作物バイオ情報 2009年5月

ニュース

世界
– ブラジル、中国、インドが新興トップバイオテク国だ 
– 食品工業に技術が必須 
– GM作物の経済効果の評価 
– PGE 研究: GM作物のポジティブな社会経済および環境への貢献 
– OECDのバイオ経済及びバイオテクノロジーに関する活動 
 

アフリカ
– アフリカの小規模農家へのGM作物導入に関する議論 
– 2011年までにケニヤはBt ワタを商業栽培する 
 
南北アメリカ
– ブラジルの研究者がビタミンA増強トウモロコシを開発 
– 赤カビを黄色にすることでビタミンA欠乏を解消 
– カナダは、パイオニア社の高オレイン酸大豆を承認 
 
アジア太平洋
– Hu Jintao (胡錦濤中国国家主席)が研究者に技術躍進を果たすように激励 
– フィリピンのメディアは、バイオテクノロジーに光をあてた 
– 中国のBtワタをパキスタンで栽培 
– マレーシアはがバイオセイフィティ法の下での規制枠組を発表 
– CSIROは、GM小麦の規制下での開放系栽培を計画 

研究
– ヒト型抗体をタバコで作る 
– 軟腐病耐性ジャガイモが開発された 
– ゴールデンライスのベーターカロチンは効率的にビタミンAに変わる 
– 葉酸増強レタスが開発された 
– 高血圧を防ぐ組換えイネが開発された 
-木材からのプラスティックと燃料 
– 組換え植物によるHIV 抗体の生産 
 
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ニュース
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*世界 *

ブラジル、中国、インドが新興トップバイオテク国だ 
ブラジル、中国とインドは、米国に対抗することができる新興バイオテクノロジーグループの先に立っている世界の主要な国のうちの3つです。これは、Genetic Engineering and Biotechnology Newsに出たバイテク工業のリーダーとのインタビューに基づく記事である。
ブラジルのBelo Horizonte, São PauloとRio de Janeiro三大新興バイオクラスターであり、ここは農業バイテクが主体である。中国は力強いバイテク産業とバイテクパークを開発を先進地とした。上海と北京は、バイオ企業で最も大きなグループのホストをつとめている。同様に、次の~3年以内に、インドが公共/民間の合資会社を通して27のバイテクパークをもつと予想されている。
全報告は、以下のサイトにある。 http://www.genengnews.com/articles/chitem.aspx?aid=2883

食品工業に技術が必須 
世界中の食品工業界が技術を求めているとの「21世紀における技術の役割:食糧経済と消費者の選択」と題する記事にある。Elanco Animal Healthの著者Jeff Simmons、「これらの科学に基本をおいたテクノロジーと革新を使えなければ、その結果は壊滅的だと断言していえる。また、「我々は全て、過去10年にわたって安全かつ有効であるということを証明され、これからも利用可能な新しい農業テクノロジーが利用でき続けることに責任がある。」とも言っている。
Simmonsは、消費者が安全で可能な限り最大限の入手可能な食糧選択と食糧生産システム構築が食糧経済学的挑戦によって、「最終的な勝利を達成することができる。」と付け加えている。また、共同と選択の余地とテクノロジーが、食糧経済学的挑戦において「最終的な勝利」への方向性であり、必要条件を提示することになる。と著者が言っている。。
この論文は、以下のサイトにある。 http://www.elanco.com/images/Food-Economics-and-Consumer-Choice-White-Paper.pdf

GM作物の経済効果の評価 
発展途上国で次第により多くの農家が遺伝子組換え(GM)作物を使い始めるにつれて、組換え作物の利点を慎重に評価することが重要になってきている。国際食糧政策研究所(the International Food Policy Research Institute)による食糧政策のレビューは、工業化されていない農業における組換え作物のインパクトに関する応用経済学の論文の調査とこれらの組換え作物がどのように農家、消費者、農業関連全分野、国際貿易に与えた影響の評価方法を調査する。この分析は、発展途上国で国の政策立案者が使える客観的、有用な分析方法を探ろうとするものである。
「最初の10年間の農業開発における組換え作物の経済的インパクトの評価:方法論、発見と今後の方向」にある政策レビューは、以下のサイトにある。http://www.ifpri.org/pubs/fpreview/pv10.asp
PGE (PG Economics Ltd) 研究: GM作物のポジティブな社会経済および環境への貢献 
英国PG Economics Ltd,の Graham BrookesとPeter Barfoot 両氏による「組換え作物:1996-2007における組換え作物が社会経済および環境に与えたインパクト」と題する広範囲な研究の結果は、「バイオテクノロジーは、農業の先進技術とより効率的で環境にやさしい農業方法を生み出す役割の生来ある組合わせ利用を通して、バイオテクノロジーが経済的、環境的利得を上げた。」ことを明らかにした。
研究は、農場レベルでの経済効果、生産効果、殺虫剤と除草剤の使用の変化から生じている環境影響と温室効果ガス(GHG)排出を減らすことなどに焦点を当てている。
全報告を以下のサイトからダウンロードできる。 http://www.pgeconomics.co.uk/pdf/2009globalimpactstudy.pdf

OECDのバイオ経済及びバイオテクノロジーに関する活動 
生物科学は、製品と「bioeconomy」に到るサービスに付加価値をつけている。このbioeconomyは、大きな社会経済学的貢献を健康を増進、農業生産性、工業プロセスの改善、そして環境の持続性を通して貢献している。政府によるよく調整の取れた方策が、bioeconomyの可能性を活用し、バイオテクノロジー革命の利益を得るために必要である。これは、「2030年へ向けてのBioeconomy:政策の設計」に関するOECDび出版物による総論である。
レポートは、バイオテクノロジーの応用と研究開発資金の役割、人的資源、知的所有権とbioeconomyの規制について概説している。2030年までのシナリオは、bioeconomyを形づくることへの政策選択と技術的進歩の相互作用を示すことにあるとしている。
報告は、以下のサイトにある。 http://www.oecd.org/document/38/0,3343,en_2649_36831301_42570790_1_1_1_1,00.html

*アフリカ *

アフリカの小規模農家へのGM作物導入に関する議論 
国際的な専門家、重要な政策立案者と農民協会団体と民間部門の代表は、アフリカで遺伝子組換え(GM)作物を生産することの潜在的利点と課題を調べるために、月19~21日からエンテベで会った。「アフリカの農家への農業バイテクの提供:経済研究の意思決定への連携に向けて」と題する会議が、ウガンダ科学技術会議と生活と開発科学財団の協力のもとに国際食糧政策研究所(International Food Policy Reserch Institute, IFPRI)が開催した。
参加者は、GM作物を作ることがアフリカ諸国の農業開発において優先するものかを議論した。彼らは、小規模農家への遺伝子組換え作物栽培の経済的インパクトとGM技術を導入して、使用することに対する障壁に関する研究調査結果を互いに共有した。 Wellesley CollegeのRobert Paarlberg教授、「科学の切望:バイオテクノロジーが如何にしてアフリカが届かないのか?」の著者がその開会演説で、GMを導入するには、アフリカの政府が、より柔軟な生物安全規制法と提供者からの大きな支援を得るようにすべきだと述べた。
発表内容を含む会議全容が以下のサイトにある。http://africabiotech.wordpress.com/

2011年までにケニヤはBt ワタを商業栽培する
ケニヤのBtワタ研究の指導者であるDr. Charles Waturuは、同国が3年以内に組換えワタの商業栽培を開始すると述べた。Btワタは、およそ年間ケニヤ農業研究機構(KARI)の規制のもとでの実地試験(contained field trial, CFT)を実施してきた。ナイロビの近くのThikaにあるBtワタのCFTサイトに実情調査の任務であった農業部門省からの上級政策立案者まで話して、Dr. Charles Waturu、KARI Thika センター長が組換えワタは、すぐにも必要でこれによってこれまで害虫と病害のため大暴落していたものの生産を急速に促進できると言っている。ケニヤのワタの生産高は、昨年、20,000 bales以下となり、これは、1980年代中頃の70,000 balesの70%減少だった。ここの不足を補う為におよそ100,000 balesの輸入を余儀なくされた。
より詳しい情報は、Daniel Otunge氏に以下のサイトで連絡してください。 d.otunge@cgiar.org または、 Dr. Faith Nguthi に以下のサイトで連絡できる。 f.nguthi@cgiar.org


*南北アメリカ *

ブラジルの研究者がビタミンA増強トウモロコシを開発 
プロビタミンA含有量を増加したトウモロコシ品種が、来年にはブラジルで栽培される。ブラジル農業研究組合(Brazillian Agricultural Research Corporation, EMBRAPA)の研究者は、ベータカロチンの増加したトウモロコシ品種を開発中である。これまで、穀粒1グラムにつき9.2マイクログラムのベータカロチンを含有するトウモロコシを育種してきた。これは、伝統的な黄色のトウモロコシ品種のベータカロチン量の4倍だ。EMBRAPA研究者は、Harvestplus(食用作物の栄養をバイオで増強する国際農業研究(CGIAR)に関するコンサルタントによって始められた研究プロジェクト)に支援されている。
ビタミンAを強化されたトウモロコシ栽培品種の農学的な特性は、栽培シーズンに評価される。すべてがうまくいくならば、新しいトウモロコシ品種は2010年までに農家に届く予定である。EMBRAPAは、カッサバ、豆、サツマイモ、ササゲと小麦のバイオ栄養強化研究もしている。
詳しい情報は以下のサイトにある。
http://www.cnpms.embrapa.br/noticias/mostranoticia.php?codigo=525

赤カビを黄色にすることでビタミンA欠乏を解消 
アフリカと東南アジアの急性ビタミンA欠乏(VAD)の減少は、遺伝学者Daniel Skinnerが指揮するWashington 州、Pullmanの米国農務省研究機関(USDA-Agricultural Research Service)の研究の焦点である。アジアの発酵米食品に一般的な食用の真菌Monascus purpuerusをβカロチンを生産する遺伝子を入れて改良した。
スキナーと彼の共同研究者はMonascusのDNAに真菌Blakeslea trisporaからβカロチン遺伝子のつのコピーを導入して、オレンジ色の色素を製造するのを可能にした。βカロチン分析法によると、改良したMonascusが、適正な培養条件の下で、ニンジンとだいたい同じくらいβカロチンを生産することができることを示した。アジアとアフリカの食事でこの改善した真菌を摂取することでVAD(予防できる盲目、病気とひどい感染症による死の主要な原因)の防止に役立つことが期待される。
詳細は、 http://www.ars.usda.gov/is/pr/2009/090507.htmhttp://www.ars.usda.gov/is/AR/archive/may09/fungus0509.htmのサイトを見て下さい。
カナダは、パイオニア社の高オレイン酸大豆を承認
カナダ検査局(Canadian Food Inspection Agency、CFIA)とHealth Canada(HC)は、パイオニアHi-Bred社の高オレイン酸GM大豆の栽培と食糧及び飼料としてカナダで使用することを承認した。パイオニアによると、彼らのGM大豆からの油は、およそ80パーセントのオレイン酸を含む。フライや食品加工に使うと、オレイン酸の高濃度の油がより安定である。高オレイン酸大豆油は、工業への応用にも好適であり、石油系製品に代わる持続可能な利用が可能である。
GM大豆から作り出される油は人間の健康に有益であると考えられている。その理由は、高オレイン酸大豆油は、水素化処理が不要になり、トランス脂肪を無視できるまで減少できる。
パイオニアHi-Bred社の社長Paul Schickler氏は、「我々は、高オレイン酸大豆の圃場試験でよい結果をえている、また新しい栄養特性と特徴ある物性をもつ新しい油製品を求めている食品会社から強い関心を得ている。」と話している。高いオレイン酸大豆品種は、米国農務省(USDA)によって、現在チェックされている。
プレスリリースは、以下のサイトにある。 http://www.pioneer.com/web/site/portal/menuitem.ee6b81a9d95ce0034c844c84d10093a0/


* アジア太平洋 * 
胡国家主席はCAUで機能性遺伝学研究室と植物生理学及び生化学の国のキー実験室を訪問し、「農業研究者は世界の農業技術の最先端にあって国内農業の要請焦点を当て、Labを訪問して、彼のものがそれを望むことを表しました。そして、「農業研究者は世界の農業テクノロジーの最前線にいようとしなければならなくて、国内の農業要求に集中して、中国で現代の農業を進めるために、技術躍進を果たすように躍進してほしい。」と彼の希望を表明した。
メディアリリースは、以下の際のにある。 http://news.xinhuanet.com/newscenter/2009-05/02/content_11301147_1.htm and http://www.chinadaily.com.cn/china/2009-05/02/content_7738325.htm

フィリピンのメディアは、バイオテクノロジーに光をあてた 
2009年月12日にセービンリゾートホテル(Ormoc市)開かれたVisayas の印刷物及びラジオのメディアの実務者は、組換え作物についていの一般大衆への周知、知識と理解を創成することを課題にワークショップ参加して、「バイテクパニックは、もうない」と述べた。メディアワークショップは、農業バイオテクノロジー、バイオテクノロジー研究開発の世界的状況、バイオテクノロジー安全性とリスク評価と各国での導入状況について基本的な概念の把握に取り組んだ。
ワークショップの間に、Dr. Jose Bacusmo(Visayas州立大学(VSU)の学長)が以下のように強調した。「特にVisayas地域では、バイテクが恐ろしいとの誇大広報があるので、一般大衆にバイテクにつていて伝えることが必須であり、そのためにはメディアとの緊急着実な共同が必要である。」
メディアワークショップは、国際アグリ事業団(ISAAA)、東南アジアアグリバイオ情報センター(Agriculture Biotechnology Information Center、SEARCA BIC)の大学院教育と研究部、フィリピン農業、森林、天然資源研究開発会議(Philippine Council for Agriculture、ForestryとNatural Resources Research,PCARRD)と東南アジアバイオセーフティプログラム(Program for Biosafety Systems Southeast Asia、PBS SEasia)が共同で開催したものである。
詳細は、以下に emailを送るか bic@agri.searca.org 以下のサイトを見てください。 www.searca.bic.org

中国のBtワタをパキスタンで栽培 
新疆地域の中国の専門家は、Sindhとパンジャブ地域で農家の畑でBtワタを800エーカー栽培する為に、パキスタンの科学者との契約を結んだ。その地域の半分は、ドリップ潅漑を、残りの半分は、スプリンクラー潅漑方法を適用する。パキスタン農業研究会議(Pakistan Agricultural Research Council 、PARC)は、有色及び白色のワタの広大な生産に関係する全ての研究活動を追跡検討する。
共同の研究は、新疆生産社農業部の長であるQiquan Zhang氏の率いるいるチームととパキスタン農業研究会議会長のDr. Zafar Altaf の率いるチームの2者会議でぎろんされた。
全文は、以下のサイトにある。http://www.pabic.com.pk/13%20May,%2009%20Bt%20Cotton%20will%20be%20grown%20on%20800%20acres.html http://www.dawn.com/wps/wcm/connect/dawn-content-library/dawn/news/business/11-plan-to-grow-bt-cotton-with-chinese-help–08 http://www.dailytimes.com.pk/default.asp?page=20095\13\story_13-5-2009_pg5_2

マレーシアはがバイオセイフィティ法の下での規制枠組を発表 
Biosafety法を見直についての産業からのいろいろな要求に応えて、天然資源省(NRE)、環境省、科学技術省(MOSTI)は、今の法律を改正するのではなく、新しい法律を定めると決めた。この決定は、MOSTIの大臣代理がBIOのアトランタ会議で発表した。副大臣Datuk Fadillah Yusofは、規則の最初の草案が策定され、それが確定する前に、産業界と相談が行われると述べた。大臣は、規則が如何にBiosafety法に準じているかを明確にし、基本法でグレー領域をはっきりさせると述べた。
以下のサイトにあるMalaysian Biotechnology Information Center のMahaletchumy Arujanan 氏から更なる情報が得られる。 maha@bic.org.my

CSIROは、GM小麦の規制下での開放系栽培を計画 
連邦科学工業研究機構(CSIRO)は、穀粒成分を変えた16品種の組換え小麦の規制課での開放試験の申請をオーストラリアの遺伝子技術規制質に提出した。この試験は、オーストラリアの首都領域の1ヵ所で、最大で1 ha、2009年月から2012年6月の間に行われる。
このアプリケーションのためのリスク評価とリスク管理計画(RARMP)によると、この開放試験は、ヒト及び環境にはほとんど危険をもたらさないと結論した。組換え小麦は、ネズミとブタへの栄養的な試験以外には用いられない。つまり、組換え小麦が、ヒトの食物または動物飼料には使われません。CSIROは、環境でのGM植物の拡散と残存を規制する特定の処置を採用することになっている。
更なる情報は以下のサイトにある。 http://www.ogtr.gov.au/internet/ogtr/publishing.nsf/Content/dir092



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研究
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ヒト型抗体をタバコで作る 
多くの研究で、モノクローナル抗体のような薬用タンパク質の効率的な生産を行う宿主としての植物の可能性が示された。現在大量のモノクローナル抗体(ウイルスベースの一時的な発現システムを用いて最高500mg/kg葉)を生産できる。しかし、大部分の薬用タンパク質は、生物学的活性発現のために翻訳後就職を必要である。正しく機能するために、ある種のタンパク質は、糖の被覆が必要か、グリコシル化される必要がある。植物細胞で行われる糖の被覆やN-クルコシル化は、動物細胞の場合と待った口kがっている。これらの違いが現在の植物で作った薬用タンパク質の商業生産の制限要素になっている。
フランスとカナダの研究者は、タバコの植物性N-グリカンの構造をヒト化する方法を開発した。それには、ある種の植物酵素の活性を止めて、キメラ(あいのこ)なヒトβベータ1,4-ガラクトシルトランスフェラーゼ(β1,4-galactosyltransferase)(哺乳類細胞でグリコシル化プロセスで重要な役割を演ずる酵素)の一過性な共発現を行わせることである。 ここで使用されたやり方は、理想的なN-グリカン構造の抗体の生産を行うるだけではなく、組換え型抗体が、1.5g/kg湿重量の葉のレベルで生産され。これは、類似の従来法の100%増であった。
Plant Biotechnology Journal に発表された論文は、以下のサイトから入手できる。  http://dx.doi.org/10.1111/j.1467-7652.2009.00414.x

軟腐病耐性ジャガイモが開発された 
maiginin 2に相当する合成遺伝子を導入することで、ニュージーランド植物及び食品研究所(New Zealand Institute for Plant & Food Research Ltd)は、Erwinia carotovora耐性のジャガイモを開発した。この土壌微生物は、ジャガイモ、ニンジンと他の野菜に恐ろしい軟腐病を引き起こす。この感染症は、しばしば収穫を完全になくなる大きな被害となる。
ニュージーランドの科学者が開発した軟腐病耐性ジャガイモは、合成遺伝子でmaiginin 2を発現する。カエル皮膚で最初に同定されたmaigininペプチドは、微生物に選択的に特性を示しと哺乳類細胞には全く毒性がない。このペプチドが多数の植物病原菌に広い活性を示すことがあきらかになった。これには、瘡痂や空洞病を起こすカビやバクテリアも対象に含まれている。
Maigininの遺伝子を工学的に処理するに当たり、このペプチドのタンパク分解酵素の作用を受け易いところと原核微生物に活性が上がるように変異を導入した。この組換えジャガイモは、3収穫期の栽培試験を行なった。この軟腐病耐性品種は、従来の品種と収量、農学的特性も全く同じであった。
Open Plant Science Journal に発表された論文は、以下のサイトから無料でえられる。 http://dx.doi.org/10.2174/1874294700903010014

ゴールデンライスのベーターカロチンは効率的にビタミンAに変わる 
タフツ大学、ベイラー医科大学と米農務省の研究者は、ゴールデンライスに由来するベータカロチンがヒトでビタミンAに効果的に変わることを明らかにした。人の成人のボランティアは、36日間1-1.5mgのベータカロチンを含有しているゴールデンライスを65~98g食べ続けた。そして、ボランティアから集められる血液サンプルのレチノール(ビタミンAの一つの形)の量を測定した。ゴールデンライスからのベータカロチンの4単位がヒトで1単位のビタミンAに変わっていることを確かめた。(特定の例示をすれば、1.9–6.4が 1 になる範囲で、3.8 ± 1.7 11.9が1になっていた。)

ゴールデンライスは、スイセンからのベータカロチン生合成遺伝子psyとErwiniaからcrt1遺伝子を持っており、グラム当たり35マイクログラムのベータカロチンを含む。
American Journal of Clinical Nutrition に発表された論文は、以下のサイトで読める。http://dx.doi.org/10.3945/ajcn.2008.27119


葉酸増強レタスが開発された 
特に妊娠中など急速な細胞分裂と成長のときに高い葉酸を含む食物を摂取することが重要である。葉酸(水溶性ビタミンB類)は、健全な赤血球の生成にも必要だ。葉酸欠乏は、幼児無脳症と脊椎破裂または神経管非閉鎖を起こし、大人では巨大赤芽球性貧血を起こす。多数の研究によって、葉酸補給が神経管欠損、脳卒中とある種の小児期ガンの発病率を著しく減少させることが示されている。
植物と微生物が葉酸を合成することができるが、動物は完全な葉酸合成経路がない。大部分は植物源からであるが、ヒトは約400µg/日を必要とする。主要な作物と野菜の葉酸含量を増やすことは、特に発展途上国の葉酸欠乏の効果的解決法であるとがわかる。
ブラジル農業研究社(EMBRAPA)とブラジリア大学の研究者は、高濃度の葉酸を蓄積するレタスの品種を開発した。これらのレタスは合成gchI遺伝子は、鶏由来の遺伝子で、葉酸生合成経路で中心的な役割を果たす酵素をコードするものである。GMレタス品種は、非組換え品種よりも2-8倍高い葉酸を含む。増強したレタスの葉酸量は、通常の即時で大人一人が一日に摂取すべき量(Dietary Reference Intake、DRI)の26%を供与できる。
Transgenic Research  に発表された研究報告は、以下のサイトで読める。 http://dx.doi.org/10.1007/s11248-009-9256-1

高血圧を防ぐ組換えイネが開発された 
高血圧を予防するために米を食べる?このアイディアは、はるかに遠い話と思われるが、不可能なことではない。日本の研究者は、抗高血圧症作用のあるγ-アミノ酪酸(GABA)とnicotianamine(NA)を著しく高濃度蓄積できる組換え米を開発した。高血圧は心血管疾患と脳卒中の主要な原因で、そして、世界中で10億人以上に影響を及ぼしている。
島根大学の赤間一仁氏と共同研究者は、4-炭素鎖のアミノ酸GABAの増加したイネを開発した。GABA(哺乳類の中枢神経系の神経伝達抑制物質)は、動物で血圧を下げることが示された。グルタミン酸デカルボキシラーゼ(GAD)(イネグルテリンプロモーター(GluB-1)の制御下にある。)をコードする修飾遺伝子をアグロバクテリウムによってイネに導入して作製した。
Kanako Usuda and colleagues, on the other hand, developed rice plants that produce the ACE inhibitor nicotianamine (NA). ACE or angiotensin I-converting enzyme is a key enzyme in hypertension and studies have shown that inhibition of its activity leads to reduced blood pressure. ACE inhibitors are widely accepted as the drugs of first choice for patients with hypertension and congestive heart failure. The scientists found that the ACE inhibitory activity of the transgenic rice-derived NA is very strong, even when compared with commercially available antihypertensive peptides. To minimize public anxiety over the GM rice, the selectable marker genes for antibiotic resistance were removed using the Cre/loxP DNA excision system.
臼田華奈子氏と共同研究者は、他方、ACE阻害剤ニコチンアミン(NA)を生産するイネを開発した。ACE(アンギオテンシンI-変換酵素)は、血圧を上げる重要な酵素である、その活性抑制が血圧低下につながることは、既に示されている。ACE抑制剤は、高血圧と鬱血性心不全患者のための第一選択の薬剤として広く認められている。今回の組換えイネ由来のNAのACE抑制効果は、大変強く、市販の抗高血圧症ペプチドと比較しても強いとわった。GMイネの一般の不安を最小にするために、抗生物質抵抗性選択マーカー遺伝子は、Cre/loxP DNA削除システムを使用して除去されている。
赤間と共同研究者の報告は、最新のTransgenic Researchに発表されており、以下のサイトにある。  http://dx.doi.org/10.1007/s11248-009-9272-1 臼田と共同研究者の論文は、Biotechnology Journalにあり、以下のサイトで読める。 http://dx.doi.org/10.1111/j.1467-7652.2008.00374.x


木材からのプラスティックと燃料 
環境にやさしいプラスチック、バイオ燃料とその工業用及び家庭用化学製品製造のための根本的な原油にとって代わる資源を長く夢見てきた。近年では、太平洋北西部国立研究所で、広く存在する砂糖をバイオ燃料とポリエステル類製造のための主要な基本要素に変える大きに進歩が行われた。Z. Conrad Zhang と共同研究者は、ブドウ糖(自然の最も大量の砂糖)をhydroxymethylfurfural(HMF)(石油系化学製品の有望な代わり)に変える方法を考案した。最大のブドウ糖の源泉は、植物バイオマスである。。
「ブドウ糖からHMFを商業的に勝ち残れる収量を得ることは、非常に挑戦的でした。」と、Z. Conrad Zhangが言いました。「これまでは低い収量であったことに加えて、さまざまの副産物が生じたため精製が高価になる為、化石燃料を基本に置く化学品と競争できなかった。」言った。
より詳しい情報と全報告は、以下のサイトにある。http://www.pnl.gov/news/release.asp?id=255

組換え植物によるHIV 抗体の生産 
ロンドン大学のSt George’s研究室では、殺微生物剤として使うと、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)を殺すことができるタンパク質の開発に大きな前進を成し遂げた。その上、発展途上国で入手可能にするのに十分な量のタンパク質を植物で生産する方法を開発した。研究成果は、FASEB Journalジャーナルの最新号に発表されている。
Julian Ma and colleagues combined two known protein microbicides, b12
Julian Ma氏と共同研究者は、つの既知のタンパク質殺菌剤(b12モノクローナル抗体とcyanovirin-N)を一つの分子に結合して、この分子にはその個々の構成要素と比較してより大きな抗HIV力があることを示した。実用的な融合分子を組換え作物で生産した。
プレスリリースで、FASEBJ編集長Gerald Weissmannは、以下のように述べた。「この研究は、決して小さな突破口を開いたものではない大きなものである。つまりHIV拡大を防ぐ新薬を生み出したのみならず、それを最も必要とする人々が十分入手できるようにしたことである。」この論文の要旨は以下のサイトにある。 http://dx.doi.org/10.1096/fj.09-131995