「十勝における大豆食品の開発と雑豆普及活動」について

 平成20年12月1日、「大豆の魅力を引き出す」をテーマに開催された「地域バイオ育成推進講座」(主催:同実行委員会)において、道立十勝圏地域食品加工研究センターから報告された「十勝における大豆食品の開発と雑豆普及活動」について、その事業の概要をご紹介いたします。

(報告者) 十勝圏地域食品加工技術センター研究員 川原 美香 氏

(要 旨)

大豆は非常にたんぱく質の生産性のよい植物なので、大豆の栄養を見直して、大切していきたいと考えている。

大豆食品で一番食べられているのは「豆腐」で、消費の半分を占めております。

(大豆イソフラボン)

 大豆で一番注目される機能性成分に、がん・骨粗しょう症・更年期障害の予防に効果がいわれる「イソフラボン」があり、高齢化が進む中、大豆食品の機能性は重要になってくると思われます。

以前、品種別のイソフラボン含有量を調べたところ、「音更大袖舞」が一番で、豆腐用輸入大豆の2倍であった。

一般的に緯度の高いところで栽培された大豆はイソフラボンが高いといわれている。 高イソフラボン豆腐の製造販売業者(道外)はカナダ産大豆を使っていた。

 納豆製造は、大豆のそのままの姿で利用し、イソフラボンの損失が少ないとの試験結果を得ております。

 豆腐製造では、浸水・煮・呉汁段階での損失はなく、絞りで豆乳9割+オカラ1割に分かれ、最終の固め成型で豆腐5割+出汁5割に分かれるとの結果を得ました。この出汁を利用した食品が開発できればと思います。

 イソフラボンに着目した大豆食品製造では、大豆の姿をあまり崩さない、肺軸を残す、できれば低温加熱で、ボイルよりスチーム加熱加熱を薦めます。 また発酵処理には問題がありません。

(大豆食品開発)

 丸大豆粉体で豆腐を試験したことがある。 

イソフラボンの損失がなく食物繊維も豊富だが、味が大豆そのものなので、カマンベールチーズ菌での発酵や味噌漬・醤油漬・三升漬でなどで、旨み成分をした製品を試作した。

 当センターも参加し、帯広産業クラスター研究会では、 ヘルシー・ツマミ食品をテーマに、崩れ・端の豆腐を使い、潰し・調味料に漬け・固め・燻煙した「日持ちし、栄養が凝縮し、チーズと豆腐の中間食感」の新しい豆腐「とうふくん」を開発しました。 好評で、札幌進出など販路拡大にも成功している(一個840円)。

 枝豆を使った製品として、十勝特産のながいも・枝豆・小麦若葉を原材料した青汁を開発しました。 ながいも機能性(ラット試験で大腸がん予防効果を確認)をメインしたもので、名称はズバリ「産学官連携青汁」である。

(雑豆消費拡大)

大豆・落花生以外は「雑豆」といわれ、十勝ではあずき・きんとき・てぼうなど雑豆生産が盛んで、雑豆は、食物繊維、ポリフェノールが豊富で機能性も期待でき、雑豆消費拡大活動に取り組んでいる。

乾燥豆から煮るなど手間が掛かることから、若年層の摂食が少ないので、十勝産雑豆の機能性を生かした煮豆料理レシピ開発や料理コンテストを実施している。

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