新年あけましておめでとうございます。皆様におかれましては、心安らかに、希望のもてる元旦を迎えられたことと拝察申しあげます。新年が皆様にとってすばらしいものになることを祈念いたします。
さて、HOBIAの2006年を振り返って見ますと、通例のことながら悲喜こもごもがありました。喜ばしいことは、前会長高尾彰一先生の永年にわたるご活躍に対して瑞宝中綬章が授与されたことです。この叙勲は、先生の北海道大学教官としての永年のご貢献と北海道へのさまざまなご貢献に対するものであります。我々バイオ産業に関わる者にとって、北海道立食品加工研究センターの創設をご先導されたことは、大きなものであります。これを含め北海道バイオ産業のあり方をご指導頂いたことはまことに大きなものであります。
一方、非常に残念なことは、北海道の偉大なリーダーであった元北海道経済連合会会長戸田一夫氏のご逝去です。戸田氏とのお別れ会で頂いた「北海道産業クラスター創造活動の原点―戸田一夫のことば」を拝読するとますます巨星を失ったものと残念でなりません。
「遺伝子組換え作物栽培条例」の制定に対するお考えを伺ったときには、「原子力発電開始」のことを例にして、北海道バイオ産業振興、ひいては北海道経済へのマイナスの影響を憂慮されていたことを確りと心にとどめております。
また更に、同氏のお言葉である「北海道開拓=フロンティアスピリットと思われているが実際には官主導の中、自らの意志を持たずに行ってきたというのが本当の姿、北海道に「頭」を持っていないという構造。」、と「北海道の働き手は素晴らしいが経営者は子供である。まずは農家が経営者としての自覚をもつこと、それが他の産業にも波及して北海道基盤作りのスタートになるのではないか。」が特に印象深いものです。
このようなお考えで、「北海道クラスター創造研究会(平成8年2月~平成10年3月)」そして「平成10年にはじめた産業クラスター創造活動」が着実に成果を上げているのをみると、如何にすばらしい先見性を持っておられたかが改めて分かるとともに、同氏を失ったことの大きさを深く感じているところです。ま
た、戸田氏の立てられた目標を達成するのが我々の課題と認識しております。
HOBIAが平成17年度から行っている北海道経済産業局の支援による広域的新事業支援ネットワーク拠点重点強化事業(愛称:フーズ&アグリ・バイオ・
ネットワーク事業)は、高尾先生、戸田氏のお考えに沿うもので、北海道のもっているものを最大限生かすための方策に寄与しようとするものです。産業クラスター創造活動の成果を更に上げるためにも資するものであります。現在、ネットワーク形成、連携促進、販路開拓支援、情報提供等の各事業を実施し、ファーム(素材生産)からテーブル(商品化)まで一貫したシステムの構築を目指しております。既に起し、10社を超えるところが軌道に乗りだしています。これらを今年はより一層活発にするとともに産業として飛び出すことが期待されます。
また、北海道の支援事業である地域バイオ育成推進事業を通じて道内各地での事業おこしに貢献できています。
これらの重要な二つの事業に加えて、全国バイオ産業ネットワーク事業を、交流協定を結んでいる近畿バイオインダストリー振興会議とともに開催して、北海道のバイオ産業を全国に向かって広報しました。また、BioJapan2006にも参加することで世界に向かっても活動ができました。これらは、今後の北海道にとって極めて重要な活動と考えております。
わが国には人(頭脳)という資源しかない。わが国の食糧自給率は、40%を切ろうというほどまで低下している。これに今年から交渉が始まる豪州とのEPAの内容如何によっては、自給率はもっと低下しよう。また、エネルギー自給率は、原子力を輸入とみなすと4%しかない。これに加えて、化石燃料の高騰をみるとわが国の将来は、暗いものと感じざるを得ません。
しかし、北海道には広いスペースがあり、頭脳もある。バイオ産業に必要なものは揃っていると言えましょう。北海道の食糧自給率は190%あり、且つエネルギー作物を栽培し、バイオマスエネルギーをつくり得る可能性も十分あります。これらを十分に活用できるかどうかは、我々の動きにかかっています。「BT戦略大綱」や「バイオマスニッポン」などの施策は、北海道のためにあるもと言えましょう。2007年はこれらを追い風として、我々の役目である北海道バイオ産業振興に全力を尽くす時が来たと思います。会員の皆様とともに2007年末にはよい仕事ができたとの充実感を味わいたいと思います。
皆様のご健勝をお祈り申し上げるとともに本会の活動へのご支援・ご協力、そして積極的な参画をお願い申し上げて新年のご挨拶といたします。