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2008年度世界食品賞を二人の米国上院議員が受賞

 2008年世界食品賞が米国上院議員Robert Dole氏 と George McGovern氏の熱意ある共同のリーダーシップによって世界レベルでの学校給食、就学率、数百万人にも上る世界最貧子供(特に少女)の栄養改善を進めたことが受賞の対象となった。二人は、McGovern-Dole国際学校給食プログラムに呼応して、献身的に活動したことが受賞の対象となった。2000年以来、このプログラムは、41カ国の2,200万人の子供たちに食事をあたえ、就学率を飛躍的に向上させた。即ち、全体で14%、少女では17%に上る。McGovern-Doleプログラムの成功は、発展途上国及び世界各国の学校給食の拡大に対する国際的な支援も増やすことに大きな貢献があった。
この方向の全文は、次のサイトにある。http://www.worldfoodprize.org/press_room/2008/june/08laureates.htm.

北海道バイオサミット 農業バイオテクノロジーに関する大会宣言

 今後25年間に起こると予測されている危機的地球規模での飢餓・貧困、温暖化、食糧及び燃料の不足について、これらの問題の解消、あるいは低減させるための緊急対策が我々に求められている。本宣言の末尾に記載の学協会は、これらの問題点の現在の状況とこれらの問題を和らげるための方策を表明し、日本の利害関係者に明確な考え方をもってもらうように努めるものである。
 日本は、世界で9番目の約1億2千800万人の人口をもつ国で、総面積377,835平方キロに住んでいるので、その人口密度は、平方キロ当たり世界最高の340人である。日本は、その食糧(トウモロコシ、ダイズ及びその他の食糧及び飼料)の60%以上を輸入に依存している。自給率は、1960年以来減少を続け、2008年には、39%を切ると推定されている。
 日本は、輸送や交通手段のために世界第四番目の原油の消費国であり、これは過去25年間の地球規模での道路や船舶輸送が倍になったことによるが、更には、航空、鉄道、電車・地下鉄、水路輸送によるものも加わっている。日本自動車工業会(JAMA)の2006年報によると、7千万台の自動車が日本にあり、6千万キロリッターの燃料を使用している。1999年から2004年にかけて急速に原油の値段が上昇し、現在は更に上昇してバレルあたり100米ドルを越えることなって、日本の資金力を相当に減少せしめている。
 前世紀の間に世界のエネルギー消費がそれまでのほぼ2倍になったことで大気汚染も非常に悪化した。有害物質の放出は、例えば、化石燃料をくみ上げる上流域過程から、輸送、暖房、調理などの化石燃料を燃やす下流域に至る、全てのエネルギー開発活動を通じて起こっている。これら、各種の気体あるいは粒子状の悪影響を与えている放出物には、粒子状物質(PM)、表層オゾン(O3)、二酸化窒素(NO2)、酸化窒素(NO)、二酸化硫黄(SO2)一酸化炭素(CO),有害レベルの二酸化炭素(CO2),有機物と各種メタルがあり、それらはヒトの肺に深く入り込み、健康障害を起こしていると考えられる。世界レベルでの化石燃料の消費のさらなる増加とそれに伴う環境及び健康に与える深刻な影響が21世紀の半ばから後半には現実のものとなるであろう。

 日本における遺伝子組みえ植物の生産及び利用は、これらの問題に対する一つの解決策である。耕作地が縮小し続ける中での食糧増産、植物による環境浄化、再生可能なエネルギー源利用による炭酸ガス放出の削減、バイオ作物の飼料としての利用などに良い効果をもたらすと言える。遺伝子組み換え作物の商業生産に関する2007年報(2007 Global Status of Commercialized Biotech/GM Crops)にもあるように、日本における組換え作物の商業栽培、食糧と飼料、環境利用の許可の数が最高であることは極めて重要なことである。しかしながら、日本におけるバイオ作物の商業栽培規制は、極めて厳しいものであり、先の許可を実行することを阻害している。
 日本は、分子生物学およびバイオテクノロジーの研究開発のアジアのリーダーとみなされている。トップの大学からは、日本及びアジアの農業の革新を様々の視点から行なえる高い資質を持つ専門家が輩出されている。多くの遺伝子組み換え植物、例えばアレルゲンのないイネやピーナッツ、鉄含量の高いコメなどが開発の途上にある。しかしながら商業化や利用に関しては、未だに課題である。現在、日本における遺伝子組み換え技術に関する科学的論点や関心事は、政治、経済、倫理、文化、社会に関するものに集中しており、その利用の妨害となっている。このような状況は、国際的な反遺伝子組換え組織のキャンペーンによる誤った情報がマスメディアに流され、一般の人々に誤解と恐怖をばら撒くことで更に増幅されている。

 日本が、当面している地球規模での問題に対して、積極的・建設的な貢献をするために、本バイオサミットは、以下のことを宣言する。
1.遺伝子組み換え技術は日本の農業問題に解決を与えるものである。農産物の生産性の向上、病害虫の制御、新規消費者向け製品の開発、再生可能エネルギー源の開発利用のため、速やかな遺伝子組み換え技術及びそれにより生産された遺伝子組換え植物(GMO)の開発利用を推進する。
2.遺伝子組換え技術に関しての過度に取締まることのない政策及び規制体制を確立する。
3.農業生産者が自由にどのような栽培方法も取れるように、日本における遺伝子組換え技術利用に関する政策を改善する。
4.遺伝子組換え関連方策の決定に一般の人々が参加することを促進し、そのために遺伝子組み換えについてよく知ることが出来るような戦略を立て、強化する。
5.国内において遺伝子組換えの理解を促進するために民間・公共の遺伝子組換え技術を学ぶプログラムの開発・実施を支援する。

2008年6月30日
NPO北海道バイオ産業振興協会
日本育種学会
日本植物学会
環境バイオテクノロジー学会
日本分子生物学会
日本生物工学会
日本食品科学工学会
バイオインダストリー協会
NPO近畿バイオ産業振興協議会
国際アグリ事業団
くらしとバイオプラザ21
バイオ作物懇話会

セルロース生産藍藻類:微生物由来のバイオ燃料の原料としての可能性

http://www.utexas.edu/news/2008/04/23/biofuel_microbe/
http://www.checkbiotech.org/green_News_Biofuels.aspx?infoId=17686

オースチンのテキサス大学の科学者は、耕作不適地を利用して、バイオ燃料用飼料賭して使えるセルロース生産の藻類を開発した。この藻類は、藍藻類に属するである。R.Malcolm Brown, Jr と Dr. David Noblesのチームは、彼らの研究対象であるセルロース生産藍藻は、グルコースやスクロースのような単純な糖を分泌することも発見した。これらは、バイオエタノール生産の原料になるものである。微生物の開発に当たって科学者は藍藻類を選び、非光合成菌である酢酸菌、Acetobacter xylinum,のセルロース生産遺伝子を導入した。このセルロースにはリグニンが存在しないことが知られている。光合成能と窒素固定能力のあるこの微生物は、安価な培養のための原材料からバイオ燃料用飼料を作るために培養可能である。その特徴は、(1)この新藍藻類は太陽エネルギーを利用して増殖させ、糖類とセルロースの分泌が可能である。(2)藍藻を傷つけたり、破壊することなしに連続的にグルコース、セルロース、スクロースを生産できる。(3)藍藻は、化石燃料由来の窒素肥料なしに、大気中の窒素固定で栽培可能である。Brownと Noblesによると藍藻は、人や作物に不適な塩水を使い、非農耕地を使って生産で出来るとしている。

安全で安価なセルロースからのエタノール生産

http://ethanol-news.newslib.com/story/8483-348/
http://www.biofuels-news.com/news/new_yeast_bio.html
http://www.ecofriend.org/entry/super-yeast-to-help-cleaner-fermentation-for-bioethanol-production/

月桂冠総合研究所は、chaff (protective seed casings of cereal grains) や水稲藁など非食用植物原料を用いたエタノールの新製法を発表した。この技術で亜臨界水をもちいて前処理を行い、一段階で糖化とエタノール発酵をセルラーゼを生産できる組換え酵母を用いるものである。従来法でのセルロースからのエタノール生産は、(1)酸等でセルロースを処理してリグニンラッピングを除いてセルロースを露出させる前処理、(2)セルロースを使って糖化する、(3)その糖を酵母でエタノール発酵してエタノールを得る であった。月桂冠の技術では、亜臨界水 (150oC to 370oC)を用いることで硫酸などを用いない環境にやさしい技術であるとしている。セルラーゼを生産できる組換え酵母を用いることで糖化とアルコール発酵を同時に行なうことで生産コストが下がるとしている。

EFSAは、GMOパネル報告を更新

ヨーロッパ食品安全保証機構The European Food Safety Authority (EFSA)は、現行のGMOパネルの指針を改定するために環境に関する総合EU委員会から補遺を出した。この指針は、最新の知見に基づく様々の方法で行なわれた環境リスク評価に関するEFSAの委員会での議論を取り込んだものである。この報告には環境への影響を見るための野外試験法の設定や長期環境影響についても含まれている。
さらにEFSAのGMOパネルは、指標生物以外に対する自己試行を通しての環境リスク評価を開発することを継続する。ここには、GMOが指標生物以外(例えば昆虫、蝶や甲虫など)に対するに与える潜在的な悪影響、GM植物で発現している昆虫抵抗性が対象していないものに対する影響を把握することも含まれている。
報告は、以下のサイトにあります。http://www.newsfood.com/Articolo/International/2008-04/20080402-Mandates-related-environmental-risk-assessment-GM-plants.asp