「健康食品産業の現状と将来」
CMPジャパン(株) 代表取締役 牧野順一
【健康食品をめぐる国際的動き】
健康産業のマーケットは、今や世界的な規模で動いている。1994年に始まった機能性食品では日本の研究が進んでいたが、今は欧米でも盛んである。クリン
ト政権からブッシュ政権に移る際、NIHの予算は倍増している。フィンランドでは産官学の共同研究を進めており、成果が次々と出ている。
一方、国内ではBSEから始まり、無許可の添加物や農薬の使用の問題が広がっている。今、中国の蜂蜜やロイヤルゼリーの中の抗生物質が問題になっていてい
る。健康な蜂を育成することが重要だが、700万件もの零細農家に指導するのは並大抵のことではない。蜂蜜に様々な機能性が知られているので普及が望まれ
るが、先端的研究とは異なった問題点がある。
【国内での健康食品と法規制】
健康食品にはいろいろな種類があり、公式の分類ではないが、1.美容・ダイエット食品、2.栄養補助食品、3.生活習慣病対策食品の3つに分けることがで
きる。全て合わせると、2兆円の市場が見込まれる。ここで問題になることは、健康食品おいては取り方、量、何に効くのかなどをうたえないと言うことであ
る。食品衛生法の改正が2003年1月の通常国会で予定されているが、その中で虚偽・誇大広告を禁止としている。大所高所や長期的な視野からは健康食品を
歓迎しているが、行政の現場レベルでは禁止事項が多い。
【拡大する健康食品の市場規模】
少子高齢化により人口の高齢化と人口減少が進むことは間違いなく、食品のマーケットが減る方向にあるのは確かである。65歳以上の高齢人口が増える点に
は、別のマーケットチャンスがある。人口構成図を見ると女性の方が多いので、ここにもチャンスがあると考えられる。医療費の高騰が進み、生活習慣病の罹患
者が多くなると、将来的には保険の適応外になる可能性がある。生活習慣病の中でも、特に悪性腫瘍が増加しており、その防止を中心とした対策が望まれる。民
間医療費の増加が、健康食品産業により解消される可能性がある。
最近の新しい方式として、宣伝講習販売が増えてきている。高齢者の資産の使い方に変化現れてきており、自らが気に入るもの、理解したものにはお金をかける
傾向が現れてきている。こうした経緯から、販売ルート別にみると構造の激変が見られ、薬局・薬店は微増していて、これがピークに達しようとしている。な
お、この健康食品市場には特保は含まれていない。特徴的なのは、健康食品には受託製造が多く、200社ほどになり、これだけで売上高は2,000億円にな
る。
【最後に】
2001年に「保険機能食品制度」がスタートして、特定保健用食品と栄養機能食品は医薬品との関係で変質してしまった。効能表示は非常に制限されるにもか
かわらず、禁止表示等の否定的な表示の部分が大きくなってしまった。未承認薬品を使用した中国のダイエット薬品の問題が、さらにこの問題をこじらせたと言
える。ここで、アメリカの対応を見ると、一貫して適切な対応をしていることが多い。2000年以後に多数の粗悪品が見つかり問題となったが、科学に基づく
効果の確認と情報提供を行う動きが出ている。
【企業プレゼンテーション】
バイオステージに参加いただいた企業より、自社の紹介や自社製品に関するプレゼンテーションを頂きました。
紹介いただいた企業は以下のとおりです。
①(株)トランスアニメックス
②ネイチャーテクノロジー(株)
③(株)アミノアップ
④(株)新薬開発研究所
⑤(株)北海道バイオインダストリー
⑥共成製薬(株)
紙面の都合上内容は省略させていただきました。協力いただきました各社に厚く御礼申し上げます。