。ラウンドアップ・レディー・2イールド大豆は、多くの開発者が研究してきた新しい種類の遺伝子組換え作物の第1号で、2009年にはアメリカとカナダで1万5,000人以上の農家が植え付けを行なった。栽培面積は50万ヘクタールを上回る。

遺伝子組換え作物に関する最新の世界的な影響評価によると、1996年から2008年までの経済的利益は519億米ドル(4兆6,710億円)となっている。その2大要因は生産コストの減少(50%)と、収量増加(1億6,700万トン、50%)である。とりわけ後者に関しては、仮に遺伝子組換え作物を採用しなかった場合、同じ収量を得るためにはさらに6,260万ヘクタールの農地が必要だったという試算結果が出ている。つまり遺伝子組換え作物は、土地の効率的利用を可能にする重要なテクノロジーなのである。同様に1996年から2008年までのあいだに殺虫剤の使用量は8.4%減少した。有効成分換算で3億5,600万kgの減少である。また遺伝子組換え作物によるCO2固定化は2008年だけで144億kgとなり、これは自動車700万台を減らしたのと同じ効果とされる(Brookes and Barfoot, 2010、近刊)。

2009年現在、遺伝子組換え作物を栽培する25カ国の人口を合わせると、世界の総人口の半数以上(36億人、54%)になる。栽培面積は1億3,400万ヘクタールで、世界の耕地面積全体(150億ヘクタール)の9%を占める。

遺伝子組換え作物の種子の市場規模は、2009年には世界で105億米ドル(9,450億円)だった。また遺伝子組換えの種子を用いて生産された収穫物の市場規模は、2008年にはトウモロコシ、大豆、ワタを合計して1,300億米ドルであり、年10~15%の割合で成長すると見込まれている。

1996年以来、食用および飼料用の遺伝子組換え作物の輸入や環境放出(栽培等)を法的に認可しているのは、遺伝子組換え作物を2009年に商業栽培している25カ国と、それ以外の32カ国を加えた計57カ国である。これまでに24作物、155の系統、計762の認可が出された。日本で開発された青いバラも2009年に認可が下りている。

2010年から2015年にかけては、遺伝子組換え作物の新しい潮流が生まれるものと期待される。第一に優先されるべきは、責任の所在が明確でコスト効率が良く、迅速で適切な規制システムの運用である。遺伝子組換え作物の開発・承認・採用に対する政治的な決意、経済や科学の面からの支援はますます強まっている。遺伝子組換え作物が世界的に採用される流れは慎重ながらも楽観的な状況であり、2005年にISAAAが予測したように、2006年から2015年までの商業化第二の10年間に、栽培国数、農家、栽培面積のいずれも倍増することは確実である(ISAAAは、2015年までに遺伝子組換え作物を栽培する国は40カ国、農家は2,000万人、栽培面積は2億ヘクタールになると予測している)。国際社会、とりわけアジア、ラテンアメリカ、アフリカの発展途上国のニーズに対応するために、新しい遺伝子組換え作物の供給は今後も拡大を続けると思われる。2010年から2015年までの実現が期待される、新しい遺伝子組換え作物/形質を一部紹介する。アメリカとカナダの、3つの形質を付与する8種類の遺伝子を持つSmartStax™トウモロコシ(2010年)。インドのBtナス(2010年)は政府の承認待ちであり、フィリピンのゴールデンライス(2012年)はバングラデシュおよびインド、さらにはインドネシアとベトナムでも採用される予定。中国では、遺伝子組換えイネと高フィターゼトウモロコシ(2~3年以内)。乾燥耐性トウモロコシ(アメリカでは2012年、サハラ砂漠以南のアフリカでは2017年)。窒素利用効率(NUE)が高い遺伝子組換え小麦は5年のうちに商品化される予定。

2008年に起きた食糧危機(30を超える発展途上国で暴動が発生し、ハイチとマダガスカルでは政権が崩壊した)を受けて、国際社会では食糧と安全保障に関する深刻なリスクへの認識が深まり、ドナーグループや国際的な開発機関、科学界、さらには発展途上国の指導者のあいだで遺伝子組換え作物を支持する動きが高まってきた。また生命を支えるという農業の本質的な役割と、公正で平和な国際社会に貢献する農業の価値についても、あらためて認識されつつある。とくに「従来の育種方法とバイオテクノロジーを併用して作物生産性を持続可能な形で強化し、食糧自給率と食糧安全保障を確保する」必要性が声高に叫ばれている。

ノーマン・ボーローグ博士が小麦で緑の革命を成功させたのは、ひとえにその高い能力と不屈の精神、それにひとつの目標 ― 単位面積当たりの小麦の生産性を引き上げること ― に焦点を定めた賜物である。またボーローグ博士は、あくまで実際の農業生産現場レベルでの生産性(実験農場レベルではなく)、国レベルでの生産性、また最も重要なこととして、それが平和と人道に貢献しているかどうかを評価して研究開発の成否を判断した。今から40年前の1970年12月11日、ノーベル平和賞受賞に際してボーローグ博士が行なったスピーチのタイトルは「緑の革命、平和と人道」だった。博士が40年前に果敢に挑んだこと ― 作物の生産性を高めること ― は今日我々がめざしていることと完全に一致する。ただし当時はなかった気候変動に直面する現在は、水や化石燃料、窒素など資源への依存を減らしながら生産性を倍増させる必要があり、課題はさらに困難になっている。遺伝子組換え作物に関わる国際社会が一致団結して「大きな挑戦」に取り組むことこそが、ノーマン・ボーローグ博士が築いた豊かな遺産に敬意を表する、最も適切かつ崇高な方法であろう。地球の東西南北のすべての半球において、官民セクターが足並みを揃え、少ない資源で遺伝子組換え作物を最大限に活用する努力を行なうべきである。ミレニアム開発目標で誓ったように、2015年までに貧困と飢餓と栄養不良を軽減することを最終的に目指さなくてはならない。偶然ではあるが、遺伝子組換え作物の商業化第2期にあたる10年は2006年から始まっており、終了するのが同じ2015年である。

締めくくりに、10億人を飢えから救ったノーマン・ボーローグ博士の言葉を引用する。博士が遺伝子組換え作物を熱心に支持したのは、作物の生産性を高め、貧困・飢餓・栄養不良を解消し、平和と人道に貢献できると見抜いていたからだ。博士はこう述べている。「この10年間に植物バイオテクノロジーは大きな成功を収めてきました。この技術は世界中で農作物の収量を高めると同時に、農薬使用を減らし、豊かな土壌の亡失あるいは土壌浸食を食いとめることに貢献しています。バイオテクノロジーの恩恵と安全性は、世界の総人口の半分以上を占める国々で、この10年間に証明されています。しかし、いまだに効率の悪い旧式の栽培手法しか選択肢のない国々もあり、これから求められるのは、そうした国の指導者の勇気です。かつての緑の革命、そして今の植物バイオテクノロジーは、増え続ける食糧需要を満たしつつ、未来の世代のために環境を守る上でも大いに役に立っている」。

全文は概要書第41号「世界の遺伝子組換え作物の商業栽培に関する状況:2009年」