バイオクラスター連携会議」及び「BioJapan2008」出席報告

日時:2008年10月16日 13:00~14:30
場所:横浜パシフィコ 展示会場 M2階
「バイオクラスター連携会議」
経産省地域技術課長の仁賀氏のご挨拶があり、経産省の産業クラスターに関する事業概要について『産業クラスター計画』の冊子を用いて説明がありました。クラスター事業も7年を経過して成果が見え始めており、特に海外との連携が近年進み始めたことを好ましく見ていることが分かりました。関東経済産業局参事官の清水氏のご挨拶からは、アライアンスプロモーション事業に力を入れており、ある程度目的や分野を搾った連携促進事業が効果的であるという感触を得ているとのことでした。
JBA専務理事の塚本氏からは、JBAの財政事情からバイオ団体全国会議を開くことができなくなり、BioJapanの開催機に併せてこの会議を開催することになった事情の説明があり、しかしながら連携の重要性は理解しているので、経産省に対して何らかの支援をしてほしい旨の要請をしていました。また、来年もBioJapan2009を12月2~3日の予定で、同じ横浜パシフィコでクラスタージャパンを開催するとの案内もあり、会議も同じ様に会期中に開催したいとの話でした。BioJapanへの出展者では近年海外からの参加者が多くなってきていて、今年は特にその傾向が強まっているとのことで、国内のバイオベンチャーに対する注目度は、海外企業の方が国内企業よりも高い傾向があるようでした。一方、出展者総数は昨年よりやや減っているが、これは同時期に開催されている「食品開発展」に食品関係と健康食品関係の企業が流れたためと思われるとのことでしたが、海外から参加している企業などにとっては、同じ時期に開催されることで双方に参加できるメリットがあるとの指摘もありました。
各クラスター参加者の発言をまとめると、それぞれの域内での連携に力を注ぐ一方で、他地域のクラスターとの連携関係構築も意欲的に進めていて、成果も出てきている。また、海外との接触にも努力していて、連携関係が作れるところまで来ている事例もあるが、財政事情から継続的に接触を保つことができないでいる実状が報告さていました。当会からは、昨年度事業の中から道内の「アグリ・バイオ事業」等のクラスター連携事業と、当会と近畿バイオとの連携事業について説明し、成果が出ていることを話しました。これに対して、近畿バイオからも当会と同様に連携事業の紹介があり、エールの交換をした形になりました。加えて、様々な連携を促進するためには、今後若いコーディネータの育成が必要であるとの指摘がありました。幾人かの参加者から、札幌で9月初旬に開催された「バイオビジネスマッチング」の様な試みは、企業や地域間交流を促進する目的を効率よく達成しており、非常に面白いとの発言がありました。
バイオ団体間の国際的交流・連携については、今後この面での成果が望んでいることが分かりましたが、我が国のバイオクラスターを全て合わせても、その規模はアメリカのカリフォルニア州1州分程度の規模であるとの指摘があり、このことから国内におけるクラスターの強化と連携関係のさらなる拡大の必要性が感じられた会議となりました。

「BioJapan2008」
横浜パシフィコで10月15~17日の3日間に渡り開催されました。展示会はホールB(6,700m2)を使用していましたので、アクセスサッポロより二回りほど大きい会場と言えます。「バイオクラスター連携会議」の中でも紹介されていたように、出展者の中には海外からの参加者が多く、アメリカを始め、カナダ、フランス、スイス、イタリア、ベルギー(フランダース)、フィンランド、オーストラリア、そして台湾などが大きなブースを構えており、これらを合わせると全体の2割程度の面積を占めるくらいでした。やはり、日本の新たな技術やベンチャー企業に対する関心の高さの現れだろうと思います。また、「バイオクラスター連携会議」に参加していた地域を中心に、地域クラスター毎の出展も多く、やはり2割程度の面積になっていました。その中でも北海道はかなり大きな面積を取っていて、一つの島を形作っていました。北海道の出展者からは、今一歩手応えが少ないような気がするとの意見もありましたが、興味を持ってじっくり話をしているお客様もいて、一定の成果は得られたのではないかと思います。
私が参加した16日には夕方16:00から「ハッピーアワー」という趣向が催されて、半数近くの出展者が飲食物を提供して、参加者との会話のスターターとしようという試みがなされていました。実際、この時間以後、参加者が明らかに増えていました。これには、別の場所で開かれていたセミナーなどが概ね終わったことも影響しているようですが、会場全体に響く人の声もかなり増えていましたので、会話の盛り上がりという面では大成功だったのではないかと感じました。こうした仕掛けや工夫を積み重ねていくことが、バイオ産業の発展につながるのではないかと思います。
会場を歩いていると時に知り合いに会うこともあり、情報交換が少々できましたが、こうした展示会の長所と限界などについては様々な意見がありました。「バイオクラスター連携会議」にも出ていたような方向性も含めて、将来より良いバイオ関係者の交流の場に発展していくことに、若干の変化の可能性も感じることができた「BioJapan2008」でした。
(報告者:HOBIA企画運営委員会副委員長
               富永一哉)