Author Archives: asanok

アグリ&バイオ専門部会発表会

自由貿易の拡大と北海道農業の将来

2011年6月27日(月)13:30~
北海道大学 農学部 S21教室(定員87名)
札幌市北区北9条西9丁目
参加費無料、申し込み不要
 

司会 宮井能雅氏

13:30 開会の挨拶   冨田房男氏 アグリ&バイオ専門部会世話役

13:35 ~ 14:50 「大豆とTPP、オバマとムバラク」 
日本農業の自給率は低いのか?
演者:浅川芳裕氏、月刊誌『農業経営者』副編集長、(株)農業技術通信社専務取締役。ヒットセラー『日本は世界5位の農業大国』の著者

 14:50~15:40 「TPPと北海道農業」 

TPPに参加すると北海道農業は壊滅するのか?
演者:冨田房男氏 北海道大学名誉教授
TPPの概念は、世界の流れで、止めることはできない。確かに短期的には苦しくなることは分かる。しかしその原因は、農業政策の間違いにあったと言えるのだから、これを機会に早急に対応策を開始することが重要と考える。北海道がこれまでとってきた農業は、産業ではないとしてきた点を問題にしたい。TTP問題は、農業の産業化を図るよい機会で、産業化することが北海道農業を壊滅させないことになると考える。
 
休憩 15:40~15:55
 
15:55~16:40 「北海道農業の問題とは?」  TPPの次にやってくるものは

演者:宮井能雅氏、(有)西南農場 代表取締役社長
政権がかわるたびに、めまぐるしく変わる農業政策。そして迫りくるTPPに対応する生産者が考える北海道農業とは。自給率が200%と言える北海道農業、農産物は本当に国内農業に貢献しているのかどうか生産現場から報告をしたい。
 
16:40~16:55  「ウクライナの農業情勢と独立後の自由貿易」

ロシアからの独立による現在そして未来
演者:Andriy M. PLISHKA氏 ウクライナ農業コンサルタント
ロシアから独立して20年、その後のウクライナ農業は、より発展をしたのか、そして産業としての農業の問題点
 
17:00  閉会

最新作物バイオテク 2010年5月

世界
米国は「食糧供給の将来」についてイニシアティブを提示

気象専門家が食糧保障問題に挑戦 - 気象変動への挑戦アフリカ
FAOは、アフリカの食糧安全保障に向けてのより一層の努力を呼びかけた
基礎的農業研究に基本的基金を投入

アフリカ
ケニアが国立生物安全機構を発足
バイオ肥料として役に立つ土壌細菌と真菌

南北アメリカ
米国農務省研究所の科学者が紋枯病に遺伝抵抗性を同定した
オレイン酸含有量の高いダイズ油が2012年に市場にでる
米国食品医薬品局(FDA)は Vistive Gold ダイズ油を承認
ホテイアオイの生物的制御が発表された
「食糧供給の将来(FTF)」戦略の一部としての生体成分強化

アジア太平洋
中国の科学者が初めて組換え作物の経済インパクトを多種作物、大規模に評価を実施
中国政府高官がバイテクを取り上げた

ヨーロッパ
英国の学者がカラス麦について研究した
より健康に良い新しい小麦品種
英国環境・食糧・農村地域省(DEFRA)
英国、ドイツ、米国の新聞による組換えに関する概念の枠組み形成について
 
研究
塩処理下での米の香りと収量減少との関係
ピーナッツにおけるアフラトキシン耐性と旱魃耐性の関係

世界

米国は「食糧供給の将来」についてイニシアティブを提示
米国政府はシカゴ評議会によって開催された国際問題シンポジウムで、「食糧供給の将来」に関するイニシアティブを提示した。これは世界飢餓と食糧安全保障に対する政府の義務を再確認するためのものだ。米国国際開発庁長官のDr. Rajiv Shahは、政府の食糧安全保障計画を発表し、バラク・オバマ大統領陣営の世界飢餓と食糧安全保障の行動計画である「食糧供給の将来」指針を公表した。
「食糧供給の将来」は飢餓や貧困を減らすため、国の計画予算を調整し、持続的多様な政策決定者間の協力関係を醸成する。このイニシアティブは農業生産、研究、そして国際的な食糧供給の増大と食糧価格の低下に向けて市場を改善するように資源投入をするものである。オバマ大統領は、2009年のイタリア、ラクイラで開催されたG8サミットにおいて、今後三年間、最低でも35億ドルを農業発展と食糧安全保障に投資することを誓約した。他の資金供与者による資金は18.5億ドルにも上る「食糧供給の将来」につながる食糧安全保障プログラムの資金となった。
政府からの報道機関への詳細は以下のサイトにある。http://www.america.gov/st/texttrans-english/2010/May/20100520164738eaifas0.9879354.html
 
気象専門家が食糧保障問題に挑戦 - 気象変動への挑戦 
砂漠化、海面上昇、淡水源の枯渇、そして壊滅的な自然災害は気候変動の影響で発生した環境問題であり、これらは国際的な食糧安全保障と供給を崩壊させる危険性がある。そこで、国際食糧政策研究所(IFPRI)の気象変動研究者達はアフリカやアジアの農業従事者にこれらの問題に順応し、緩和する技術が必要であると提言した。気象専門家、科学者、政策決定者、そして農業従事者達は昨年5月4日、ナイロビの農林業センターで開かれた「気象変動に対応した食糧安全保障構築に向けて」の会議でこの食糧安全保障と気候変動に対する挑戦に取り組んだ。この会議は気象変動、農業と食糧安全保障(CCAFS)プログラムの一環で、本プログラムは世界の農業を気象変動によって生じる様々な障害に適応し、さらに農業によって生じる温室効果ガスを削減することを目的としている。
「農業従事者の生活を向上させるため、我々は環境に優しく、安定した食糧供給を確保する手段を見つけなければならない。この会議はその為に重要な役割を持つ。」とCCAFSの会長であり、会議の主催者の一人であるTorben Timmermann氏が語った。CCAFSは開発途上国食国際農業研究顧問機構(CGIAR)と地球システム科学パートナーシップ(ESSP)が共同で立ち上げた10年間のプログラムである。
原報告の詳細(オランダ語で)は以下のサイトにある。http://www.life.ku.dk/Nyheder/2010/960_nairobi.aspx.
 
FAOは、アフリカの食糧安全保障に向けてのより一層の努力を呼びかけた
国連食糧農業機関(FAO)長官のJacques Diouf氏は、アフリカの食糧安全保障の現状についての懸念を表明した。FAOの第26回アフリカ地域会議大臣級会合の開会の言葉で「サハラ以南のアフリカでは、2009年以降、億6500万以上の人が栄養失調状態にあり、人口の30%が飢えに苦しんでいる。」と語った。彼はこの現状は、関係者の直ちに間断ない改善が必要であると強調した。また、この状況は小規模農家を支援し、農家畜産を強化するチャンスであると語った。
アフリカは水不足や先進的な農業機器を得られないなど、様々な農業問題を抱えている。そしてDiouf氏によると、これに加えて、資金の過少投資がアフリカの栄養失調と飢餓の原因の一つである。安定した食糧供給と安全保障のためには、今後40年間で有意に食糧供給率を伸ばさなければならない。近年のこの大陸農業の発展と成功を考慮すると、これは決して難しい問題ではない。
全報告は以下のサイトにある。http://www.fao.org/news/story/en/item/41994/icode/
 
基礎的農業研究に基本的基金を投入
 国立科学財団(NSF)は農業開発のための基礎研究(BREAD)プログラムの初年度に15もの助成金を給付した。ビル&メリンダ・ゲイツ財団が立ち上げたこの5年間のプログラムの目的は、発展途上国の農業問題を解決する、持続的で科学的根拠に基づいた農業問題の解決に向けたことを編み出すことをねらったものだ。
 NSFは、この助成金は科学者達が、「小規模農家が直面している問題に新しい独創的な技術や研究アプローチで切り込む助けになる。」ものに授与された。例えば、ワシントン州立大学、パデュー大学、ウィスコンシン大学、パキスタンのCOMSTAS大学、インドのパンジャブ農業大学、そしてパイオニア・ハイブリッドは旱魃条件下でも収穫量を増やす、新規の矮化遺伝子を同定するプロジェクトがあげられる。」
「世界中の優れた科学者達を引き込むことで、BREADプログラムは農業が抱える深刻な問題に独創的に取り組む事ができる。」また「そうして生まれた解決策は、多くの小規模農家が収穫量を増大して所得を増やし、飢餓と貧困から自分自身で抜け出す助けとなるだろう」と、ビル&メリンダ・ゲイツ財団の農業発展プログラムの副長官Rob Horsh氏は話した。
 この助成金は42の米国研究機関とケニア、南アフリカ、マラウイ、オーストラリア、コロンビア、メキシコ、スイス、デンマーク、パキスタン、インド、パプアニューギニア、英国を含むの共同研究機関に給付された。また、開発途上国食国際農業研究顧問機構(CGIAR)や民間企業の研究者も一部のプロジェクトに参加する。
NSFメディアリリースは、以下のサイトにある。http://www.nsf.gov/news/news_summ.jsp?cntn_id=116932
また2010年度のBREAD助成金の全リストは、以下のサイトにある。http://www.nsf.gov/bio/pubs/awards/bread10.htm.
 
アフリカ

ケニアが国立生物安全機構を発足
 ケニアの高等教育科学技術大臣William Ruto氏は、2010年月13日にケニア私物安全機構(NBA)を発足した。機関の立ち上げ演説で、大臣は、政府が生物安全法に基づき、かつ透明性のある方法でバイオテクノロジー分野での事業を行うことにしたと話した。またそのためには国民の協力が第一である。大臣は、ケニア国民は本機関が国のバイオテクノロジーを向上させる事を待ち望んでおり、特に遺伝子組換え生物及びその産物の規制が大切であるを強調した。
NBAの立ち上げは生物安全法のの主要事項である。この機構は、著名な科学者、主要省庁の事務次官、生物安全室の長官、農業従事者、消費者、民間企業の代表者といった幅広い政策決定者からなる機構である。
大臣は、全世界が飢饉、貧困や病気の軽減においてバイオテクノロジーが果たすべき役割は大きいことを認識していると話した。農業、ヒトの健康、畜産業、貿易、工業、環境管理におけるバイオテクノロジーの安全な応用が、開発に向けての最上の選択肢の一つである事は既に示されている。インドや中国はBtワタの様に、新しい技術を利用して利益を得るため、バイオテクノロジーの商業的能力を駆使し、最高位の政治、技術レベルで周到な政策決定を下した。またアフリカにおいて、バイオ技術作物の商業生産に資金投入した国は南アフリカ、エジプト、ブルキナファソだけであったと指摘した。ブルキナファソではBtワタは生産高を30%増加でき、農薬の使用を約半分に削減し、農家の所得を高めることができた。
Hon. William Roto氏は、来年までにBtワタの栽培を導入し、ケニア国内の綿工業を活性化させるため、ケニヤの農業者を助ける協奏的努力を呼びかけた。また、ケニアは人口増加に見合った食糧生産を可能にするため、適切な技術の導入を検討すべきだと指摘した。
更なる情報は、ケニア生物安全機構のHarrison K. Macharia氏に以下のサイトでコンタクトしてください。harimacharia@yahoo.com
 
バイオ肥料として役に立つ土壌細菌と真菌
国際熱帯農業研究センター(CIAT)は「地下生物多様性の保存および持続可能な管理」(CSM-BGBD)プログラムを設立した。本プログラムは地下生物多様性を利用して食糧安全保障を向上し、農家の所得を増やす目的で、ブラジル、コートジボワール、インド、インドネシア、ケニア、メキシコとウガンダの7カ国の研究者達によって実施される。
彼らの研究結果から、土壌真菌および細菌を農業に利用することで作物の収穫量が50%以上増加することが分かった。例えばケニアで実施された試験では、根粒菌を接種した土壌で栽培することで、大豆の収穫量が40-60%増加した。さらに、土壌に肥料と共にトリコデルマ属の真菌を加えることで収穫量は2倍に増大した。これらのバイオ肥料を導入することで農家はコスト削減でき、水と栄養利用を効率よく改善できる。
プレスリリースは、以下のサイトにある。http://www.unep.org/Documents.Multilingual/Default.asp?DocumentID=624&ArticleID=6573&l=en&t=long.また、CSM-BGBDプロジェクトの詳細は以下のサイトにある。、http://www.bgbd.net/.
 
南北アメリカ

米国農務省研究所の科学者が紋枯病に遺伝抵抗性を同定した
 紋枯病は米の穀粒品質と収穫量に深刻な影響を及ぼす病気で、紋枯病菌(Rhizoctonia solani)によって起こる。米農務省農業研究所は、紋枯病の耐性遺伝子の同定に成功した。
植物病理学者のYulin Jia氏と共同研究者は、紋枯病の発病をコントロールしていると考えられる遺伝領域として初めて発見された領域qShB9-2を同定し、確認した。Georgia Eizenga氏のチームはつの可能性の高い品種を発見し、何種かを国内種と交配させ、新たな耐性遺伝資源を作り出した。同様に、Shannon Pinson氏は紋枯病に耐性を持つ米を作る遺伝子を持つクロモソーム領域を組換え近交系の遺伝子から発見した。
紋枯病の研究開発に関する最新の報告は以下のサイトにある。http://www.ars.usda.gov/is/pr/2010/100504.htm.
 
オレイン酸含有量の高いダイズ油が2012年に市場にでる

オレイン酸含有量が多い大豆油は、加工過程でトランス脂肪酸を生成する水素添加を必要としないため、健康に良いとされている。パイオニア・ハイブリッド社は、2012年までに、この大豆油をPlenishTMという製品名で一般販売する事を目標としている。この組換えダイズは、現在市販されている商品に比べ、飽和脂肪酸が20%少ないという特徴も持つ。
PlenishTMは今年末に米国規制認可を受け、2011年にオイルテストとフィールドテストを行い、最終的に2012年に商品化される予定である。「大豆油の品質を向上する事は我々の挑戦の半分に過ぎない。我々はさらに、生産者達の栽培意欲を高められる品種、オレイン酸含量が高く、かつ従来の大豆と収穫量が変わらない品種を開発しなければならない。」と、研究者のSusan Knowlton氏は話した。『我々は、油の品質と圃場試験のこれまでの結果に喜んでいる。』とも語った。 
パイオニア・ハイブリッド社のプレスリリースは以下のサイトにある。http://www.pioneer.com/web/site/portal/menuitem.2ef674038413d5e663816381d10093a0/
 
米国食品医薬品局(FDA)は Vistive Gold ダイズ油を承認
米国食品医薬品局(FDA)は、モンサント社に対し、ビスティブ・ゴールド大豆を原料とした大豆油を安全食品認定(GRAS)する旨の回答書を発行した。食品会社は、飽和脂肪酸含量が低く、トランス脂肪酸が少ない、あるいは含まない特徴を持つダイズ油を使用した各種食品の開発及び試験が可能になった。
 「健康食品の需要は近年ますます高まっており、本製品はそれに見合った原料供給を可能にすることになる。」とモンサントの世界の油糧を先導するRoy Fuchs氏がのべた。「ビスティブ・ゴールドの開発により、消費者にダイレクトに健康効果をもたらす、次世代の大豆生産を垣間見ることができる。我々はさらに、本製品の発売後、市場でプレミアム価格が設定され、農家が利益を得ることを期待している。」とも語った。
プレス・リリースによると、モンサント社は官公庁への申請手続きを既に完了している。規制プロセスが終了すれば、本製品は各食品会社で原料として利用される事が可能になる。
全報告は、以下のサイトにある。http://monsanto.mediaroom.com/index.php?s=43&item=841
 
ホテイアオイの生物的制御が発表された
 Megamelus scutellaris(半し類:ウンカ科)を利用したホテイアオイ(Eichhornia crassipes)の生物的防除が、フロリダとアルゼンチンのブエノスアイレスに拠点を置く米農務、省農業研究部の昆虫学者らによって研究された。ホテイアオイは繁殖力が強く水辺で多くの問題を引き起こす水草であるが、これがウンカの幼虫、成虫の餌となることが発見された。この発見から、ウンカ虫は従来の除草剤に代わる効果的な手段として期待されている。
 ウンカ虫は移動性が高く、高度に管理されたシステムでも生存できるため、現在の除草プログラムにうまく適用できると研究チームは確信している。さらなる研究から、ウンカは宿主特異性が高く、在来種や他の経済的に重要な生物種に害を及ぼす危険性はない事が明らかになった。
詳細は 、以下のサイトにある。http://www.ars.usda.gov/is/pr/2010/100518.htm
 
「食糧供給の将来(FTF)」戦略の一部としての生体成分強化

米国政府によるFTF戦略の立ち上げにあたり、USAID長官のDr. Rajiv Shah氏は、農業による栄養改善のためには、Harvestplusの寄与が不可欠であると強調した。主要食物の栄養価を高めることはFTF戦略の一つであるが、これはHarvestPlusの、微量栄養素を含む主要生産物を強化するという目標と一致している。HarvestPlusにより生産される生体成分強化作物の一つに、ビタミンAを豊富に含むオレンジ色サツマイモがある。この生体成分強化作物はアフリカ国民の健康状態と経済的福祉を増進させる目的で、国際ポテトセンターと共同で開発された。HarvestPlusはまた、ルワンダと生体成分強化豆を、インドとトウジンビエを共同開発しており、FTF戦略においてHarvestPlusに期待される役割は大きい。
全体の報告は以下のサイトにある。 http://www.harvestplus.org/content/biofortification-aligned-new-us-%E2%80%98feed-future%E2%80%99-strategy 
 
アジア太平洋

中国の科学者が初めて組換え作物の経済インパクトを多種作物、大規模に評価を実施
 中国農業科学院(CAAS)植物防疫研究所は、初めて組換え作物の経済インパクトを多種作物、大規模に評価を完了した。結果は2010年月14日のサイエンス・オンラインで発表された。
 中国北部で10年間にわたって行われた農場試験の結果、Bt(Bacillus thuringiensis)ワタの栽培によりカメムシ科の昆虫(異翅目カメムシ科)の個体群レベルが徐々に増加し、ワタや他の作物に害を及ぼす事が明らかになった。より具体的には、Btワタがカメムシの発生源となり、Btワタの栽培により殺虫剤を使用しなくなった事で個体数が増加したという。従って、Btワタの栽培には害虫処理体制の改善がアグロ・ランドスケープレベルで必要であり、この害虫の発生と拡大の責任を負わなければならない。
 本研究により遺伝子組換えBt(Bacillus thuringiensis)ワタの長期間での非標的害虫への影響が明らかになり、遺伝子組換え耐虫性作物が昆虫個体群の進化に及ぼす影響を解明する理論的基礎が構築された。そして主要害虫を持続的にコントロールする理論と技術の必要性が示唆された。
 全報告は以下のサイトにある。http://www.sciencemag.org/cgi/content/full/sci;science.1187881
 
中国政府高官がバイテクを取り上げた
 2010年月19日から20日にかけて、北京の科学技術委員会の主催で第三回国際バイオテクノロジー・農業サミットが開催された。「中国の農業成長への科学技術、特に現代バイオテクノロジーの寄与率はこの30年で27%から51%に上昇している。」中国の農業技術拡張サービスセンターの長官Dr. Xia Jingyuanはサミットでこう発言した。
 北京科学技術委員会の副長官Yang Weiguangもまたバイオテクノロジーの必要性を認識しており、「農業科学技術の発展のコアとなる種子産業の進展には、バイオテクノロジーの力が必要である」と話した。300人以上の政策決定者、研究者、起業家、そして政府や公営、民間企業の代表者、マスコミがサミットに参加し、農業科学技術の成果と国内需要について、そして政府指導の下、農業バイオテクノロジー企業を設立する事について討論した。
サミットの詳細は以下のサイトにある。http://bas.newlife.org.cn/?lang=en 中国のバイオテクノロジーに関する情報は、中国バイオテクノロジー情報センターのProf. Zhang Hongxiang氏と以下のサイトでコンタクトをとって下さい。zhanghx@mail.las.ac.cn
 
ヨーロッパ

英国の学者がカラス麦について研究した
英国では、カラス麦の改良品種の開発プログラムでアベリストウィス大学の生物科学、環境及び地域科学研究所(IBERS)に4.9Mユーロが投資された。この5年間のプログラムで、バイオテクノロジー・生物科学研究会議(BBSRC)、英国環境・食糧・農村省(Defra)、ウェールズ議会政府、スコットランド政府が資金提供している。
「カラス麦は植物病や雑草問題が少なく、穀物ローテーションにおいて重要な間作作物である。小麦と比較して少量の肥料で育ち、限界地域でも生育できる。また栄養価の高い飼料であり、農場でも栽培できる。我々は植物遺伝学の基礎研究と植物育種技術をうまく融合し、食糧、水、エネルギー安全保障及び環境維持という課題に対処するべく、商業的に実現可能な改善種を開発している。」とIBERSのカラス麦育種プロジェクトリーダーのDr Athole Marshallは話した。  
Marshall氏はさらに、「本研究には最新のゲノム科学技術が適用される。分子学的知見と従来の植物育種技術の融合、そして研究・産業パートナーによる新品種の評価と組成分析の結果は、新しいカラス麦品種が多くの最終消費者の要求に見合ったものであると証明してくれるだろう。」と加えた。
アベリストウィス大学からのプレスリリースは、以下のサイトにある。
http://www.aber.ac.uk/aberonline/en/archive/2010/04/au0810/
 
より健康に良い新しい小麦品種
小麦の各栄養成分の含有量は種によって様々であり、中には通常の4倍もの栄養価値を持つ種が存在する。食物繊維、ビタミン類、ミネラルを多く含む小麦を開発するため、2005年6月、EU第6次研究・技術開発枠組み計画(FP6)の「食品の品質と安全」分野でHEALTHGRAINプロジェクト(FP6)が発足した。このプロジェクト名は、「Exploiting Bioactivity of European Cereal Grains for Improved Nutrition and Health Benefits」(ヨーロッパの穀物農業を活性化し、栄養と健康効果を高める)の文字の組み合わせを取って命名された。
本プロジェクトは今月で終了するが、プロジェクトの研究者達は小麦育種計画に利用できる食物繊維、トコフェロール(ビタミンE)、そしてステロールのMarker(標識)を同定したと報告した。さらに、彼らは育種家、穀物商人、製造加工業者、そして栄養価改善小麦の識別ラインに関わる全ての食品産業業者に応用可能な、近赤外線測定法及び抗体などの新しいツールを開発していると報告した。
報告の詳細は以下のサイトにある。http://cordis.europa.eu/fetch?CALLER=FP6_NEWS&ACTION=D&DOC=4&CAT=NEWS&QUERY=0128d9078418:af4c:7cdc92c2&RCN=32129
 
英国環境・食糧・農村地域省(DEFRA)
英国環境・食糧・農村地域省(DEFRA)は、英国ノリッジ、ジョン・インネス・センターのセインズブリー研究所に対し、ジャガイモの葉枯病に耐性を持つGMジャガイモの試験研究の認可を下した。英国の環境への影響に関する諮問委員会(ACRE)はGMジャガイモ適用の評価を行い、提案された試験が環境及び人体に有害な影響を与えないという結論を下した。ただし、GMジャガイモを試験場に残留させない、収穫されたジャガイモは食用及び飼料用に利用しないという条件が合意に含まれている。 
ニュースは以下のサイトにある。http://ww2.defra.gov.uk/2010/05/21/defra-approves-gm-potato-trial/更に詳しいセインズブリー研究所からの申請と法的内容は以下のサイトにある。http://www.defra.gov.uk/environment/quality/gm/regulation/registers/consents/index.htm.また、申請に対する助言は、以下のサイトにある。http://www.defra.gov.uk/acre/pdf/advice/acre-advice-10-r29-01.pdf.
 
英国、ドイツ、米国の新聞による組換えに関する概念の枠組み形成について
大衆の科学理解誌(The public understanding of Science)は、Framing of Science Issues in Opinion-Leading News: International Comparison of Biotechnology Issue Coverage.(世論をリードする新聞による科学問題の枠組み構成:バイオテクノロジー問題の報道の国際比較)というタイトルの論文を発表した。著者のスウェーデン、ウプサラ大学のThomas Listerman氏は、2000年から2002年にかけて、ドイツ、英国、米国で、現代科学の主要な論題であるバイオテクノロジーが世論をリードする新聞でどのように報じられ、世間にどう認識されているのか、またその認識がどの様に変化したかを調査した。
調査の結果から、メディアの注目度が高まると確かな世論の見直しが起こる事が明らかになった。ドイツではバイオテクノロジーの倫理面での討論が激しくなり、イギリスでは国民の議論が活性化した。一方、アメリカの新聞では科学的、経済的な視点での討論が多く見られた。
詳細は以下のさいとにある。 http://pus.sagepub.com/cgi/content/abstract/19/1/5

研究

塩処理下での米の香りと収量減少との関係
 コメの香りはベタインアルデヒド脱水素酵素2(BADH2)という酵素活性を失うこの遺伝子の遺伝子の欠損に関係がある。植物のBADH酵素群は非生物的ストレスに耐える能力を支援するために存在し、これらの酵素群はグリシンベタイン(GB)の蓄積を行っている。しかしイネが自身でGBを作ることができないのは、BADH2の生産が、高塩濃度などの環境ストレスへの耐性を支援するγ‐アミノ酪酸(GABA)の代謝に関係している。
 オーストラリアの植物保全遺伝センターではTimothy Liam Fitzgerald氏らにより、温室スケールでの実験が行われ、香り米とBADH2を持つ非香り米で、塩への耐性がどの様に異なるかが比較した。結果から、塩水に曝された香り米では成熟種子の生産が大幅に阻害される事が分かった。従って、消費者に通常好まれる香り米は塩分感受性の品種から作られると考えられる。  
全報告は、以下のサイトにある。 http://dx.doi.org/10.1016/j.envexpbot.2010.01.001.

 
ピーナッツにおけるアフラトキシン耐性と旱魃耐性の関係 
これまでの研究でピーナッツの旱魃耐性が収穫前のアフラトキシン汚染に対抗する品種を選ぶ間接的選抜指標に利用できることが示唆されていた。タイのコンケン大学のA. Arunyanark氏らが行った圃場試験で、旱魃および非旱魃状態における交配から得られた140種のピーナッツについて、アフラトキシン耐性の遺伝的が評価が行われた。また、アフラトキシン耐性と乾燥耐性特性の遺伝学的な関係が研究された。研究者たちは、アフラトキシン病原体であるAspergillus flavusの感染、アフラトキシン汚染、バイオイマス、収穫高、バイオマスと収穫高の旱魃耐性指標、SPADクロロフィルメーター示度、比葉面積といった各種関連データを収集した。

結果によると、種子の感染とアフラトキシン汚染への遺伝特性の関与は低~中位のものであった。つまりこれらの形質を改良することは難しいことを意味する。しかし、種子感染とアフラトキシン汚染の遺伝子型は旱魃条件下での旱魃耐性と負の相関関係を持つことが明らかにった。この事実は、旱魃耐性遺伝子型の選抜によりアフラトキシン耐性を高められる事を意味している。また比葉面積とSPADクロロフィルメーターの示度はアフラトキシン耐性の間接的な指標であり、これらの簡易測定が大規模育種プログラムに有効に適用できると考えられる。この研究の要旨は以下のサイトにある。 http://dx.doi.org/10.1016/j.fcr.2010.03.011

最新作物バイオテク 2010年4月

世界
ISAAAから組換え作物の世界情勢に関するビデオとポッド放映が出た
Syngenta社とCIMMYTがコムギ研究促進のために産業とリーディングパートナーシップを設立
査読付報告のまとめ:GM作物の良い影響
組換え作物取引の障害物
バイテク作物が多大な利益をもたらすことを示す研究

アフリカ
ガーナの旱魃耐性・ストライガ抵抗性トウモロコシ
2種のトウモロコシは、アフリカの気候変動に打ち勝つ
バイオセーフティー政策の地域間の整合性をCOMESAが探っている

南北アメリカ
えんどう豆アブラムシ遺伝子分析
多様なコムギについて真菌抵抗性遺伝子を探る
花を長持ちさせる研究ツール
モモDNAの解析が完了
農家のためのGE作物管理
βカロチン含有量を増加した熱帯トウモロコシの栽培
有機栽培と従来型栽培に関するスタンフォードの研究
USDAが害虫抵抗性GMコーンの規制を緩和
GMパパイヤの生産が日本で承認

ヨーロッパ
ヨーロッパ人が農家のバイオテクノロジー使用を支持
Btタバコが池由来の肝臓毒を中和
UKのDEFRAがGMジャガイモの試験を許可

研究
干からびた植物に「命をふきこむ」
2つの利用目的をもつトウモロコシ-食糧・燃料生産に関わる特徴の遺伝子解析-

世界

ISAAAから組換え作物の世界情勢に関するビデオとポッド放映が出た
 国際アグリバイオ事業団(ISAAA)はCourter film and Associatesと共同で遺伝子組換え作物の世界情勢ハイライトに関する6つの短編ビデオを作製した。ISAAAは、これらのビデオを先のノーベル平和賞受賞者であり、飢餓と貧困との戦いに生涯を捧げることで農業分野に足跡を残したNorman Borlaug氏に捧げて作成した。ISAAA創始者兼理事長であり、組換え作物の世界情勢の年度ごとの見直しを記しているClive James博士が集中的、包括的に解析を行い、ビデオシリーズのテーマを6つに分けた。6作すべてのビデオはISAAAのウェブサイト(http://www.isaaa.org)上のビデオストリーミングまたはダウンロード可能なフォーマット、もしくはYouTubeで視聴が可能である。
 ビデオのトピックス
・    Norman Borlaugの遺したもの
・    組換え作物の全世界的導入状況
・    途上国における組換え作物:中国の組換えイネと高フィターゼトウモロコシの重要性
・    組換え作物の世界的インパクト
・    組換え作物の将来見通し
・    ISAAAの役割:知識の共有
ウェブ視聴者はhttp://www.isaaa.org/rss/podcast/default.asp.にアクセスすることで上記の新しいビデオやオーディオファイル、PDFに代わってポッドキャストを利用することもできる。

Syngenta社とCIMMYTがコムギ研究促進のために産業とリーディングパートナーシップを設立
 国際トウモロコシ・コムギ改良センター(CIMMYT)とSyngenta社がGM、非GMハイブリッド、種子と作物保護の組み合わせを含むコムギの品種改良技術の発展のために官民パートナーシップを結んだ。両者は遺伝子マーカー技術革新、Syngenta社とCIMMYTによるコムギ遺伝子多様性へのアクセス基盤の発展、さらに世界的協力による全世界的コムギ増産を目指している。
 CIMMYT世界コムギプログラムのディレクターであるHans-Joachim Braun氏は、全世界のコムギ生産量は、世界的需要が年1.5%以上の増加に見合うように極めて大きな伸びが必要であると述べた。したがって今回の官民協力は農業の世界規模での挑戦を成功させるためにきわめて重要なものとなるであろう。「気候変動の影響と関連づけつつ、我々は更なる食料危機を避け、迫りくる世界人口の増加に備えて世界中の農家を守らなければならない。今回のようなパートナーシップは世界中の農家、豊かなものにも貧しいものにも多大なる利益をもたらすことができる。」とBraun氏は述べた。
詳細は以下のサイトにある。
http://www2.syngenta.com/en/media/mediareleases/en_100406.html.

査読付報告のまとめ:GM作物の良い影響
農家調査に関する49 報の査読付報告のまとめによると遺伝子組換え作物が特に収穫量の増加によって農家に利益をもたらしたことが示された。これは米国マサチューセッツ州BoylstonのJanet Carpenter氏が書いた商業化化GM作物の良い影響を示したNature Biotechnologyのトピックで発表された記事の中で明らかにされたものである。この再調査結果は組替え技術の広範囲に渡る普及を説明するものであると氏は述べている。
 現在商品化されているGM作物の採用・非採用による経済パフォーマンスの違いを収穫高などの項目によって比較した。その結果、途上国の農家は先進国の農家よりも収穫高の増加率が大きいという結果となった。商品化GM作物の第一波は害虫対策がなされていたために収穫高増加は必ずしも収穫能力に依存せず耕地管理の良さに依存したのである。
 Carpenter氏によれば、今後の関心としては積み重ねられた特性の影響と商品化にまで至るであろうキャッサバ、ササゲ、米などのGM作物技術に対する農家の経験値の評価方法が上げられるということである。詳細は以下。
http://www.nature.com/nbt/journal/v28/n4/index.html#cr
Email the author at janet.e.capenter@gmail.com

組換え作物取引の障害物
 全ての農業部門が世界規模で食糧事情を改善するのに惜しみない努力をしていることは疑いようがない。様々な遺伝子組換え作物に100万ドル以上が投資されている。しかし、ほんのわずかなGM作物しか市場には出回わることができないのが現実である。アメリカのJ.R. Simplot CompanyのCaius M. Rommens氏はその原因はGE作物の研究と発展の間の溝にあると説明している。彼はPlant Biotechnology Journalに掲載されたGM作物市場の壁と道筋という論文の中で、GM作物市場の壁となる障害として以下のものをあげた。
・    耕作地での特性の有効性
・    重大な製品コンセプト
・    取引の自由
・    産業支援
・    同一性保持
・    規制認可
・    消費者受諾
氏はまた上述の障害に打ち勝つための有望な解決策を提示した。例えば、積極的な小売と消費者による購入を増やすために、肯定的な消費者を増やして認知してもらう、組換え作物の優れている点のわかりやすく説明することなどをあげている。
詳細は以下のサイトにあります。
http://www3.interscience.wiley.com/cgi-bin/fulltext/123200391/HTMLSTART?CRETRY=1&SRETRY=0

バイテク作物が多大な利益をもたらすことを示す研究
 バイテク作物は世界的に経済面、環境面に多大なる利益をもたらし続けている。これはUKを中心に審査とコンサルティングを行う機関であるPG経済社によって2つの新たな研究としてまとめられた。
 「1996年以降、バイテク作物の受け入れによる殺虫剤利用機会の減少、農家の収入の増加、コーン、菜種、大豆などの低価格化などを通じて農業関連の温室効果ガスの放出量は減少し続けている。」PG経済社のディレクターであり、この報告書の共同著者であるGraham Brookes氏はこのように述べている。「その技術はまた、作物生産量の増加、生産リスクの軽減、生産効率の改善、主要穀物の世界的生産高の増加に大きく貢献している。したがって経済面と環境面の利益のコンビネーションはより効果の出やすい途上国において、世界的農業のサステナビリティと食糧の値ごろ感の改善に効果的な影響をもたらしている。」
 記載内容を一部抜粋
・    バイテク作物は農業由来の温室効果ガス排出量を大きく減少させる。
・    バイテク作物によって1996年-2008年で3.52万トンまで殺虫剤使用量が減少。
・    多くの地域、特に南アメリカにおいて除草剤耐性バイテク作物は除草剤を一切使わない、もしくは使用量を減らした耕作生産システムの普及を促進している。
・    2008年には94億ドルであった農家レベルでの利益が今後13年で520億ドルにまで成長すると概算している。
・    農家の利益をトータルで考えると、生産コストの削減によって50.5%(262.5億ドル)の生産高増加が見込まれている。
全文は以下を参照。http://www.pgeconomics.co.uk/

アフリカ

ガーナの旱魃耐性・ストライガ抵抗性トウモロコシ
 国際熱帯地域農業機構(IITA)とガーナ国立トウモロコシプログラムが開発した4種の旱魃耐性・ストライガ抵抗性トウモロコシが最近ガーナの農家に解禁された。サバンナ農業研究所とガーナ産業研究所との共同でガーナ穀物研究機構から3種の早生系統種であるEVDT-W 99 STR QPM Co、TZE-W Pop STR QPM C0、TZEE-W Pop STR QPM C0 と1つの中生種である旱魃耐性QPMハイブリッドが解禁された。
 「この解禁によってガーナの農家は熟の期、色、タイプだけでなく、上記2つのストレスへの耐性の有無からも品種を選べるようになった。この2つの主なるストレスへの抵抗種は、この地域でのトウモロコシの生産と生産効率の増加を妨げる主な原因に対抗するもである。」とIITAのトウモロコシ育種家Baffour Badu-Apraku博士は言った。さらに食糧農業省のガーナ穀物・豆類開発局のRobert Asuboah博士は状況を楽観視しており、これらの`保険的`作物は乾期でも農家が利益を得るほど生産が可能であろうと考えている。
詳細は下記のサイトにある。
http://www.afriquejet.com/news/africa-news/ghanaian-farmers-get-drought-tolerant-maize-to-boost-production-2010040347069.html
 

2種のトウモロコシは、アフリカの気候変動に打ち勝つ
 アフリカ大陸で約3億人分の食糧生産が期待されるサブサハラでトウモロコシの2つの新品種が栽培されている。どちらの品種も乾燥に強いが一つは従来手法で育種されたもので、もう一つの高生産性品種は遺伝子組換えによって作られたものである。この品種の組換え遺伝子はごく一般的な細菌で、塵から分離されたBacillus subtilisを用いたものである。B. subtilisとトウモロコシはストレス受容器官を補助するCspBタンパク質に対応する共通の遺伝子をもっている。組換え品種は7年後に市場出すことを目指して生物安全性試験が今行われている。
 アフリカでの水効率性の高いトウモロコシプロジェクトマネージャーSylvester Oikeh氏はアフリカでの気候変動の悪影響について警鐘を鳴らしている。気温上昇、旱魃、塩害の増加は農業に深刻な問題をもたらす気候変動の結果である。モンサント社が開発した遺伝子組換えトウモロコシは気候変動によるあらゆるストレスの中でも最大30%の生産高増が期待されている。
原報告は以下のサイトにある。http://www.climatewire.net

バイオセーフティー政策の地域間の整合性をCOMESAが探っている
 東部南部アフリカの商品貿易同盟(ACTESA)、東部中部アフリカの農業研究強化協会(ASRECA)と共同で東部南部アフリカの共同市場の特別部門、生物安全性プログラム(PBS)と国際アグリバイオ事業団のアフリカセンターは、ケニヤのナイロビにて4月19~20日、COMESA構成国のための生物安全性に関する地域ワークショップを開催した。
 議題として多く上がったのは、COMSA農業大臣の発案で持ち上がったCOMESA領域バイオセーフティー政策や指針の草案作りであった。その政策やガイドラインは、遺伝子組換え(GM)作物の商業生産、その貿易、その緊急食糧援助への取り入れを視野に入れたものである。またCOMESA領域内でのコミュニケーション方法とバイオセーフティーロードマップも提案された。
 ワークショップ終盤では後述する内容を含む声明がCOMESAの意見として発表された。
・    政策決定者の意見を取り入れ、遺伝子組換え(GM)作物の商業生産、その貿易、その緊急食糧援助への取り入れに関する整合性のある政策・指針草案を改善すること。
・    地域バイオ案税制と中央集約化GMOリスク評価機構を制度化する。
・    生物安全性ロードマップ草案を支持し、それをよく認識し、そのギャップを認識し、構成員での実施を支持推進する
・    コミュニケーション方法の草案を支持し、長短期に渡るプログラムの提携においてその運用を可能にすることを推進する。
・    専門化による調査委員やGMOリスク管理小委員会の運用支援のための資金援助を支持する。
・    同意した協議事項実行のための長期間のバイオテクノロジー/バイオセーフティープログラム協力を促進する
さらに詳しい情報を知りたい方はGetachew Belay博士(バイオテクノロジー政策アドバイザー長、ACTESA/COMESA)まで以下のサイトにメールして下さい。gbelay@comesa.int

アメリカ

えんどう豆アブラムシ遺伝子分析
 新規配列決定されたえんどう豆アブラムシ遺伝子の解析をマイアミ大学の研究チームが開始した。えんどう豆アブラムシは緑色の小さな虫で、マメ科植物や他の飼料作物の汁液を好むため植物に直接的ダメージを与えたり、ウィルスの媒介者となったりする。この研究成果は、遺伝子アンノテーションと呼ばれる遺伝子座や遺伝的機能の可能性の決定に役立つものであり、その結果植物や微生物の生態学的繋がりや遺伝子制御のベースとして活用されるものである。
 この研究はUSDA国立食糧農業機構が資金支援した。上記の成果はえんどう豆アブラムシの難解な生態を解明するために利用され、他のアメリカ農業に影響を及ぼすアブラムシを制御する手段を模索するのに役に立つものである。

この報道は、以下のサイトにある。http://www.nifa.usda.gov/newsroom/news/2010news/04011_pea_aphid.html

多様なコムギについて真菌抵抗性遺伝子を探る
カンザス州マンハッタンに拠点を置くUSDA農業研究機構の厳冬コムギ遺伝子調査チームが迫ろうとしているのは、Fusarium graminearum抵抗性要因の特定をしようとするはリスクもある育種戦略である。植物分子遺伝学者Guihua Bai氏が率いるこのチームは、中国、韓国、日本から集められた古い‘ランドレース系‘を含む外来コムギ系統に由来する新たな抵抗性因子の特定を始めた。温室で育成した87種のうち、26種が高いFHB抵抗性を示し、15種は真菌毒素デオキシニバレノール(発病中に真菌が合成する物質)のレベルが非常に低かった。
さらに6種はSumai3とも一致しない3つの異なるタイプのFHB抵抗性遺伝子を有していた。(Sumai3とは抵抗性遺伝要素の一種で、アメリカで栽培されているFHB抵抗性コムギに使用されている。)これらの系統種はアメリカコムギ種を栽培するために新たな抵抗性を得る源となるであろう。研究チームは遺伝子ツールを使用して他の遺伝子要因や商業利用の可能な種の選別の速度を上げている。
 詳細は以下のサイトにある。http://www.ars.usda.gov/is/pr/2010/100401.htm

花を長持ちさせる研究ツール
 フロリダ大学とレディング大学(UK)の共同研究機関であるUSDA農業研究機構、作物病理・遺伝学研究部門(カリフォルニア州デイビス)は根本的原因と老化メカニズムを制御する遺伝子を特定したと発表した。カリフォルニア大学(デイビス)で行われた。研究において、Cai-Zhong Jiang氏とMichael Reid氏によって低濃度のチジアズロン(TDZ)を吹きかけることで鉢植えした植物の葉と花の寿命が延びることが明らかにされた。その後‘ウィルス誘発性遺伝子サイレンシング‘またはVIGSと呼ばれる分子技術を用いた研究でTDZの働きのメカニズムやバラ以外の植物でより効果的であることが明らかとなった。
 この方法は目的遺伝子を導入したウィルスを植物に感染させ、感染、非感染植物を比較するもので、植物が元来持っているウィルス侵入に対する抵抗性を利用している。この方法の根拠となる実験はペチュニアをモデルとして行われた。このモデル実験では、色やエチレン生産に関わる配列をウィルスに挿入してサイレンシングさせると、紫色の花に白い斑点が生じ、老化促進物質であるエチレンの生成が抑制される結果が得られた。「ここでの基本的な考えはウィルスを迅速に遺伝子機能を失わせる道具として使うことで老化を操作しようというものである。」とCai-Zhong Jiang氏は述べている。
 より詳しいことは、以下のサイトにある。
http://www.ars.usda.gov/is/AR/archive/apr10/blooms0410.htm
モモDNAの解析が完了
 ラベル(Lovell)ピーチの遺伝子配列解析が完了したとClemoson大学の新報告が伝えている。Clemon大学でAlbert Abbott氏を代表として行われた大規模な研究プログラムの成果である。氏は分子遺伝学分野でのRobert and Lois Coker Trustees Chairであり、遺伝学と生化学分野の教授でもある。このラベルピーチは落葉樹の成長と分化に重要な遺伝子を特定・解析するためのモデル種として選択された。
ラベルピーチゲノムを解析すれば、リンゴやプラムのような近縁種との特徴付けや栄養素を強化させる遺伝子の特定も可能であろうと考えられている。Bryon Sosinski氏(N.C.州立大学園芸科学分野准教授、モモ解析プロジェクト米国コーディネーター)はその活動は世界中(イタリア、スペイン、チリ、ノースカロライナ.州共同ゲノム機構、Clemson・Washington州立大学)に及んでいる、と述べている。
 詳細と報告は以下のサイトにある。
http://www.clemson.edu/media-relations/article.php?article_id=2686

農家のためのGE作物管理
 「アメリカ合衆国における遺伝子組換え作物(GE作物)の持続的農業への影響」という研究はアメリカ国立研究会議から最近報告された。アメリカのGE作物を栽培している農家の多くは実質的な経済的、環境的利益(低い生産コスト、少ない害虫問題、殺虫剤使用量の軽減、在来種よりも生産高の増加)を得ている、と報告されている。今後もさらに農家が環境面での利益を得続けられる多くの可能性がある。
 その報告では他者間で、雑草耐性問題を挙げる政策決定者間の密な連携、雑草自体を操作してコストを削減する方法を模索、除草剤耐性GE作物の作成、さらに‘保護‘エリアでのEPA管理方法のように害虫が耐性を持たないようなやり方を是認するなどを推進している。次にあげる研究が推進され行われている;米国分水界でのGE作物の影響、GE作物の生産を行っていないものも含む全ての農家におけるGE作物効果の度合、畜産産業へのGE作物の影響
この報告のコピーは、以下のサイトから得られるhttp://www.nap.edu。 また報告やニュースリリースは以下のサイトにある。http://national-academies.org/ 
http://www8.nationalacademies.org/onpinews/newsitem.aspx?RecordID=12804

βカロチン含有量を増加した熱帯トウモロコシの栽培
穀物中のβカロチンレベルの制御に関わる自然発生的対立遺伝子が熱帯トウモロコシに導入され、そのβカロチン含有量が5倍以上増加した、とNature Geneticsオンラインで報告された。
 「トウモロコシはラテンアメリカやアフリカにおける主要穀物であり、炭水化物、タンパク質、他様々な栄養素の摂取源となっているが、プロビタミンAの含有量が一般的に少ない」とYan Jianbing 博士(CIMMYT、この研究の代表者である)は述べる。「我々が発見した有望な対立遺伝子はトウモロコシ中のβカロチン量を従来より5倍以上も増幅する働きがあった」と述べている。
 CIMMYTの特集記事によれば、11の研究機関から派遣された21人の国際専門家からなるこのチームはZea mays β-carotene hydroxylase 1(crtRB1)遺伝子の自然変異を調査した。この遺伝子はトウモロコシの果実中のβカロチンを変化させる働きをもつ。彼らが発見したプロビタミンA増強穀物は、crtRB1lycopene epsilon cyclase(lcye)の2つの遺伝子を対立遺伝子座に配置することで15µg/ g(grain)のβカロチンを持つ熱帯トウモロコシを栽培すること成功したのである。
この研究に関するCIMMYTの記事は以下のさいとにある。
http://www.cimmyt.org/english/wps/news/2010/apr/vitaminA.htm

有機栽培と従来型栽培に関するスタンフォードの研究
 有機栽培と従来型栽培方法との違いとはなんであろうか。Clystal Smith Spangler氏とスタンフォード大学の同僚による200以上の研究のまとめが発表された。
・    有機栽培は農薬残渣による汚染のリスクが非常に低い。しかし有機栽培された作物も従来法の作物もその残留農薬レベルは規定値よりも低い。
・    有機栽培は、細菌、重金属、マイコトキシン汚染を含み、安全性や栄養的な質の面で優れた面はない。
・    有機果物と野菜を食べる子供と有機穀物を食べる大人では、従来の食べ物を摂取するに比べてその農薬に対する暴露は少ないと言える。しかし農薬への暴露の度合いは両者とも安全性基準を満たすものである。
・    有機栽培と従来法での肉、卵、牛乳では細菌汚染度合は両者ともほぼ変わらないが、従来方法の肉、卵、牛乳では抗菌耐性細菌が有機栽培のものより多かった。
 報告は以下のサイトにある。http://healthpolicy.stanford.edu/events/is_there_a_difference_between_organically_and_conventionally_grown_food__a_systematic_review_of_the_health_benefits_and_harms/
 
USDAが害虫抵抗性GMコーンの規制を緩和
 慎重な調査と評価を行い、アメリカ農務省動植物健康調査機関(APHIS)はSyngenta Biotechnology, IncのGMコーンの市場導入の規制を緩和した。
 Syngenta社は2007年9月に害虫抵抗性Btコーンの市場参入規制緩和の申し立て書を提出した。2010年1月13日から5月15日までに市民から寄せられた意見である正確な環境アセスメントや植物の害虫リスク査定を通過し、この申立書は受理された。APHISは市民から寄せられた35の意見に対して説明し、そのコーンが米国環境規定に反するような有害な影響を環境にもたらすような要因を一切持たないことを公言した。
 より詳細な報告は以下のサイトにある。
http://www.aphis.usda.gov/newsroom/content/2010/04/ge_corn_resist_insects.shtml

GMパパイヤの生産が日本で承認
 日本はハワイからの遺伝子組換えパパイヤの輸入を承認した。GMパパイヤは今年から日本のスーパーの店頭に並ぶことができるようになった。これはDennis Gonsalves博士(アメリカ農務省太平洋沿岸農業研究センター長(ハワイ、Hilo)兼Cornell大学植物病理学名誉教授)が第63回雑草学西部支部で発表した。
 Gonsalves氏はGMパパイヤ研究のプロジェクトリーダーであり、GMパパイヤは4700万ドルのハワイのパパイヤ産業を支えた。パパイヤはハワイで2番目に多く栽培されている作物であり、そのほとんどがアメリカ本土と日本に輸出されている。ハワイ産パパイヤはその約25~30%が日本に輸出されている。
 原報告は、以下のサイトで見ることができる。
http://westernfarmpress.com/citrus/gm-papaya-wins-approval-0421/

アジア・太平洋地域

フィリピンの生化学者、アジア人初のロレアルUNESCO科学賞受賞
 フィリピン人生化学者にしてアジア人初のロレアルUNESCO科学賞を受賞したLourdes Jansuy Cruz博士(フィリピンDiliman大学海洋科学部)はフィリピン人初にしてアジア人初の女性科学者賞を受賞した。この賞は他4名が受賞している。世界中で千人近いノミネートがあったにも関わらず、Cruz博士はノーベル賞受賞者Gunter Blobel氏率いる審査員による厳正なる審査の結果、その先駆け的研究(海洋巻貝類由来の毒から非中毒性モルヒネを開発した、コノトキシン研究)が評価され、今回の受賞となった。
 30年前、彼女はBaldomero Olivera博士(Utah大学)とConus(フィリピンで発見された海洋巻貝の一種)毒から抽出されるペプチドの単離・特定について共同研究していた。 このペプチドの一つがアメリカのバイオテクノロジー会社であるCognetix Corporationによって開発され、Prialts Ziconotodine(モルヒネに代わる非中毒性物質)が生まれた。現在conotoxinは人の脳の働きを示す生化学的指針として研究に利用されている。Cruz博士は他の4人の受賞者と同様に賞金10万ドルを獲得、3月にパリのUNESCO本部で行われた授賞式に出席した。この名誉ある賞は毎年生命科学分野に貢献してきた大陸ごとの女性科学者に贈られる。
賞の詳細関連情報は、以下のサイトにある。
http://www.unesco.org/new/en/media-services/single-view/news/loreal_unesco_awards_and_fellowships_for_women_in_science_2010_to_be_presented_at_unesco/back/18256/
http://lifestyle.inquirer.net/sundaylifestyle/sundaylifestyle/view/20100314-258476/Filipina-is-first-Asean-winner-of-LOral-Unesco-Science-Award.
フィリピンのバイオテクノロジーについては、以下のサイトからいられる。
http://www.bic.searca.orgまたメールを以下のサイトに送って下さい。bic@agri.searca.org

CSIROが塩耐性デュラムコムギのフィールド試験に成功
 遺伝子組換え塩耐性デュラムコムギの最近の農場試験が高塩分土壌において既存種よりも生産力で勝った。このGMコムギはオーストラリア連邦科学・工業研究機構(CSIRO)の研究チームが開発した。CSIROのRichard James博士によれば、このコムギは親株Tamaroiより25%生産高が増加した。パンコムギと比べてデュラムコムギは塩耐性が低いが高級パスタに必須であるため、高い利益をだしてもいる。
 塩度はオーストラリアのコムギ農家にとって主要な環境問題の一つである。Rana Munns博士率いるCSIRO研究チームの説明では塩耐性遺伝子(Nax1およびNax2)は葉のナトリウムを阻害することによってコムギに有毒な作用を減らしているということだ。
詳細は、以下のサイトにある。
http://www.csiro.au/news/CSIRO-develops-highest-yielding-salt-tolerant-wheat.html

ヨーロッパ

ヨーロッパ人が農家のバイオテクノロジー使用を支持
Eurobarometer研究の中でAssociation Francaise des Biotechnologies Vegetales (AFBV) は、バイテクがヨーロッパで広く受け入れられていることを明らかにした。約77%の報告書がヨーロッパでは、農家がバイテクの先端的優位性を利用することを支持しているという内容であった。フランスでは、76%の国民が好意的に支持、同様にギリシャ、スロバキア、エストニア、チェコ、ハンガリー、スウェーデン、デンマーク、スロベニアでは86%が是認という結果となった。24歳以下の若い世代では81%が是認しており、55歳以上と比べて高い。さらに、バイテクを学んでいる学生、行政高官、サラリーマンは80%以上が好意的に支持しているのに対し、年金受給者、失業者、主婦、自営業者には多少支持の減少がみられた。
 このリポートはバイテクがヨーロッパ市民に広く受け入れられていると結論付けている。しかし、フランス農家の増収のために、技術に関する情報を提供するというさらなるバイテクへの一般市民の取り組みがなされるべきであると結論している。
フランス語の記事は以下のサイトにある。
http://www.presseafricaine.info/article-afbv-77-des-europeens-48585059.html

Btタバコが池由来の肝臓毒を中和
 タバコは非食用作物であり、健康に良くないものとして知られている。しかし、タバコが良い影響も持つことがわかった。Pascal M.W. Drake学術博士のチーム(St. George大学、ロンドン)は有毒な池の浮きカス、特にマイクロシスチンMRの抗体を生産する新たなタバコ品種をつくることに成功した。マイクロシスチンMRはシアノバクテリアから作られる肝臓毒で、飲用水、水泳用水、漁業用水の悪名高い毒素である。
 マイクロシスチン抗体の生産は組換えタバコの葉で作られ、養液培地中に根から分泌される。次の研究段階として、広い水域を浄化する水生植物ハイブリットを開発する。この新たなタバコは組換え植物の一つでしかなく、研究者達は様々な環境汚染物質を浄化する方法を模索している。
 詳細は、以下のサイトにある。
http://www.sgul.ac.uk/media/latest-news/genetically-engineered-tobacco-plant-cleans-up-environmental-toxin

UKのDEFRAがGMジャガイモの試験を許可
環境食糧地域担当省(DEFRA)は、イギリス国内でのGMジャガイモ試験を許可すると発表した。この試験はLeeds大学が行い、シスト線虫類または線状の害虫抵抗性GMジャガイモの開発を目的とする予定だ。これらの害虫はEUによって主要な殺虫剤が規制されてからジャガイモ農家を脅かしていたものである。今回の試験が成功すれば、殺虫剤を使用しないで害虫を除去できることになる。
 Leeds大学のPeter Urwin博士は試験が純粋に学術的なものであり、商業的要素のないことを強調した。計画では2年で試験を終了し、Yorkshireで以前の農場試験を破壊した組換え反対者達から守るために情報は公開しない予定である。
 詳細な情報は、以下のサイトにある。
http://www.defra.gov.uk/news/2010/100401b.htm

研究

干からびた植物に「命をふきこむ」
 蘇生可能シダ(Polypodium polypodioides)を使ってRonald Balsamo氏(Villanova大学生態学准教授)とBradley Layton氏(Drexel大学機械工学准准教授)の連携チームが極端な水分損失した植物の生き残り機構の謎に迫っている。この研究では時間ごとに異なるタンパク質レベルでの関連性を見出す試みを行い、植物組織の気泡中のタンパクの位置を特定したり、それぞれのタンパクの位置を強力な電子顕微鏡を使って決定したりした。
 研究チームはdehydrin(特別な水分を誘引、隔離、集積する働きを持つタンパク質)が細胞壁の近くに存在していることを発見した。実際に水分子で囲まれたdehydrinは細胞膜と細胞壁の間もしくは細胞壁層の間の潤滑油となっていると考えられている。これは細胞壁が乾燥してぼろぼろに崩れるのを防ぐのに大変重要な作用である。植物導管組織もまたこのタンパクの働きによって変形から守られている。その結果、水分が戻るまで完全にその形を維持している。dehydrin遺伝子の特定と他の種への導入が他の植物に旱魃耐性を付与するのに重要なものとなる。
記事の全文は30日間無料で以下のサイトから閲覧可能である。
http://www.amjbot.org/cgi/content/full/97/4/535 その後の問い合わせはいアのサイトのRochard Hund氏にコピーをお願いできる。ajb@botany.org また、この報告は以下のサイトで見ることができる。
http://www.eurekalert.org/pub_releases/2010-03/ajob-bdp033110.php

2つの利用目的をもつトウモロコシ-食糧・燃料生産に関わる特徴の遺伝子解析-
トウモロコシ茎葉は穀物の代わりにバイオ燃料としてのエタノールを得るのには、その豊富な資源、セルラーゼ特性の優良さから重要である。そのため2030年までに従来の液体燃料の30%に置き換えるという目標を達成するため、燃料用トウモロコシ茎葉の生産性と品質の改善が求められている。ウィスコンシン大学のA.J.Lorenz氏の率いる研究チームはバイオ燃料生産に必要な遺伝子間相互作用を解析するため、トウモロコシ(Zea mays L.)でセルロース由来エタノール生産のための細胞壁形質の遺伝学的研究を行い、セルロースバイオ燃料生産のための特性を遺伝的関係を明らかにしようとしている。
 自家受粉種、他家受粉種の解析結果、栽培と選択を通じてトウモロコシ品質と燃料生産高を同時に改善するのに影響するような不都合な性質はないことがわかった。また構造炭水化物濃度と細胞壁消化性に相互関係のないことが明らかとなった。これは理論上炭水化物変換による質量あたりのエタノール生産量の増加が可能であることを示している。
 この研究の要旨は、以下のサイトにある。
http://crop.scijournals.org/cgi/content/abstract/50/3/842

作物バイオ最新情報 2009年12月号

ニュース
世界

• 中国は遺伝子組換えイネとトウモロコシに画期的な決定を下した
• 組換え作物の経済性を検討

• 国連報告によると食糧は再度高騰
• コペンハーゲンで農業林業グループが共同声明を出した
 
南北アメリカ

• 組換えアルファルファ反対派に農民団体が反論 
• ブラジルは新規除草剤耐性組換え大豆を承認
• ブラジル農家は従来品種よりも組換え品種を多く栽培
 
アジア太平洋

•  マレーシアのバイオ安全法が発効 
•中国で 遺伝子組換えイネがバイオ安全性の証明を得た
• フィリピンがSyngenta社の 遺伝子組換えGA21 トウモロコシを承認
• Btナスの安全性を確認: インドの科学と技術の大臣が承認
• 遺伝子組換え技術がソルガムのバイオマス特性を改善
• 台湾-韓国が種の遺伝子組換えトウモロコシの輸入承認

• ベトナムの政策決定者がバイオテクノロジーを支援
 
ヨーロッパ

• EU委員会は、Syngenta社の遺伝子組換えトウモロコシの食糧・飼料への利用を承認
• 精密育種によるアミロペクチンジャガイモの造成 
• トルコは遺伝子組換え品の輸入禁止を解いた
• ウクライナは、初めて組換え作物の登録申請を受け付けた
• ブルガリア国会は組換え作物栽培の法律を緩和

研究

• 遺伝子組換え作物の市場参入の障壁
• 遺伝子組換えによる耐病性及び害虫抵抗性キャッサババイオ燃料に関する補遺
• 温室効果ガス放出に関するバイオディーゼルのインパクトの評価報告
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ニュース
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*世界 *
中国は遺伝子組換えイネとトウモロコシに画期的な決定を下した
中国は、重要な遺伝子組換え作物3種(トロイカ)即ち繊維(Btワタ)、飼料(フィ

ターゼトウモロコシ)、食品(Btイネ)の承認を完了する。とClive James博士(国際
アグリ事業団、ISAAA会長でISAAA 組換え作物年報の著者)が以下のように述べた。
ISAAA 2008 年報で、私は「遺伝子組換え作物のニューウェーブを予測した….導入の第一の波と切れ目のないつながりが連続的且つ広い基盤での面積増での強い成長を予測した。」この予測は2009年11月の後半に現実のものになり始めた。それは、1週ほどの短い間に中国の農業省(MOA)は2つのバイオ安全性に証明書を発行し、遺伝子組換えBtイネ(イネは、人類の半分を養っている世界で最も重要な食用作物)と遺伝子組換えフィターゼトウモロコシ(トウモロコシは、世界で最も重要な飼料穀物)を承認した。2つの承認には、中国、アジアと全世界での組換え作物への重大なポジティブな含みある。ここでMOAが行った非常に重要なことは、非常に慎重で十分な研究を実行し、およそ2~3年でこれら2種の極めて重要な遺伝子組換え作物をすっきりと完全な商業化を進めるために、新しい在来種および遺伝子組換え種にあてはまる標準的な登録実地試験の完成までまっていたことに注目すべきだ。今注目すべきことは中国が論理的年次計画で重要な遺伝子組換えトロイカ作物の承認を完了したことである – 最初は繊維(ワタ)で、2番目に飼料(トウモロコシ)で、3番目に食糧(イネ)でした。中国のためのこれらの3つの作物の潜在的利益は、巨大で、下記のようにまとめられる。
Btワタ 中国は1997年以降Btワタをうまく栽培して、現在、中国の700万人以上の小さな農家は、平均して、ヘクタール当たり生産高の10%増加、殺虫剤の60%減少したのでより持続的農業と小農家の繁栄に貢献し、ヘクタール当たり220米ドル(国全体で与えられるべきものであるヘクタール(全国的には10億米ドルに等しい)収入の増加を達成している。中国は、世界最大のワタ生産国でその560万ヘクタールの68%が2008年にBtワタが成功裏に栽培された。
Bt イネ Btイネは、年間40億米ドルの利益を生み出す可能性がある。これは収量が8%増加し、殺虫剤の使用が80%減少し、3,000万ヘクタールある中国の主要食用穀物がヘクタール当たり17kg生産されることになる(Jikun Huang et al, 2005)。中国の全てのイネの約75%がニカメイガに侵されていると推定され、これはBtイネで制御可能なものである。中国は、世界最大の米の生産国で1億7800万トンの米を水田で生産し、これには1億1000万の米農家(1農家4人家族として合計4億4000万人の人々)が従事している。この人々が直接農家としてこの技術の恩恵をうけるが、中国の13億人の米消費者も利益を受ける。Btイネは、中国がまさに自給自足を維持し、旱魃、塩害、虫害、

HOBIA第109回例会のご案内

日時:6月29日(火)

会場:北海道大学 研究交流会館(正門を入って左の建物)1F小講堂
HOBIA平成22年度 総会13:00~14:00
第109回例会 14:15~17:00

14:15~14:20 理事長挨拶  吉野次郎
14:20~15:50
講演1:Rapid Progresses of Recombinant Crops in China and other Asian Countries
中国及びアジアにおける組換え作物の急速な進展
演者 Dr. Randy Hauther (ISAAA)(国際アグリ事業団)同時通訳あります
【要旨】商業的遺伝子組換え作物栽培の導入はその第一大規模の商業栽培が1996年に開始されて以来世界で拡大を続けている。2009年には25カ国が遺伝子組換え作物を商業栽培し、しかもそのうち16ヵ国が途上国であり、工業先進国は9ヵ国であり、1億3400万ヘクタールに4種の主要作物が植えられており、それは2008年と比較して7%の伸びであった。
アジアで2009年の最も重要な進展は、中国がBtイネ(害虫耐性イネ)と高フィターゼトウモロコシ(飼料用トウモロコシ)にバイオ安全性の認定を与えたことである。これはこれらの極めて重要な食用作物と飼料作物の遺伝子組換え品種を3年以内に商業栽培を可能にさせるものである。この二つの重要な認証の影響の大きさは計り知れないものである、一重に中国に留まらず残りのアジアに、更には全世界に大きなインパクトを与えるものである。インドとフイリピンもまた遺伝子組換えワタとトウモロコシについてそれぞれ商業的導入の基盤を整備しつつある。更に、遺伝子組換え作物の研究開発は、アジア全体で拡大・進展し、目白押しの状況にある。その結果さまざまの遺伝子組換え製品が次の5年以内に商業ベースで手に入るようになると想定される。

16:00~17:00
講演2:「食品の機能表示をめぐる日本と海外の状況」
演者:小砂憲一氏  株式会社アミノアップ化学代表取締役会長
【要旨】日本では「健康食品」という法的定義が存在せず、薬事法、健康増進法、食品衛生法、景品表示法など複数の法律で取り扱われるために、色々な問題や混乱を引き起こしている。海外主要国ではヘルスクレームを表示する制度の確立と、サプリメントに対する法制化として明確に制度化されている。本講演では弊社製品の実例を紹介し、国内外の制度を紹介、概説する。

本例会は、NBIC(日本バイオ情報センター)との共催で行います。

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