目次
● GM国際シンポジウム「GM利用の現状と今後の重要性」
● お知らせ
■ NPO法人北海道バイオ産業振興協会「バイオマス研究部会」
再生可能エネルギーとしてのバイオマス利用
―その現状と将来展望―
■ 地域バイオ育成講座(帯広)「食の異物検査技術」
● 編集後記
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● GM国際シンポジウム「GM利用の現状と今後の重要性」
10月13日(土)、北海道大学学術交流会館にて開催されましたシンポジウムの広告をいたします。
今回のシンポジウムでは、先号に掲載しましたバイオテクイラストコンテストの展示と表彰式も行われております。
プログラム
1.挨拶 吉野次郎(北海道バイオ産業振興協会 理事長)
2.基調講演 世界における組み換え農作物の研究開発とわが国の現状
大石道夫(バイオインダストリー協会 会長)
3.講演1 GMバイオエネルギー作物とバイオエネルギー生産
山田敏彦(北海道大学)
4.講演2 閉鎖系によるGM作物による有用性生理活性物質の生産
北野邦尋(北海道科学技術総合振興センター)
5.講演3 フィリピンにおけるGM作物商業栽培10年の経験と将来
Dr.Rhodora Aldemita(ASAAA South East Asia Center, Philippines)
世界における組み換え農作物の研究開発とわが国の現状
大石道夫(バイオインダストリー協会 会長)
環境、人口爆発、飢餓などの地球規模の問題を解決するために取り上げられている数多くの技術の中で、バイオテクノロジー、特に遺伝子改変生物(遺伝子組換え生物、GMO)に関わる技術が最も期待のもてる手段であるとのゆるぎない信念がある。一方、実際には遺伝子組換えを含むバイオテクノロジーの実用にあたって多くの問題がある。その問題には科学的または技術的なハードルを超えることのみならず社会、政治、規制、さらには文化的な問題もある。後者の典型的な例は、日本を含む特定の国のGMOに反対する一般市民感情である。
現時点では、様々な国でのGMOに対する国民反応にはあらゆるものがある。一方の端には米国、カナダ、アルゼンチンその他の国々では、一般市民の大きな反対なしにGMOが受け入れられている。しかし、もう一方の端には、いくつかのヨーロッパ諸国や日本では、一般市民は、断固反対であり、純粋に科学的な目的のための遺伝子組換えの栽培にも断固反対である。承認GMOを消費しても何ら健康にリスクがないことが科学的に証明されても状況は、このような国々では、変わっていない。従って、GMOをめぐる主要な問題は、その開発のためにクリアすべきものは技術的なハードルはなく、むしろ多くの国で社会的な感情とGMO受容を認めたがらない感情にある。
反対の理由は、今、遺伝子組換え食品の安全性への懸念から環境へ悪影響への懸念へと移っているものの日本では、遺伝子組換え作物に対する一般市民感情は、歴史的に非常に強いままである。率直に言って、我々科学者は、この一般市民のGMOへの反対に挟み込まれている。反対は、圃場での科学的な試験、また科学者の科学的な真理の追求や人類の福祉を改善するためのものでさえ反対されてきている。残念なことに、日本政府、特に現政権は、ずっとこの問題について我々の助けには全くなっていない。日本のGMOに反対するそのような強い一般市民感情があると考えると政府の態度は、分からないでもない。このような不利な状況下で、我々は、GMOは食品として安全であり、おそらく世界の飢餓を解決する唯一の実用的な方法であるとともに環境問題も軽減できるものであると一般市民にわかってもらおうとし続けている。このようなことは、バイオ燃料のためだけでなく、発展途上国で大きな需要出てきている牛の飼料などの増加による特定の穀物の不足が近年でてきたことでより強調されている。
教育水準、生活水準や他の基本的な指標は大幅に異なっていない先進国の中でGMOの一般市ついてはケーススタディが、GMOついての一般市民の受容性にこのような違いがでる真の原因を明らかに出来ると思われる。このような議論を通じ、受容性をたかめるのに苦しい動きが続いている国でのGMOに対する一般市民の支持を得るための示唆を得ることを期待できる。
我々はどうすればいいんだろう?科学者には取りうる選択肢が限られているかもしれないが、まず我々は科学的に根拠のない疑念やGMOの批判に落胆してはならない。我々は、DNAと現代のバイオテクノロジーに関する正確な知識を得ていない人々に知ってもらう努力を継続すべきである。同時に、我々は現在の技術を向上する研究を続け、現在利用可能なものよりも優れたさまざまのGMOを創成する研究を停止してはならない。私たちも、GMOの新しいものの開発に成功した後、これらの作物が現在の状況下で、即時大量生産に利用することができないという現実も受け入れなければならないかもしれない。それでもGMOがまさに必要とされる時のために備えておくことは重要である。作物や野菜が、より早く成長し、収量が上がり、より栄養価の高く、病原体に対する耐性を持つようになり、またそのような作物が現在は法外であると考えられている世界中の地域で栽培できる日が来るだろうと期待できる。
札幌のこのシンポジウムでは、私は、GMOの世界状況と日本がどのようにGMO問題に対処すべきかを概説したい。
GMバイオエネルギー作物とバイオエネルギー生産 山田敏彦(北海道大学)
ススキの効率的な組織培養系技術を確立するために完熟種子を用いて実験を行った。最適培養条件を検討するとともに全国から収集した豊富なススキ遺伝資源を供試してその培養特性を調査したところ、「種子島」系統がエンブリオジェニックカルス形成率に優れ、一方、「今金」系統が再分化率に優れていた。選び出した系統を用いて,パーティクルガンを用いた形質転換法の諸条件や薬剤耐性カルスの選抜条件を検討し,遺伝子組換え体の作出を図った。レポーター遺伝子として緑色蛍光タンパク質(GFP)遺伝子を用いた。最適選抜条件下で再生したススキのシュートおよび葉で緑色蛍光の発色が観察されたともに導入遺伝子の存在と発現を確認した。このことから、パーティクルガンを用いた形質転換法により、遺伝子導入技術を確立することができた。
5.フルクタン合成酵素遺伝子へのススキへの導入
次に、寒地型イネ科牧草由来のフルクタン合成酵素遺伝子をススキに導入を図った。ススキは光合成同化産物を主としてデンプンに変換して葉緑体に貯蔵するため、フルクタン合成能力を持たない。寒地型イネ科牧草などでは、フルクタンを細胞内の液胞に蓄積し、この蓄積された水溶性多糖はエネルギー源として植物体の栄養生長に利用される。このため、フルクタン合成酵素遺伝子をススキに入れることにより、細胞内の糖含量やバイオマスの増加、低温耐性が期待できる。そのため、ペレニアルライグラスから単離したフルクタン合成酵素遺伝子の導入を検討した。6-SFT、1-SST遺伝子を組み込んだベクターを構築して導入を行い、形質転換植物体を得ることができた。これらの組換え個体で導入遺伝子の存在と発現を確認した。1-SST遺伝子の組換え植物体は、低温条件下で、フルクタンが形成され、対照植物より生育が旺盛で低温耐性が向上した。そのため、初冬における低温耐性の強化で生育期の拡大が期待できる。
今後への期待
今回開発したススキの遺伝子組換え技術を用いることにより、新規なバイオマス作物の開発に向け、バイオマス量増大、リグニン含量低減など品質の改善、低温、干ばつなどの環境ストレス耐性などを遺伝改変した有用な育種素材を創出することが可能になった。また、現在、バイオプラスチックである「多元ポリ乳酸」を作らせる研究がモデル植物で着手されているが、多元ポリ乳酸の生合成に関与する遺伝子をバイオマス生産性に優れるススキへ導入することができれば、植物プラスチック工場も夢ではなくなるため、著者らは工学部の研究者たちと共同研究を開始したところである。
ところで、遺伝子組換え技術の実用化に向けては、環境への安全性、食品・飼料としての安全性評価の検討が必要である。ススキ属についていえば、食品・飼料としての安全性評価は必要ではないが、風媒花であることから環境への遺伝子拡散について十分な検討が必要になる。二倍体ススキの組換え育種素材と四倍体オギを人工交配して、三倍体M×gを養成する戦略を著者らは考えているが、三倍体であるM×gは不稔が予想されるので、自然界へ組換え植物体の花粉を飛散させるという問題を回避できると期待している。
最後になるが、バイオマスからバイオ燃料やより高付加価値の化学品を作り出す原料の資源作物をGMで改良することは、低炭素社会の構築には必要であり、もの作りは日本の得意とする分野であるため、今後、工学分野との連携で、研究を推進していく必要がある。
閉鎖系によるGM作物による有用性生理活性物質の生産
北野邦尋(北海道科学技術総合振興センター)
現在医薬品は、化学合成、微生物培養、動植物細胞培養等様々な方法で作られている。今回紹介する医薬原料生産システムは、本来、動物あるいは動物細胞でしか生産できない物質を、動物の関連遺伝子を植物に導入し、その植物を管理された環境の下で栽培することにより、目的物質を大量に生産しようとするものである。
遺伝子組換え植物を利用して、抗体やワクチン等の有用成分を生産する研究は、1990年代始めから、世界各国で進められてきており、家畜用の医薬品に関しても、タバコ培養細胞発現由来のワクチンが、2006年にアメリカ農務省から承認された。また、組換え植物自体の開発は、主に欧米企業が中心となって進められているが、開発した組み換え植物を商業規模でどの様に栽培するかが依然課題となっている。
一方、最近、我が国でも人口環境下で植物を育てる“植物工場”に対する関心が高まり、各地で建設されている。植物工場とは、施設栽培の一形態として発展してきたもので、植物を工場的に計画生産することを目的として、主に人工光を用いるところに特徴がある。植物工場において、植物の栽培環境を最適化することができれば、当然収量を増やすことが可能であるが、照明や環境制御に用いる電気などのエネルギーコストが高くなることは避けることはできない。特に植物は種によって、生育に必要な光要求が異なっており、多くの植物工場では、比較的少ない光量で育成可能である(結果としてエネルギーコストが低い)一部の葉菜類を栽培している所が多いのが現状である。
これに対して、産総研北海道センターでは、動物用の抗体やワクチン等医薬原料を、遺伝子組み換え植物で生産させることに成功しており、厳密な栽培管理と組み換え体の拡散防止対策が可能な世界初の“完全密閉型植物工場”を用いて、遺伝子組み換え植物を効率良く栽培するシステムを確立している。この完全密閉型遺伝子組み換え植物工場は、メタルハライドランプ等、高輝度の照明からLED、蛍光灯など電気・光変換効率の高い照明まで、多様な照明設備の他、空調や水耕栽培条件のコンピューター制御など、多様な栽培条件を実現できる機能を備えており、既に葉菜のみならず、果菜(イチゴ)、根菜(ジャガイモ)、穀物(イネ)など多彩な植物の水耕栽培に成功している。
先にも述べた様に、この様な“完全人口環境下”での植物の栽培は、当然電気等エネルギーの消費も大きく、高コストであると言う欠点はあるものの、遺伝子拡散の防止に優れ、さらにクリーンな環境を実現することによって、抗体やワクチンの様な高付加価値の医薬原料の生産を行う場合には、十分な採算性があるものと考えている。例えば、イチゴによるイヌインターフェロンの生産においては、30平米以下の狭小な栽培室で、年間100万頭以上のイヌの歯周病を治癒できる量の医薬原料を生産できることを既に実証しており、現行の細胞培養等の方法に比べて、大幅に生産コストを低減できる医薬原料生産システム構築の研究開発を進めている。
フィリピンにおけるGM作物商業栽培10年の経験と将来
Dr.Rhodora Aldemita(ASAAA South East Asia Center, Philippines)
フィリピンは今年遺伝子組換え作物商業化10周年を迎える。遺伝子組換えトウモロコシ(フィリピンで唯一栽培されている遺伝子組換え作物)は、2012年に承認され、農業生産者はそれ以来これを導入している。最小50,000未満ヘクタールを含め322,000の農家が2011年にはおよそ644,000ヘクタールに栽培したことになる。Brookes and Barfoot(2012)のデータによると、2003年から2010年かけてフィリピンは、この遺伝子組換え作物によって2.7億ドルの利益を上げ、小規模農家やその家族を飢えと貧困を救済してきている。現在種の単一形質品種と3種の多重形質品種の商業栽培が承認され、59品種が直接食品、飼料、加工用に承認されている。例えばアルファルファ、ワタ、甜菜、ジャガイモ、ダイズ、カボチャがある。フィリピンは、組換え作物に対して1)透明で即応性があり、且つ科学的根拠に基づく規制制度、)活発で信頼の置ける科学界、3)協力的で理解あるトウモロコシ農業生産者、が重要なことがあった。このおかげで膨大な恩恵を享受できた。従って、フィリピンは、世界的課題である人口増加、減少する水資源、利用可能な土壌確保および気象変動に伴う害虫、病害などによる切迫した農業問題に対処できる準備が整いつつある。今後の遺伝子組換え作物と形質は、果実・若芽へのメイガ耐性ナス、リングスポットウイルス抵抗性パパイヤ、ベータカロチン強化コメや害虫耐性ワタである。フィリピンには、作物バイオに関する研究所が幾つかある。例えば国際イネ研究所(IRRI)と密接な連携をもっているフィリピンイネ研究所やフィリピン大学ロスバニョス校の植物育種研究所、ワタ開発公社などがある。遺伝子組換えトウモロコシの導入が増えるに従って規制制度は、慎重に改定され、しかも農業生産者、消費者、技術開発者の要望に応えて更新されている。
閉会にあたって
HOBIA名誉理事長(アグリフーズ研究部会担当) 冨田房男
本日は、HOBIA(アグリフーズ研究部会)の国際シンポジウムにご参加いただき感謝申し上げます。「21世紀はバイオの世紀」と言われており、「バイオアイランド北海道」ということばが初代会長(現在は理事長に変更)故江口良友(当時北海道大学教授)先生によって1980年代に提唱されていながら、これに続く我々がその構想には未だにはるかに及んでいないことを残念に、また申し訳なく思うところであります。もとより北海道の産業構造を考えるなら、真先に農林畜水産業及びそれを加工する食品産業の振興こそ大事であると考えアグリフーズ研究部会は、活動を続けてきております。
本日は、このシンポジウムに先立ち代々木アニメーション学院の学生のみなさんの作品の表彰式を行いました。学院の皆様からの応募は、およそ60作品ありました。いずれも素晴らしいものですがその中から入選作と惜しくも選外なったものを展示させていただきました。同時にこのコンテストの先輩にあたるフィリピンの作品も展示しました。皆さんご覧になられていかが印象はいかがでしたでしょうか。私は、失礼ながら全く承認組換え作物を知らなかった方々が、私が提供し、学院の先生方がご指導され、短時間のうちにここまで理解し、コンテスト作品を制作してくださったことは驚異的なことです。イラスト(絵)は、翻訳がいりません。見ただけで言語を超えて理解可能です。素晴らしい作品を制作しくださった方々に改めて御礼申し上げるとともに、この企画を取り組んでくださった代々木アニメーション学院、特に私の提案を取り上げてくださった札幌校校長の船本勝也先生に改めて御礼申し上げます。
シンポジウムでは、4人の方々から貴重なお話を賜りました。いずれも北海道、日本にとって貴重なものでした。特にフィリピンの組換え作物導入の成功は、素晴らしいものであり、我々の参考になるものでした。講師をお引き受け下さった方々に改めて御礼申し上げます。
これらのお話を伺うと北海道のいわゆる「組換え作物栽培禁止条例」が如何に科学の本質、農業の本質を損ねているか、また農業生産者の栽培作物選択の権利を阻害しているか明白になったと言えます。日本国政府が承認した作物を栽培できないということは北海道にとっての重要な産業の発展を阻害していることに何故気がつかないのか私としては不可解なことである。この件についての専門委員会の委員長は、北海道大学大学院農学院の院長松井博和教授である。つい先日(9月17日)のシンポジウムで日本国政府が承認した作物の栽培を北海道ではやるべきでないと発言されたと聞いて慨嘆しています。このような科学者が反対をするようでは、北海道の農業の発展はありえない。またこんな委員長を選ぶ北海道が本気で農業の発展を図ろうとしているか疑わしい。また、委員長が、科学者ならきちんと説明する責任があるし、これに代わるものの提案があるべきだ。それどころか北海道の最重要産業を壊滅させようとしているとしか思えない。このような発言があったことは何かの間違いだろうと願っている。
組換え作物がSilver Bullet(万能)ではありえない。しかし最も重要な技術の一つであることは間違いない。現状は、最新科学技術を取り組むことに後ろ向きになり、あたかもそれが正しいようなことを言うことが多すぎる。日本には天然資源はない。我々は我々の知恵で生きざるを得ないのである。これを阻害することは、我々の進歩を止めるものである。
最後に再度、国が承認した組換え作物の栽培を実質的に禁止し、農業生産者の栽培する作物の選択権を奪っている「組換え作物栽培禁止条例」を緩和・撤廃することを早期に実現することを望んで結びとします。
国際シンポジウムのまとめ HOBIA 名誉理事長 冨田房男
北海道は、組換え作物禁止条例の継続をこの春に決めた。私から見るとこの決定はまるで宗教裁判に等しい。その理由は決定に当たり何ら科学的根拠に基づく決定ではなくいわば「好き・嫌い」というセンチメント(感情的)或いは「信じるか信じないか」による決定であるからだ。道庁は、消費者の健康を考えてのことであるとのことであるが、その根拠と思われるものははっきりしない。また、多くの消費者が安全でないと考えるからとしているが、どのようなことが安全でないと考えているのか具体なものはない。考えられるものはアンケートにある道民調査による「組換え作物・食品」への「不安」があるとの結果しか見当たらない。道庁は、組換えに関する正しい情報を出し、理解を求めるように努力していると述べているが、私から見れば全く反対だ。その証拠に、アンケートでは「組換え作物・食品をどう思いますか」とある。重要なことは、これは不安票を引き出す誘導質問だ。ここでは、国が承認した遺伝子組換え作物の栽培・食品への利用とすべきだ。「国が承認した」がなければ専門家の端くれの私でも賛成とは言えない。きちんと検証しているから従来育種のものよりも安全として受け入れられるのだ。この点では北海道食の安全・安心委員会、特に北海道大学松井博和教授が委員長をつとめる専門部会に大きな問題だと言わざるを得ない。
このような状況下にあることをなんとかしなくてはと考え、東南アジアのマレーシア、フィリピンの例を学び、組換え作物に関する正しい理解を求めて、これらに関するコンテストを試みた。本来これは、道庁が行うものだと確信するが、全く無策である道庁には頼れないとの心情の現れだ。アグリフーズ部会の主催でコンテストを開催したが、日本農芸化学会、日本生物工学会、グリーンテクノバンク北海道、バイオインダストリー協会、北海道食品産業協議会からの後援と日本バイオテクノロジー情報センターからの資金提供をうけてコンテストを行った。このコンテストの表彰式をシンポジウムに先立って行った。このコンテストを引き受けて下さった代々木アニメーション学院札幌校校長船本勝也先生からのコンテストの試みについての感想も頂いた。極めて高い評価を頂き感謝いただきました。
国際シンポジウムは、先に後援に加えて、北海道大学大学院農学院からも後押しをいただき、また、資金的支援をバイテク情報普及会(CBIJ)からも受けて開催した。国際シンポジウムの狙いは題目の通り「GM利用の現状と今後の重要性」について4名の専門家からの講演を頂いた。GMの社会受容と日本における際立った世界と異なる感情について基調講演「世界における組換え農作物の研究開発とわが国の現状」を大石道夫 JBA 会長、これからのバイオエネルギー問題を「GM ススキの開発とバイオリファイナリー原料としての展望」と題して山田敏彦 北海道大学教授からいただいた。更に、医薬を含む生理活性物質を閉鎖系で植物を用いて生産することの可能性を「閉鎖系によるGM 作物による有用生理活性物質の生産」と題して 北海道科学技術総合振興センター (ノーステック財団)産学官連携推進部地域イノベーション戦略推進室チーフ・コーディネータ北野邦尋氏からいただき、最後にアジアで最も組換え作物の経験のあるフィリピンからCommercial Planting of GM crops in Philippines: 10 years Experiences and the Future Prospectivesと題して、Dr. Rhodora Aldemita, (Senior Program Officer, ISAAA South East Asia Center, Philippines)から頂いた。最後に、 閉会挨拶を筆者が行った。これらの内容については、それぞれの講師の要旨をご覧ください。
私の感想としては、大石会長の日本人一般の「組換えDNA」、「組換え作物・食品」関する正しい理解が進まない国民性を指摘は、ごもっともなことでこれからの対策を考えさせるものでした。その一つとして今回のコンテストも良かったと感じた。また、フィリピンが組換えを導入して10年目を迎え、旱魃がひどく起こっている米国に輸出できるようにまでなっていることは驚異的なことだ。これは、我が国特に北海道の畜産業にも飼料確保のためにも必要と考える。
参加者は、30名程度で少ないものであった。道庁からの参加者がないのは不思議な気がする。しかし、農業生産者については、若手の参加を含む多くの方が交流会まで参加して意見の交流ができたことは収穫であった。今後はもっと多くの農業生産者の参加を望みたい。参加した若手が農業を引き継ぐ意気を見せていたのは心強いものを感じた。
注:上記の資料を要望される方は、冨田房男(ftomita@isaaa.org)に請求ください。
● お知らせ
■ NPO法人北海道バイオ産業振興協会「バイオマス研究部会」
再生可能エネルギーとしてのバイオマス利用
―その現状と将来展望―
昨年の3・11東日本大震災と原発事故から今日まで原子力以外の再生可能エネルギー等新エネルギー開発が喫緊の課題となっています。風力、火力、水力、地熱、太陽光、天然ガス、メタンハイドレート、シェールオイルなど可能性の高いエネルギー資源は知られておりますが、再生可能エネルギー資源で環境保全に重要なバイオマスをいかに活用するかがとりわけ、バイオアイランド北海道で注目されています。
そこで、NPO法人北海道バイオ産業振興協会(HOBIA)に今年度より「バイオマス研究部会」が設置され、道内で生産あるいは未利用資源として排出される膨大な量のバイオマスを高度活用する目的で、その普及に貢献したいと考え、今回最初の意見交換会をしたいと考えております。関心のある方々の積極的な参加を期待致しております。
【日 時】平成24年11月22日(木) 15:00~17:00
【会 場】札幌エルプラザ 市民活動サポートセンター2階「会議コーナー」
(札幌市北区北8条西3丁目 TEL:011-728-5888)
【内 容】1.開催趣旨説明
2.話題提供
「道内バイオマスの利活用の現状とその促進」
北海道環境生活部環境局循環型社会推進課
循環推進グループ主査 八川真幸氏
3.質疑応答および意見交換
4.報告
「産学官連携による環境保全
―グリーンニューディールの実現をめざしてー」
東海大学名誉教授・HOBIA名誉顧問 西村弘行氏
【参加申込】連絡先住所・TEL/FAX・E-メール、所属・役職、
氏名をご記入の上、下記にお申込み下さい。
E-メール:h.nishimura-0214@jcom.home.ne.jp
FAX:011-852-7306
西 村 弘行(HOBIAバイオマス研究部会・代表)
■ 地域バイオ育成講座(帯広)「食の異物検査技術」
【日 時】2012年1月10日(月) 13時3分~16時0分
【会 場】北海道立十勝圏地域食品加工技術センター
【内 容】1.食品等の異物検査
2.簡単!異物混入対策品のご紹介
【主 催】NPO法人北海道バイオ産業振興協会、財団法人十勝圏振興機構
【参加費】無料 【定 員】40名(定員に達した時点で受付を終了)
【申し込み・問合せ】財団法人十勝圏振興機構 食品加工技術センター
Tel 0155-37-8383 Fax 0155-37-8388)
E-mail kasai@food-tokachi.jp
案内状、申し込み用紙は、下記からダウンロードください。
http://www.food-tokachi.jp/
● 編集後記
GM国際シンポジウムの記事が沢山ありましたので、イラストコンテストと分けて掲載させていただきました。合わせてご覧いただきましたら幸いです。
先週までは、秋後半の気配ですが、突然、雪と共に冬がやってきた感じがします。あわてて冬のコートに衣替えし、冬靴を出して出勤しました。これから年末まであっという間なのでしょうね。皆さまは、風邪予防をどの様にされていますでしょうか。私は、食べ物で対策したい派です。
編集担当 HOBIA企画委員 黒田一寛
HOBIAのホームページ http://www.hobia.jp/
NPO法人 北海道バイオ産業振興協会 札幌市北区北21条西12丁目コラボ北海道内 Tel&Fax(011)706-1331 e-mail: メールお問い合わせフォーム |