地域バイオ育成推進事業 実施報告

地域バイオ育成推進事業の一環として、去る11月5日(日)13~16時、遠軽町農業技術センター研修室において研修会が開催されました。
遺伝子研修会の終了後、約20名の参加者を得て本研修会が開かれました。遠くは網走、あるいは愛別と、東西から車を走らせて参加して頂きました。技術センターの研修室は、畳の上に座る形態なので、まさに膝詰めの討論となりました。


オホーツクは、おもしろい地域なのです。流氷が漂着すると冷凍庫となるこの地で、いくつもの困難な課題に積極的な試みが行われている元気な地域です。オホーツクでブドウを育ててワインを醸造する。ハマナスを六千本も植えて、その果実(オレンジ色のミニトマトのよう)をピューレなどの食品に加工するなど驚くような試みが進行しています。ウイルスフリーの種芋を積極的に使用して農家などホットな地域です。
話題提供としてHOBIA会長、冨田房男が『オホーツクの幸をもっと豊かにするバイオ技術』と題して、食品とはいうものの、人のために食品であるのは、母乳だけで、他のものは、他の生物が、繁殖(稲や小麦、ハマナス)のために作った種を食品と言い、他の生物の体そのもの(牛、豚、鶏、鹿、鮭、蟹)を食べている訳である。そもそも他の生物を略奪しておいて「自然だから安全だ」などと考えるのは、奇妙な感覚であることを自覚してほしい。しかもその生物たちは、太古においては、みな人と祖先を共通することが、明確になってきた。生物の形や生活形態などの性質は、すべてDNAなる設計図に書かれている。地球上の生
物は、その設計図の書き方、形式が同じなのである。つまりルーツは、同じと考えるのが最も自然である。設計図からタンパク質になって、機能をもって体を構成する物質を形成したり、エネルギー制御などを司ることとなる、など基礎的生物の知識が、産業にも役立つことを話されました。
次に、HOBIA企画運営委員長、浅野行蔵からは『北海道は、なぜ食中毒事故が多いのか? より安全な食を求めて』と題して、食の安全の盲点および安全を増すための方策について話題提供しました。
参加者からは、設計図であるDNAからどのようなメカニズムを経て生物のパーツが作られていくのか?その時にどんなことが起こっているのか?など基礎の生物学に属する根源的な質問から、優良品種が出来てくるメカニズムなど、多様の質問が飛び交い活発な会となりました。また、食品添加物や抗生物質などマスコミには良いイメージで出てこないが、実際には使うことによって食中毒のリスクを下げたり、動物を健康に保つことが出来るので、使用しないことによって大きなリスクを背負い込むことがあることなどが話題になりました。
(文責:企画運営委員会委員長 浅野 行蔵)