HOBIA NEWS No.279

目次
●  道内バイオ産業活性化に向けて    HOBIA副理事 東海大学副学長 西村 弘行
●  会員企業紹介
  (財)日本食品分析センター
  (株)日立ハイテクノロジーズ
●  お知らせ
  地域バイオ育成事業
●  編集後記
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●  道内バイオ産業活性化に向けて    
            HOBIA副理事 東海大学副学長 西村 弘行
 
バイオ産業は、医薬品、化粧品、食品、農林水産物などに関わる産業やエネルギー・環境分野の産業まで含まれるが、道内バイオ産業の中心は、農林水産一次産業にバイオテクノロジーを組み合わせた分野である。ほぼ2年前の米国大手証券会社リーマン・ブラザーズの破綻以来、日本経済が低迷し、企業倒産と失業者問題で現在でも苦慮している。中でも道内企業は全国の中でも極めて厳しい状況にある。このような現況下にHOBIAとして何をすべきか、今こそアクションプランを策定する時だと考える。
 さて、道内最大の経済団体である道経連や北海道が「フード(食)クラスター」特区構想を打ち上げ、国に対し認知要求している。筆者は札幌在住42年目に入り、北海道各地の産業や経済の変化を見て来た。過去、旧北海道開発庁を代表として、多額の公共事業費が道内各地に投入され、建設、土木業を中心に活発な経済活動がほぼ20年前のいわゆる『バブル時代』まで続いた。しかしながら、道民の国への依存体質を招き、今でもそこから抜け出せないのが現状である。
 資本主義社会は大航海時代に始まり、「商業資本主義」として特徴付けられ、市民革命と産業革命を経て「産業資本主義」すなわち重工長大産業が活発な時代が20世紀後半まで続いた。しかしその後、「変動相場制」へ移行、すなわち金融の自由化が資本主義を変えてしまった。異なる国の通貨つまりお金同士が市場で取引され、「金融資本主義」が到来した(金子 勝「閉塞経済」より)。また、寺島 実郎氏(三井物産戦略研究所所長)は、いわゆる『マネーゲーム』を終息させ、日本本来の「ものづくり回帰」を目指すべきと提唱している。この考えは、金融業を否定しているものではなく、「金融資本主義」の行方を考えると、道内産業はもっと製造業に力を入れるべきと考える。すなわち、道内基幹産業である農林水産業(一次産業)の活性化には、大学や試験研究機関が持っている「技術」と「知恵」をいかに地域産業に投入するかがカギとなろう。ただ、これまでの大学発ベンチャーのように大学人の持っている高度な技術だけを振り回して製品開発しても市場は受け入れず赤字経営になっている企業が多いのが現状である。
 技術系の優秀な研究者こそ、市場ニーズがしっかり見えるまで技術経営(MOT)について学び、産学官連携でベンチャー起業に携わるのであれば、さらに販路・流通戦略を学習・実践しなければならない。筆者が13年前、道内初の大学発ベンチャーを起業したのは、「研究成果の社会還元」の想いを強く持ち、実践したかったからである。昭和44年(1969年)4月1日付で北海道大学農学部に農芸化学科の助手として赴任して以来、外国への研究留学や国の大型プロジェクト等に参加するなど、自ら興味のある研究に億の研究費(税金)を使わせて頂いた。そして研究成果によって学会から賞(1985年度農芸化学奨励賞)まで受けたが、多数の研究論文は図書館に埋もれ、ほとんど社会で活用されていないことに気づいたのが不惑の齢である。これだけ国民の税金を使っておきながら研究成果を社会に還元しないのはおかしいと自戒の念に陥った。その結果、これまで大学発ベンチャーを3社起し、今年はさらに、機能性食品分野のベンチャーを、雇用創出を目的に札幌市内に起業する予定である。
 道内で法人化されたバイオ団体最大のHOBIAは、道内バイオ産業界より期待されており、道内各地からのニーズに応えるべく活動方針について検討を続ける必要がある。要するに「ヒト・モノ・カネ」の規模に見合った、より効率の良い事業計画が必要で、例えばHOBIAがセクト的にならず、他のNPO法人や経済団体等と連携した事業展開を図ることが重要である。そして道内バイオ産業活性化に向け、HOBIAの役割を明確にして、社会ニーズに合致した事業を会員共々展開して行きたい。
 

●  会員企業紹介
(財)日本食品分析センター
日本食品分析センターは名前の通り「食品の分析」を生業とする団体として産声を上げましたが、蓄積してきた持ち前の技術を他の分野にも応用し、いまでは「食品添加物」や「レジ袋や陶磁器、金属缶などの容器包装」といった食品衛生法関連素材はもとより、「医薬品・医療機器」「土・水・空気など環境試料」「混入異物」まで取り扱う総合分析機関となりました。
全国7事業所(東京・大阪・名古屋・福岡・多摩・千歳・彩都)に展開し約1,000名のスタッフが日々様々な分析を担当しています。
千歳研究所は巨大な動物飼育棟を持つ医薬品・医療機器分析専門施設で、様々な毒性試験、細胞試験、理化学試験および保存安定性試験を実施しています。その道の専門家が常駐しており、特に医療機器GLPでは適合性A判定をいただきました。
お困りの案件がありましたら、「何でも量る」分析センターにまずはご一報を。解決のお手伝いをいたします。 
お問合せ先 Tel 0123-28-5911 業務課  
ホームページ http://www.jfrl.or.jp/

(株)日立ハイテクノロジーズ
当社は、ハイテクソリューションに特化した、自社製造部門と商社部門を持つ会社です。
バイオ、医用をはじめ、汎用分析や環境分析など、ライフサイエンス全域をサポートしています。バイオ関連分野では、低分子化合物からタンパク質等の高分子化合物の構造解析まで幅広い分野で使用されている。液体クロマトグラフ質量分析装置(LC/MS)をはじめ、食品から環境分析まで幅広く対応できる分析装置をラインアップしています。
食品等の成分分析、環境分析などお困りの事がございましたら、お問い合わせください。
お問い合わせ先 011-707-3332
         北海道支店科学システム課
ホームページ http://www.hitachi-hitec.com/
 
●  お知らせ
地域バイオ育成事業
道内各地のバイオ振興団体の連携により道内3地域で研究会などを開催します。
函館9月、札幌10月、道央11月の予定。詳細は、別途ご案内させていただきます。
 
●  編集後記

健康診断の結果が来ました。予想はしていたのですが、日頃の暴飲暴食がたたって、総コレステロール、中性脂肪、血糖値が高いとの結果。
根っから医者嫌いの私は、こんな時こそ、食とバイオの力で何とかならないかと思うわけです。
そう言えば、飲む人向けにウコン製品は、随分流行っていますね、ススキノのコンビニでは、飛ぶように売れているようです。
北海道には、健康に良い食材が沢山あります。メタボの親父たちに恩恵のある機能性食品を期待してやみません。


 

編集担当 HOBIA企画委員 黒田一寛

 

HOBIAのホームページ http://www.hobia.jp
 
                NPO法人 北海道バイオ産業振興協会
                札幌市北区北21条西2丁目コラボ北海道内
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