「旭川大豆を活用した地域ブランド食品開発」について

 平成20年12月1日、「大豆の魅力を引き出す」をテーマに開催された「地域バイオ育成推進講座」(同実行委員会)において、旭川市より、「旭川大豆を活用した地域ブランド食品開発」の取り組みが報告されました。
 本事業にはアグリネット事業の拠点企業も参加しておりますので、事業の概要をご紹介いたします。


(報告者)

旭川市経済観光課ものづくり推進室産業振興課 主任 石崎 徹  氏

(要 旨) 

 旭川の食品企業のほとんどが中小零細で、大手との価格競争にさらされ、売っても売っても利益が上がらない状況に追いやられおり、大手と同じ土俵に上がらない・大手の価格競争に巻き込まれない商品開発が課題です。

 「価格で勝負しない商品開発」について、旭川食品加工協議会では、大豆生産地“旭川”(H19生産量全道10位)の地の利を生かし、大豆産地ならではスパイスの効いた原材料の差別化(産地障壁を形成)と食品加工技術の両面から、旭川大豆に付加価値を付けて売る「旭川大豆プロジェクト」を農商工連携でスタートさせました。

 H16年から4年間、契約栽培農家と連携し、①食品加工性のよい枝豆品種の選抜、②若い枝豆・完熟枝豆・枝豆豆乳を原材料とする食品の試作・製品化、③選抜した枝豆品種「サッポロミドリ」を利用した商品開発、④FOODEXJAPANやスーパーマーケットトレードショ-などへの出展活動に取り組んできました。

 今年度の取り組みは、①豆乳の使い勝手の悪さ(日持ち、液体)を改善する「大豆粉末を利用した商品開発」と、②JA東旭川(大豆の大産地)との契約栽培の締結しての、原材料の安定確保や新品種選抜の試験栽培の推進です。

 具体的には、①新品種選抜では新種の大玉たまふくら、高イソフラボンゆきぴりかの試験栽培 ②原材料の安定確保では、枝豆品種のゆきむすめ・黒美月、一般品種ではほとんどが本州豆腐メーカーに独占されている“とよこまち”の試験展示栽培、③大豆粉末では愛知県メーカーへの委託試験(地元企業で実施したい)であります。

 この間、大豆プロジェクトから商品化された製品は、豆乳茶碗蒸し、豆乳プリン、豆乳ラーメン、粉末練り込み菓子、粉末餡練り込みドラヤキがあります。

 今後、試験品種の製品化については、①極大粒タマフクラは粒の大きさを活かして煮豆・甘納豆を(難点:収穫晩生)、②高イソフラボンゆきぴりは機能性を活かして豆乳、ラーメンサラダを(実証試験:旭川産ゆきぴりかの機能性)、③一般品種トヨコマチは甘みを活かして粉末食品を、④枝豆品種は枝豆・豆乳製品の継続生産と生産者・事業の連携強化を、⑤期待品種として青臭みのないリポ欠品種「十育243」がありますが、栽培が難しいので、更に試験栽培の取り組みが必要であります。

(まとめ)

 行政の役割は、①事業者のモチベーションを支える ②事業者の取り組みに「信用力」を付与する ③農商工連携の積極コーディネートであります。

 今後とも、旭川市、旭川食品加工協議会は、農商工連携で、「旭川の地の利を生かし、原材料からこだわった、大手と同じ土俵にあがらない商品開発」に取り組んでまいります。

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